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PASSTOマガジン vol.6 | パストしてみた!ノイハウス萌菜さん

みなさん、こんにちは。
PASSTOマガジン編集長のガクです。
今回は2回目の「パストしてみた!」ということで、ノイハウス萌菜さんがパストしてみた様子をレポートします。

写真:小澤 彩聖



ノイハウス萌菜さん

今回パストしてみたのはノイハウス萌菜さん。
気さくながらも落ち着いた雰囲気を持つ萌菜さんは1992年生まれ。イギリス育ちのドイツ人と日本人のハーフであり、二児の母でもある。現在はJ-WAVEのラジオパーソナリティを務め、元会社員、「のーぷら No Plastic Japan」の設立、量り売りを全国に広めている「斗々屋」のPRなど様々なバックグラウンドを持つ。そんな彼女の自宅にお邪魔して、まずは自身についての話を聞いてみた。

日本で暮らして気がついたこと

イギリス出身の萌菜さんは8年前に来日、コンサルタントの会社に勤務していた。会社員として働く傍ら、2018年にプラスチックストローの代替品となるステンレスストローブランド「のーぷら No Plastic Japan」を設立する。

「日本に引っ越してきてから、生活の中で使い捨てのプラスチックが多いことに気がついたんです。会社では同僚がオフィスでお弁当を食べるたびに大量のゴミを毎日出していたり、仕事を通じて様々な会社と関わる中で、環境に対する意識のギャップを感じました」

CSRやSDGsが企業に求められてる中、まだまだ「自分ゴト」として取り組めていない人や企業が圧倒的多数を占め、自分自身もそういった環境に身を置いていることに次第に違和感が生まれてきたという。そこで出した1つの結論が自分自身で取り組むということであり、そこから立ち上げたのが「のーぷら No Plastic Japan」だ。

「個人的に違和感があったのが、飲食店での使い捨てプラスチック製品でした。素敵な空間で食事も美味しいのに、使い捨てのカップやストローを使っているのが『合わないな』と思ったんです。そこで、当時ほとんど目にすることがなかったステンレスの再利用可能なストローの製造・販売を行うことにしました」

全てが手探り、自らECサイトを立ち上げ、ロゴもパワーポイントで自作。サイト立ち上げ後1ヶ月ではじめてステンレスストローが売れた時は本当に嬉しかったという。「世の中にマイストローを持っている人がいる」ということが取り組みのモチベーションになったそうだ。そこから平日の夜や週末の時間を使って活動を続けてきた。

そんな活動をする中で、斗々屋(ととや)の代表 梅田さんに出会う。引き続き会社員と「のーぷら」を続けながら週末などで斗々屋のお店やPRを手伝うようになり、日本初の量り売り専門のゼロ・ウェイストのスーパーを立ち上げた。

CIRTY BIOSK by Totoyaにて

2020年には妊娠・出産で会社をしばらく休むことになり、めまぐるしい変化の日々を過ごしていた。

「よっしゃー!と思いましたね(笑)。お休みに入ったからこそ、その間は他の活動に専念したいと思いました。そんな矢先に声をかけていただいたのが、ラジオのパーソナリティのお仕事でした」


それまでの活動とは異なり、より多くの人へ情報を届けるというラジオの仕事に最初は戸惑った部分もあったが、今まで培ってきた「コミュニケーション」の経験をどう活かせるのか、新たな挑戦へのモチベーションとなった。2回目の産休・育休を取る際には、1人のリスナーとしてラジオ番組を聴く中で、改めて仕事の意義を再認識したという。


「日常生活で自分も気分が乗らなかったり、寝れない日もあったりするけど、いい音楽や情報を届けることで『この番組を聴けば元気がでる』という役割の大切さに気づきました。そこからは自分も変わったし、周りからも『声がイキイキしてるね』と言われたり、それまで以上にモチベーション高く取り組むようになりました」

幼少時の体験と価値観の形成

もともとコミュニケーションに興味があったという萌菜さん。ロンドン在住時には日本の広告代理店に勤務し、その後は広報関係の仕事に従事。言葉やコミュニケーションの力で生活者の行動変容を促す、ということに社会とのつながりを感じたという。

「のーぷら No Plastic Japan」では広告に頼らず日々のコミュニケーションで活動の輪を広げる、というコンセプトがあるなど、環境活動を行うにあたりポリシーがあるようだ。

会社員として働きながら個人でステンレスストローの製造・販売も手がけ、さらに斗々屋のPRも行うなど行動力と情熱を持ち合わす萌菜さん。そんな彼女はどんな幼少期を過ごしていたのだろうか。

「今でもよく覚えているのが、小さい頃に『紙を作るためには木を伐採しないといけない』という話しを聞いて、紙ではなく自分の手に絵を描いていました。紙のために木を切ってしまうことが自分の中では衝撃で、それなら落書きは自分の手に描こうってなりました」

そういった環境に対する姿勢や考えなど、一体どこで培われたのだろうか。父親は金融業界、母親は専業主婦・日本語教師と家庭では特に環境問題に触れる機会は少なかったが、海外旅行の際に自らの行動を考えるきっかけがあったという。

「途上国に旅行に行った際に、現地の子どもたちと自分の置かれた環境の違いにショックを受けました。どれほど自分が恵まれた環境にいたのかと、ある種の罪悪感のような感情が生まれ、今考えるとそれが私自身の活動の原点だったんだと思います。そのことから不公平なこの社会で自分にできることは何だろうと考えるようになりました」

海外旅行での原体験をきっかけに学生時代は寄付活動を始めとして、さまざまな活動に取り組んでいた。そういった活動の1つ1つが今の萌菜さんの価値観を形成しているようだ。

「まずはできることからやってみる。やってみてダメだったらそこで考えてみる、という風に考えていました。のーぷらのステンレスストローも上手くいかなければ、余った在庫を無料で飲食店に寄付して、それで切り替えてくれるならいいかなって思ってましたし。それぞれ自分の立場でできることをやっていくのが大事なのかなって思います」

その後、2019年に結婚、現在は2人の娘を育てる母親でもある萌菜さん。子どもとの関わりの中で、このようなことを感じているという。

「子どもがおやつを欲しがる時にパッケージがごみになる、とか、シャワー遊ぶのに夢中になっている時にお水がもったいない、とか思っちゃいますね。でも子どもの自由や楽しさを考えると一概にそれを否定するのも違うなと思って、難しいテーマですよね。でも、子ども服は一貫して古着を買ってきました」

古着は身近な存在

自身も含め、子どもたちが着る洋服の多くは古着を購入しているという。イギリスでは購入したお金が寄付に回る「チャリティーショップ」と呼ばれる古着屋が一般的で、昔から洋服を購入する際に利用していたと話す。色んなスタイルが見れるのが古着の魅力だという萌菜さん。

「まさに今日着ているのも古着なんですが、昔から母親に連れられてチャリティーショップに行くことが多かったですね。今思えば、ヴィンテージアイテムとかも含め、家族全員古着が好きです。なので、昔から自分にとって古着はとても身近な存在でしたね。お店も素敵なディスプレイのところも多く、イギリスではオシャレな人もそうでない人も、色んな人が利用する場所でした」

価格的にもお手頃だし、環境のことを考えると古着一択で新品を買うことはほぼないという。古着で販売されている洋服の中には古くても高品質で長年着られる物も多く、誰かから自分へ、自分から誰かにといった形で受け継ぐことができるのも魅力の1つだと話す。

「友人家族から子どものおさがりをもらうことも多いんですが、中には新品で着てない洋服が入っていることも度々あって、しかも色違いで複数枚あったりと我が家でも着こなせない量をもらうこともあります。新品で買っても使わず家に眠ったままの物って思ったよりも多いんだなって。もったいないなって思っています」

パストする物たち

ここで、今回パストする物を紹介してもらった。

親友が数年前に旅行で買ってきてくれたドナルドのフリースのトレーナー。最近では寒くても厚着しなくなったこともありほとんど着る機会がなくなった。古着で購入したジャケットやマフラーも最近出番がなくなってきたため手放すことに。

感謝の気持ちを込め、1枚1枚丁寧に畳んでいく

続いては子どものおもちゃ。今は使っていないおもちゃの数々を、子どもと遊んだ1つ1つの記憶を思い出すようにクローゼットから取り出す。

「実は今までおもちゃを手放したことがなかったので、ずっとクローゼットに眠っていました。壊れているわけではないから捨てるほどじゃないけど、どこに持っていったらよいか分からなかったんですよね。ゴミになるのだけは避けたかったんですが、中古品買取に持っていってもその先どうなるか分からないし、寄付も考えたけどその先で負担になってしまってもなぁ。という感じで今に至る、という感じです。でもPASSTOなら次に繋げられると思って、手放すことにしました」

ご近所さんから譲り受けた知育玩具(上)。お絵描きボード(下)は編集長ガク(36歳)の幼少時からほとんど同じ形で、今の子どもたちも遊んでいることに驚くとともに懐かしい気持ちになった
子どもたちとの思い出が詰まったおもちゃをパストすることに


パストしてみた

手放すモノたちとともに、PASSTOを目指してFOOD&COMPANY 代官山T-SITE店にやってきた。

まずはジャケットから
そしておもちゃを1点ずつ丁寧に投函していく
大きなおもちゃも無事にボックスに入った

パストしてみて、その感想を聞いてみた。

「ずっと『ウチではもう使わないな』とか、『次に渡したいな』と思っていた物たちを、PASSTOに入れることで物理的にも気持ち的にもスッキリ手放すことができました。『次に使ってくれる人がいる』と思うと安心して託せました。なにより簡単で気軽なのがいいですよね。大きなおもちゃは入るか心配だったんですが、思ったよりもボックスが大きくてよかったです(笑)。PASSTOを通じて物が循環されることによって、パストされたものがいつか自分の手に届いたら素敵ですよね」


今回は「パストしてみた!」ということで、ノイハウス萌菜さんのこれまでの経歴やご自身の価値観などを語ってもらい、自宅に眠っていた物をパストしてもらいました。

公私ともに環境問題に取り組んでいる萌菜さん。得意分野であるコミュニケーションの力で、まずはできることからをやってみる。を実践し、そこから様々なつながりが生まれました。

自分の得意な領域から出来ることからはじめてみる。これは誰にでもできることだし、楽しく長く続けられる秘訣だなと感じました。


また、今回は1人の母親としての悩みや姿勢なども語ってくれました。

子ども服やおもちゃなどは、ふと気がつくとどんどん増えていくし、仕事と育児の合間で手放し方なんてゆっくり考えてる暇もない。

そんな忙しい日々でも、子どもとの思い出が詰まっている服やおもちゃなどは、やっぱり「捨てる」という選択肢にはなりづらいもの。

もちろん、子どもがいる・いないに関わらず、あらゆる人にとって物の手放し方って様々だし、悩みますよね。

そんな時の選択肢の1つにPASSTOを思い出してもらえると嬉しいです。
売る?捨てる?パストする!


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