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【エボルヴ】人形エルフの構築の難しさ~次元混沌発売直前編~

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どうも、通りすがりです。

今回は、人形エルフデッキが抱えている構築の難しさについて書いていきたいと思います。
このnoteの内容をなんとなく掴んでいただくのに、↓の3つのtweetを見て頂ければと思います。

このnoteは以上のtweetで示していたような内容を、ブラッシュアップして、整理したものになります。

※このnoteを書くにあたって、カードのイラスト画像を入れて作成していたのですが、画像がある方がテキストを理解している方にとってはかえって読み辛くなってしまいました。
よって、極力カードの画像を挟まないようにしているので、テキストをまだ知らないよーという方は、公式サイトのカードリストや、ブシナビを見てから読んでいただければと思います。

それでは、よろしくお願いします。


はじめに

このnoteのテーマ

このnoteは、人形エルフのデッキの性質、そして構築の難しさをテーマに書かれています。

このnoteで分かること

・コンボ型の人形エルフがどのような考えで作られているのか
・デッキを作る際、どのようなことを念頭に置くべきか

このnoteが想定していない読者

・人形エルフのカードの効果を知りたい人
・人形エルフのデッキのプレイングやコツを知りたい人
・デッキレシピそのものをシンプルに知りたい人

デッキの概要

そもそも人形デッキって?

人形エルフがどんなデッキか?という話は、省略します。
カードのテキストをコピペした文章を読んでも仕方がないと思いますので、人形エルフの事を全く知らない方は、公式のYouTube動画を観てみて下さい。

この動画、かなり強そうに見えますよね。
ただ、相手が機械メアであることに注意です。
現環境の妖精エルフは、機械メアに有利です(少なくとも私はそう思っている)。
そもそもアナスタシアやスピネを展開する妖精デッキで勝ち越せるので、人形ギミックが特別凄いというわけでもないのに注意しなければなりません。
同系統のデッキタイプですので、似た要素があります。
しかしながら、妖精エルフと人形エルフには、それぞれ決定的な違いがあります。
そこら辺を確認していきましょう。

ロイドとヴィクトリア

妖精エルフは、0コストのフェアリーウィスプがデッキの要となっていました。
よって、1弾のエルフプリンセスメイジがいまだに高いバリューを発揮し続けています。
メイジでウィスプ2体、フェアドラでウィスプ1体を生成できます。
このフェアリーウィスプを上手く使用したコンボ、フェアリーのバフによる高火力な疾走と盤面、それが妖精エルフの魅力です。
一方、人形エルフには0コストのカードとして、「ロイド」と「ヴィクトリア」の二種類のカードが存在しています。
どちらのスペックも、ウィスプと比較した時に大きな差が見られます。
心無き決闘で2体、ツヴァイでヴィクトリア1体、オーキスでロイド1体を置くことができます。
この2種類のトークンの存在が異常なまでの人形エルフの火力を支えてくれています。
では、妖精エルフは人形エルフの完全な下位互換なのでしょうか?
いいえ、そうではありません。
例えば、後攻3t目に0コス2体を用意しようとしてみましょう。
妖精エルフでは、メイジを進化して準備完了です。
しかし、人形エルフは1~2tの間にジャンクかリーアムを出し、exエリアに操り人形2体を置いた上で、心無き決闘を使用しなければなりません。
つまり、コンボ要素の強い妖精エルフよりも、下回りのカードの重要性が高いと言えます。
妖精エルフの1~2t目が事故ってしまったとしても、メイジ1枚でその遅れを取り返しやすいです。
しかしながら、人形エルフは1~2t目が事故ってしまうと、ツヴァイも決闘も意味のないカードになってしまいます。
以上のことから、人形エルフは非常に下回りのカードへの依存度が高いデッキであることが伺えます。

人形軸の概要

人形軸は3種類の分類をすることができます。
①人形生成カード
②0コス生成カード
③顔を詰めるカード

以上の3種類です。
それぞれを簡単に説明していきます。

①人形生成カード

ジャンク、オーリム、フラワードル、オートマタソルジャーの4種類のカードがこれにあたります。
1コスで2体用意できるジャンク。
2コスで2体だが、終盤はサーチも可能なリーアム。
2コスで1体だが、墓地回収とエボルヴが可能なフラワードール。
3コスで2体だが、守護がついているオートマタソルジャー。
並べてみるとこんな感じになります。
それぞれの価値のイメージは、私の中で以下のようになっています。
「ジャンク>リーアム>>フラワードール>>>>オートマタソルジャー」
あくまで、私個人の大雑把なイメージですが、だいたいこんな感じになります。

何よりも素晴らしいのが1コスのジャンクです。
1コストあたりの人形の生成力を考えてみましょう。
ジャンク→1:2.0
リーアム→1:1.0
フラワードール→1:0.5
オートマタソルジャー→1:0.66…
圧倒的にジャンクの効率が良い事が分かります。
次いで、リーアムになります。
この2枚は確定で3積みになると思います。
それくらい、この2枚が重要ですし、この2枚がなければそもそもデッキとして成立しなくなってしまいます。

ドールとソルジャーは、1コストあたりの効率ではソルジャーの方が優秀ですが、3コスト帯がパンク状態であること、守護があまり有効でないこと、フラワーの墓地回収がある程度便利なことなどを加味して、ソルジャーの方がかなり低い評価になっています。

また、ジャンクやリーアムと比較するとドールも見劣りする存在ではあります。
しかし、フラワードール1枚で、序盤に綺麗なお茶濁しができる点は非常に優秀です。
フラワードールでのフラワードール回収、1t目に投げたジャンクの回収など、進化後の能力が魅力的です。
また、リーアムが引かなかった時のサブプランとしても優秀です。
下振れをある程度の偏差に抑えることができるカードだと思います。
私は個人的には3積みで良いと思っていますが、人によっては先述の理由によって、採用枚数を減らしたり、不採用としたりすることもあるかもしれません。

ソルジャーは、ジャンクもリーアムも引けなかった時の助け舟にはなってくれます。
下振れを更に抑えたい場合に、採用を検討する人もいるかもしれません。
ただ、人形ギミックで邪魔にならなくとも、コンボギミックにおいて邪魔になる可能性が高いので、そういった側面も理解した上で採用しなければいけません。

まとめ
①ジャンクとリーアムへの依存度が高い
②ソルジャーは使いづらいため、評価が低め
③ドールは使い勝手は良いが、上振れには必要ないため、枚数調整や不採用を検討する人がいるかも

②0コス生成カード

0コストのロイドやヴィクトリアを生成するカードは以下の通りです。
心無き決闘、ツヴァイ、オキース表進化。
この3種類しかいません。
これが人形デッキの非常に悩ましいところなんですね。

1tジャンク、2tリーアム、3t決闘、4tオーキス、5tアナ&スクナというのが理想ムーブになるわけですが、3~4tに決闘を打っておかなければなりません。
決闘は、エルフプリンセスメイジとは違い、盤面になにも影響を与えません。
3t目は、ボードだけを観れば、実質ターンパスをしているのと変わりません。
よって、相手が本格的に展開を始める前、3~4の序盤のターンにできる限り使用したいです。
勿論、終盤になればppに余裕が出てくるので、後半に腐る札ではないのですが、理想は序盤に打ちたいわけです。
しかしながら、先述の通り、ジャンクやリーアムを出せていなければ、決闘がハンドにあっても仕方がありません。
この辺りの噛み合わせの妙が、人形デッキの核になっています。

ツヴァイに関してですが、かなり使い勝手のいいカードになっています。
後4か先5に相手の盤面に並んでいるフォロワーは、基本的に大きくて4-4です。
よって、最速着地をすることで、相手の4-4縦置きフォロワーを処理しながら、1ドロー、4-4と4-1が盤面にいることになります。
非常に優秀なカードです。
ただ、これも最低でも人形が1体でもいなければ使用できません。
また、人形がexに2体しかいない場合、先に決闘を打ってしまうと、ツヴァイのF効果を使用できない状況になってしまいます。
そういった面でも、フラワードールでexエリアの人形が奇数にできることに大きな意味があります。

そして、オーキスについて。
人形デッキの目玉カードですし、両面進化という面白いギミックを持っているカードではありますが、発表当初の印象よりも私の中での評価は低めになっています。
理由は、シンプルに使い辛いからです。
まず、相手がオーキス着地ターンの前に、フォロワーを横にしてくれない可能性があります。
人形相手であることわかっていれば、相手もそう簡単に横にしてきません。
仮に横にした方が有利な状況になり、相手が殴ってきたとしても、ロイド1枚がexエリアに置かれ、盤面処理をするという結果になるだけです。
”だけ”というと語弊があるかもしれませんが、他の0コス生成カードと比較して、各段に強力だというわけではありません。
しかしながら、上手く使用できればしっかり仕事をしますし、相手にオーキスを警戒させて動きを制限させるという補助的なメリットもあります。
以上の3種類は、無いとそもそもデッキとして成り立たない為、3積みでいいと思います。
色んな人のレシピを調べましたが、この3種が3積みでない構築はほとんど見かけませんでした。

まとめ
1.生成札は3種しかない
2.人形をexに置けてないとそもそも意味がない
3.オーキスはそこまで使い勝手がいいカードではない(弱いという意味ではない)

③顔を詰めるカード

さて、人形をどれだけ置いたとしても、それが相手のライフを削ることに繋がらなくては意味がありません。
顔を詰めるカードを確認していきます。
ノア、オキース裏進化。
この2種類が顔を詰めるカードになります。

ノアは、今回で非常に強力なカードに様変わりしました。
何が強いかと言うと、決闘2枚使用からの最速5t目着地です。
正確には、1~2tで人形4体置く、3~4tで決闘2使用、5tノアですね。
ノアの効果は、ロイドやヴィクトリアにも適応されます。
ノア+ロイド2+ヴィクトリア2で、合計16点を叩き出すことができます。
これができたらほぼ勝ちなのは、皆さん同意していただけるのではないでしょうか。
もちろん、進化して人形4体を走らせる、以前までの使用方法も強いままです。

オーキス裏進化は、それだけでリーサルを狙うだけでなく、リサールへの繋ぎとしての使う事もできます。
相手の盤面を返しながら、ライフを詰めていくことができます。
非常に強力なカードですね。

どちらも非常に強いカード達です。
オーキスは表進化があるのでそもそも3積みですが、問題はノアです。
ノアは非常に強いのですが、後述するアナスタシアに0コストを消費してしまう観点から、ノアに0コストを使って顔を詰めるプランがそこまで取られなくなります。
要求値も高いですしね。
イメージとしては、7コスのシンシアという感じです(かなりざっくりとしたイメージだけど)。
ですので、2積みくらいに減らす人もいると思います。
今まで通りの使い方をするのであれば、7ppから使用できるカードですので、手札でかさばるのが嫌だと感じる人もいると思います。
私が現在使用している構築でも、2積みにしています。

まとめ
1.オーキスもノアも強力
2.ノアの採用枚数は人によって変わるかも

以上が、人形軸の概要でした。
案外アッサリしてますよね。
人形軸、8種類しかカードが存在しません。
ソルジャーを抜き出したらたったの7種類です。
全てを3積みしても21枚になります。
よって、人形デッキは、人形と何を合わせるか?という問題に直面することになります。

コンボ軸の概要

人形軸と何を合わせるのか?
ここで白羽の矢が立ったのが、「アナスタシア」でした。
アナスタシアは、妖精エルフでも使用されていたカードで、今回の人形エルフではより力を発揮します。
理由は明確で、ロイドとヴィクトリアがいるからです。
今まではウィスプやフェアリーといったスタッツの低いカードでコンボを稼がなければなりませんでしたが、人形軸では、ロイドとヴィクトリアという高スペックのカード達を場に出しながらコンボを稼いでいくことができます。

また、アナスタシアと相性のいいカードが「小さな勇士・スクナ」です。
人形軸に少し足りなかった、相手の顔を詰める性能をUPさせてくれます。

そして、アナスタシア&スクナと一緒に使いたいカードが、「妖精の調べ」になります。
スクナが発表された当初から、後5のウィスプ2スピネスクナ調べが最強と言われていました。
それが、今回の人形軸では、心無き決闘で0コストカードを2枚用意できます。
アナスタシア→ロイド、ヴィクトリア→2pp回復→スクナ→調べ→盤面2バフ→スクナ進化、という最強のムーブをすることができます。
1ドロー、2回復、7点疾走、盤面最強、言う事ナシですね。
ラティカやリモニウム(テミス)、くらいしか綺麗な回答札がありません。
というか、ラティカがキツ過ぎるので、自然エルフには不利だと思います。
ただ、ここまでフルムーブをしてしまえば、自然エルフ側も、一旦ラティカ進化をしてから回帰を打たなければなりません。
このムーブが強いことには変わりないでしょう。
よって、この最強ムーブをするためのパーツは3積みされていくことになります。

また、「女神は朝焼けの海に」というスペルの存在も忘れてはいけません。
先程の章の②のカード、0コス生成カードは、決闘の他にオーキスとツヴァイがいます。
この2枚は、0コスカードを1枚しか置くことができません。
よって、決闘を打てなければ、先ほどの最強ムーブができないことになってしまいます。
しかしながら、女神を打てば、0コストカードが1枚でも先ほどの動きをほぼ再現することができます。
女神を上振れ用のカードだと認識してる方もいるかと思いますが、それよりは、下振れを抑えるカードになります。
仮に決闘が打てなかったとしても、アナスタシアスクナのムーブが出来るように補助してくれます。
しかしながら、あくまで補助カードです。
完全な上振れには必要ありません。
よって、女神も人によって採用枚数の分かれるカードになりそうです。
個人的には、フラワードールと同じくらい抜かれる可能性のあるカードだと思っています。
ただ、知恵の光としての使用方法もありますし、今のところは3積みをしています。
将来的に、抜ける可能性があるかもしれません。

また、妖精の調べについてですが、操り人形自体にはバフが乗らないことに注意しなければなりません。
ロイドやヴィクトリアはクラスエルフのトークンですので、調べの対象となりますが、操り人形はニュートラルのトークンですので、調べの対象になりません。
そういった点で、少し邪魔に感じる場面はあると思います。
また、複数枚あって嬉しいタイプのカードかというと、そうではないので、これも採用枚数で意見が割れそうなカードです。
上振れムーブに必要なパーツは3積みしておきたいタイプなので、現在の私は3積みをしていますが、「3積み以外ありえない!」という認識ではありません。

まとめ
1.アナスタシアとスクナが人形軸と相性がいい
2.女神と調べは人によって採用枚数が分かれるかも

自由枠と構築の難しさについて

さて、先ほどの章にて、4種類のカードが示されました。
人形軸のカードと合わせて11種です。
全て3積みしても33枚です。
40枚デッキで組む場合、最低でも14種のカードを積まなくてはなりません。
ここで、3種類の自由枠が生まれました。
しかし、自由枠といいながら、私が分類できなかった為、紹介できていないだけのカードがあります。

それが「自然の導き」です。
このカードは多くの人が3積みするのではないでしょうか。
言わずと知れた、エルフのリソース回復札になります。
ジャンクやリーアムの使い回しは序盤において最強です。
ジャンク×2orジャンク+導き、どちらでも仕事は同じです。
導きは、このデッキにおいて単なるドローソースという役割だけでなく、最強のワイルドカードとしての役割を持ちます。
導き1枚が、序盤、中盤の安定感を異常なまでに増加させます。
また、人形エルフにとって非常にネックなのが、盤面が埋まってしまうということです。
折角コンボを稼げるのに、盤面が圧迫されて上手く動けないなんてことが起きてしまうデッキです。
そこを、導きが解決してくれます。
また、オーキスと同時使用することで、相手の盤面にフォロワーがいなくとも、効果を発揮することが可能になります。
これ以上ないくらいの万能、便利カードですので、多くの人が3積みすると思います。

さて、導きを計算に入れると、残りの自由枠は2枠になりました。
ノアを2積みにするとして、残り5枚です。
ここに何を積むべきか?というのが、非常に難しいです。
そして、人形エルフで「結論構築」と呼ばれるようなものを作るのが比較的難しいだろうと私が考えている理由になります。
詳しく説明していきます。

3種類のアプローチ

この自由枠について、私は3種類のアプローチ方法があると思っています。
①デッキを回すカードを積む
②盤面に干渉できるカードを積む
③火力を上げるようなカードを積む

この3種類です。

突然ですが、人形エルフの欠点は何でしょうか?
私が思うに2点、分かり易い欠点があります。
1点目は、デッキを回すうえで、必要なパーツが多く、ハンドが偏ったら全く仕事ができない点。
2点目は、盤面にあまり触れられない点。

前者は、エルフというクラス全般に言えることです。
自然エルフは、ラティカ回帰を引いた上で、大樹を用意しなければなりません。
妖精エルフは、アマツやスクナを引いた上で、フェアリーを用意しなければなりません。
そして、人形エルフも、数多くのパーツを用意しなければなりません。
これは、エルフというクラスが単体のカードパワーではなく、カードの組み合わせによって力を発揮するコンセプトである以上、仕方のないことだと思います。
他のクラスであったとしても、そういう側面はあるのですが、エルフは少しその要素が強めですよね。
そこで、デッキを回すようなカードが欲しくなります。

2点目の盤面に触れられない点に関しては、妖精エルフより酷くなっています。
まず妖精エルフでは、リノ、リリィ、ブルームという、コンセプトにも合って、盤面処理もできるカード達を採用することができました。
しかし、人形エルフでは、人形軸で縦置きに触れられるカードがツヴァイしかありません。
よって、ベイリオン縦置きに対して、ツヴァイを持っていなかった時点で詰みというような現象が起きかねません。
相手の縦置きを必ず処理しなければいけないような対面において、人形軸の処理能力はいささか不安が残るものになっています。
そこで、その処理能力の不安を補うためのカードを自由枠を使って入れたくなります。

そして、これら2種類が要らないという考えの人がいるでしょう。
「デッキというのは、自分の動きを強くする事が重要であり、補助輪は要らない」という考え方の方です。
そのタイプの方は、3種類目の火力札を積むことになります。
ビートルウォーリアーなどが分かり易い例かもしれません。
ビートルドーリアーはスクナが引けなかった時のサブプランにもなり得るので、実質的に安定感を増させると捉えることもできます。
ただ、コンボギミックが整っている時は使えるけど、人形ギミックには邪魔というような、どちらか一方では邪魔になることが高コスト(エルフ使いは3コス以上を高コストと表現します)カードの難点であることを留意する必要があります。

さて、ここでは3種類の自由枠へのアプローチを紹介しました。
しかし、この3種類はどうやってもある問題に悩まされることになります。
そして、その問題によって、数多くの人形エルフ使用者が頭を抱えることになります。

最大の問題点「裏目」

先程挙げた、3種類全てに共通する問題、それが必ず「裏目」が存在するということです。
例えば、①デッキを回すカードについて考えてみましょう。
デッキを回すカードの代表例として、今回発表されたミツェルと、1コスサーチのできるフィーナがあります。
ミツェルの効果は、5コスト以上のフォロワーサーチです。
非常に優秀ですね。
アナスタシアやノアなどの強力なカードをサーチすることができます。
しかし、序盤のハンドが高コストに偏っていたらどうでしょうか?
あまり嬉しくないですよね。
逆に、4t目、下回りのパーツは全てある状態でフィーナがいても、あまり嬉しくないですよね。
ここで問題なのは、ミツェルの価値も、フィーナの価値も、それ単体の価値ではなく、それ以外のハンドにあるカードによって変わってしまうということです。
ミツェルもフィーナも必ず「裏目」が発生します。
それは、両方採用しても同じことです(勿論、確率は違うが)。

では、処理札であればどうでしょうか?
エルフの弓術を使おうと思いましたが、相手の盤面にはスタッツの高いフォロワーしかいません。
あまり有効的な処理札とは言えないでしょう。
では、ローズガーデンキーパーではどうでしょうか?
疾走フォロワーしか盤面にいない状況だと……最悪です。
ここでも問題となるのは、弓術の価値も、キーパーの価値も、それ単体の価値よりも、相手のデッキによって変わってしまうということです。
もちろん、比較的無難なシンコウウィンディや、相手に関係なく3コンボで1ドローできるキーパーの効果など、周りに依存し辛い要素もあります。
しかし、それらは1つの要素であり、大部分を占めるのは、その局面にあっているのか?ということになります(局面依存度が高いからこそ、周りに依存しにくい要素を重要視するという考え方もある)。

ドローカードにしても、面処理カードにしても、最適なカードというのがその状況毎に変わって、どんなカードを採用したところで必ず裏目が存在しています。
これがどういうことかというと、「この試合に邪魔だったから抜こう」「この試合ではあのカードが欲しいと思ったから入れ替えよう」ということをしていると、一生構築が決まらないということです。
これが、結論構築と呼べるようなものを作るのが比較的難しいと私が感じている理由になります。
ある対面や、ある大会での結論構築を作ることは、出来ると思います。
例えば、マーウィン型のコンビショが大人気の大会ではリコリスを積むべきでしょうし、超越が人気な時は処理札にさほど気を遣わなくていいでしょう。
自然ロイが人気な時は、キーパーが欲しくなるかもしれません。
また、先述した、基本パーツの採用枚数を調整して意図的に偏らせることで、低コストサーチのバリューが高い構築にしたり、高コストサーチのバリューが高い構築にしたりすることもできます。
ドローできない代わりにトップを確認できるシンコウウィンディや、コストが重いが強力なドロソのスピネを積む場合もあるかもしれません。
つまり、自分のデッキ内での評価値と、環境に対する評価値の両方を掛け合わせて、自由枠、及び基本枠の枚数調整をしていかなければならないんですね。
また、この評価値は、どちらの裏目の方が致命的かというリスクの比較と、効果的に使えた場合にどちらの方がよりリターンがあるかというメリットの比較の両方をしなければなりません。
「なんだ、当たり前のことじゃん」と思った方もいるかもしれません。
多くのデッキが、ある一定の割合でその要素をもっています(中には誰が組んでも40枚一緒というようなデッキタイプもありますが)。
ただ、人形エルフは、比較的他のエルフのデッキよりその要素が高めだと考えています。
この自由枠をどのように調整するのかで、明暗が分かれていくことになります。
逆に言うと、自由過ぎないということが、自由枠の重要性を増させているともいえるかもしれません。
コントロール系のデッキのような、人によってデッキの中身の半分くらい違うようなデッキタイプではないです。
かと言って、妖精エルフのような「自由枠」の捉え方とも違います。
妖精エルフは処理札の枠の中からブルームや相葉ユウミを「自由に」採用して、ドロソの枠の中から女神や神鉄圧連法を「自由に」採用できる枠のことを「自由枠」と呼んでいます。
しかし、人形コンボエルフは、12種、少なくとも10種は全員同じで、残りの5枚~9枚程度の自由枠の中から、そもそも、処理、ドロソ、火力、どんな風に分配すべきか自由に選べるわけですね。
勿論、色んな人がレシピを作った結果、処理、ドロソ、火力の黄金比率が見つかって、妖精エルフのようになる可能性もあります。

話が膨らんでしまいましたが、要するに、基本パーツが一緒だからこそ、人形コンボエルフにおいてデッキ構築で差を付けようと思ったらこの自由枠で差を付けるしかないということになります。
よって、この自由枠が非常に重要で、かつ非常に悩ましい存在になっています。

さらに、ドローソースについて、もう一点付け加えるとしたら、このデッキには、4つの要素が存在していることを理解しなければなりません。
4つの要素とは、
①人形低コスカード(人形生成札、ジャンクやリーアムなど)
②人形中コスカード(0コス生成札、決闘やツヴァイなど)
③コンボパーツ(スクナや調べなど)
④5コストカード(アナスタシア、ノア)

です。
人形エルフは、この4つの要素に分解できます。
①があっても、②が無ければ、操り人形でexエリアが溢れかえるだけです。
②だけあって、①が無いパターンは最初の方に書きましたね。
③のスクナがいても、④のアナスタシタがいなければ本来の力は発揮できません。
このように、4つの要素を被ることなく、均等に抱えることができれば、人形エルフはその真価を発揮しやすいです。
では、どの要素が欠けやすいのでしょうか?
または、どの要素が欠けると致命的になるのでしょうか?
この認識によって、どのドローソースを積むべきかが変わります。
「ドロソを積んで安定感を出そう!」と言いますが、その「安定感」はどの要素をもって「安定感」とするのでしょうか?
例えば、どの要素もまんべんなく重要であると考えたのであれば、ベルエンを積む選択肢がありますね。
どの要素が重要かは、ハンドによって変わると考えたのであればシンコウウィンディという手もあるでしょう。
人形生成札と、コンボパーツのスクナが何よりも大切だと考えた方はフィーナを積むでしょうし、5コスカードが重要だと考えた方はミツェルを積むでしょう。
また、今挙げた考えのうち、2種類以上を採用することもできますね。

私は今回、ミツェルというカードがいたので要素分解の④を5コストとしましたが、これも分解の仕方を変えることができると思います。
①人形低コス、②人形高コス、③コンボ、の様に分解することもできますね。
ノアを3積みして、更にミツェルを積むと、③のコンボの札に頼らなくて済むようになります。
ノアでヴィクトリアやロイドを走らせるプランですね。
私が先程から書いているのは、デッキをどのように捉えるのか?という一例を示しているだけです。
違う捉え方もできるでしょう。

このように、デッキ内の要素をどのように分解するか、そしてそれぞれの要素にどれだけの重要度をみるかで、積むべきドロソが変わります。

「なんだよ、じゃあ結局なんのドロソ積めばいいんだよ!」となる方もいるかもしれませんが、これは、どれが正解のドロソかという話ではなく、どんなドロソを積むべきかを思考する為の前提になる話です。
なぜこの話をしているかというと、先ほど書いた「環境によって左右される」という話に繋がります。
今私が「このカードいいな~」と思っているカードを紹介しても、来週には私が予想していた環境とは全く違う環境になっていて、自由枠のカードが全部入れ替わっているという可能性が高いです。
そして、人形エルフは一度それっぽい構築を作ったから終わりというタイプのデッキではなく、むしろ環境の変化につぶさに対応しながら適応していくタイプのデッキだと考えています。
とすると、「このカードがオススメだよ~」という情報よりも、「カードを選ぶ時にどんなポイントを考えた方がいいのか」という情報の方が大切になってくると思いました。
今回の話で、人形エルフというアーキタイプそのものへの根本的な理解ができてしまえば、「私は下回りの方が重要だと考えるから〇〇を積んでみよう!」「最近はこういうデッキが流行っているから〇〇を積んでみよう!」という微調整が自分でできるようになるわけですね。

ということで、今回の内容を踏まえた上で、色んな構築を試して、自分の構築を見つけて頂ければと思います。
もしかしたら、当たり前すぎる内容だったかもしれませんが、これが人形エルフの構築が難しいポイントになります。

終わりに

いざ環境が始まったり、誰かが素晴らしい構築を見つけたりしたら、こんなことで悩んでた時期もあったね~となっているかもしれませんね。
しかし、まだ見つかってなさそうですね(発売日だから当たり前だけど)。
これから、人形エルフを使ってみたいな~と思っている方は、今回テーマにした自由枠について、色々考えてみるといいかもしれませんね。
私も色々なカードを試してみていますが、環境が始まってからでないと少し難しいなと感じています。
一応のテンプレは作ってみましたが、それも自信をもって使えるところまでいっていません。
ちなみに今私が使っているやつは、人形軸とコンボ軸の章で紹介した35枚に、ミツェル2枚と弓術3枚積んだやつです。
でもあんまりしっくり来てないんですよね。

あと、今回の話は所謂「人形コンボエルフ」に限った話です。
要は、人形軸にアナスタシアとスクナを混ぜたデッキなのですが、このアナスタシアとスクナが人形エルフに対する絶対的なアプローチかと言われると、少し疑問は残るんですよね。
もしかしたら、まだ見つかっていないだけで、アナスタシアのいない人形エルフが環境を席捲することがあるかもしれません。
そういった、まだ発見されていない元々の型を模索するのも楽しそうですね。
兎にも角にも、人形エルフは非常に構築が奥深く、とても楽しいデッキだと思います。
プレイングの方は、妖精エルフをずっと擦っていた私としては、特別新しい要素がなく、さほど新鮮味はないのですが、今まで妖精エルフをあまり使っていなかった方にとっては、新鮮で面白く感じるかもしれませんね。

ただ一つ思っていることがあって、それは、人形エルフすぐに人気落ちそうじゃない?ということです。
エルフは、ここ2期連続、発売前のゲバ票が高く1週目はtier1だったのに1ヵ月もしないうちに、tier2~3に格落ちしています。
アナスタシアが発表された時は、エルフ最強!と言われていましたが、気づけばクールと超越の環境になっていました。
ラティカが発表された時は、ラティカ最強!と言われていましたが、半月もしないうちに、「回帰引けなくて負けたわ。つまんな。」となっている人であふれかえって、tier2くらいは保っていたとは思いますが、ロイ、超越に追従する形で、機械メアと同じくらいの立ち位置になっていました。
では、人形エルフはというと、先ほど挙げた2デッキ並み、なんならそれ以上に、上振れ下振れの差が激し目のデッキになっています。
「回帰引けなくて負けたわ。つまんな。」となっていた人が、そのまま「決闘引けなくて負けたわ。つまんな。」になっている可能性が高いです。
もちろん、デッキ構築を安定性に振っていけば、そういった場面を減らすことができるので、そこも面白さです。

とはいうものの、ラティカも回帰も捲れなかったから負け、と同じようにジャンクもリーアムも引けなかったから負けというのが仕方なく発生してしまうデッキタイプな気がします。
もちろん、どんなデッキでも起きるんですが、その発生率の問題ですね。
ただ、ラティカ回帰ほど、リーサルプランが限定されてはいないので、顔を削ること自体は下ブレてもできそうなんですよね。
自然エルフが、下回りが豊富でリーサルプランに乏しいのに対して、人形エルフは下回りに乏しくてリーサルプランは豊富なイメージです。

また、人形エルフは「貴方が何をプレイしたとか関係なく、こっちにコンボパーツ揃ったので、ぶん回しまーす。ぶん殴りまーす。はい、勝ちで。」という自分の動きを押し付けることができます(妖精も似てる)。
同時に「ぶん回しまーす。え?〇〇?あー、じゃあ負けで。」っていうパターンもあるんですけど。
デュエマでいうとアポロ。
遊戯王だと……なんだろ、遊戯王のデッキってそもそもがそういうタイプのデッキ多いですよね。ヌメロンとかが分かり易い例なのかな。
ポケカだとピオニーミライドンで、ワンピカードだと……なんですかね?レイジュはちょっと違うか。あんま良い例え思いつかなかったですけど。
そんな感じのデッキタイプなので、器用さに極振りした様なデッキが好きな人、ロスト・サカズキ・マーウィン派閥と私が勝手に呼んでいるタイプの人にはたぶん合わなそうなんですよね。
ただ、基本パーツの調整と自由枠でかなり器用さに振る構築を作ることもできるので、そういう面でも、プレイヤーの趣向が反映しやすいデッキかもしれませんね。
また、いまあるアナスタシア型人形はあくまでぶん回し系が好きな人が使うデッキであって、本当は様々な色を出すことができる、懐深いギミックかもしれないですね。

いろいろ書きましたが、みなさん、人形エルフを是非試してみて下さい。
そして、良いレシピが見つかったら私に教えて下さい。
ほんと、お願いします。ほんと。
私は、大枠はパクリまくって、ほんの少しの自由枠をどうするのか?っていうのだけでも自分で考えるのを楽しく遊んでます。
きっと、大枠がそっくりそのまま入れ替わるということはどんなカードゲームでも比較的少ないですよね。
デッキ全体で見たら小さい要素だけど、その数枚でデッキ構築の差が出ると思うとワクワクしますね。
デッキを組んでいてとても楽しいです。

ここまで読んでいただいた方の中には、「なんだ~全部知ってる内容だったよ」となっている方もいるかもしれません。
ただ、noteを書くと自分自身の思考が整理されるから書いてるというのと、noteの文章全部が読者にとって有益である必要もないと思っているので、今後もちまちまnoteを書いていけたらなと考えています。
Aさんにとっては、後半の自由枠の話が新たな視点だったかもしれないですし、Bさんにとっては人形軸の概要が必要な知識だったかもしれないですし、Cさんにとっては全部知っていたけど確認ができたor通りすがりの考えとの違いが知れた、となるかもしれないですよね。
読んでいる人によって、必要な情報は違うものですし、コイツの言ってることは間違っている!と思うのも必要な情報の一つかもしれないです。
ですので、これからもそれほどハードル上げずに、気が向いたらnote書こうと思います。
皆さんも、気が向いたら、適当に流し読みしにきてください。

今度は、プレイングの話を書けたらいいな~とフワッと思ってるんですが、大会実績とか引っさげてないとその手の話は書きづらいんですよね。
また、気が向いたら書きます。
ということで、少しでも皆さんの参考になっていたら嬉しいです。
ここまで読んでいただいてありがとうございました。

〈前回のnote〉↓


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