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Moke リリースです!




【Moke】
Style:Rauch
ABV:5.5%


燻製した麦芽をつかったスモーキーなフレーバーが特徴のラオホというスタイルです。
濃いオレンジ色の見た目で、しっかりとした味わいながら重すぎないバランス。
スモーキーさと相まって甘やかな香りが口いっぱいに広がる一杯となりました。



Rauchとはドイツ語で煙という意味です。
その名の通り燻製した麦芽をつかったビールで、ドイツのバンべルグという街にルーツを持ちます。

Rauchにも色々と種類があるのですが、今回はRauch Marzenというスタイルに分類できます。

今回はバンベルクの街でブナの木を用いてスモークされた麦芽をふんだんに使いました。
本場のものはもっと強烈な燻製香がするものもありますが、やや控えめにして食事とも合わせやすいバランスになっています。

燻製風味のビールというと珍しい感じもしますが、少し昔はほとんどのビールがそうだったのではないかと思っています。

というのも、今のようにガスが発達する以前の熱源は薪や炭が中心。
BBQで食べるお肉のように、意図せずとも大体のものは燻製風味だったのではないかと想像できますね。

時代と共に熱源の香りがつかないような工夫がされてきたのだと思いますが、現在においても燻製ビールが街の名物というのは不思議に思うこともあります。

何年も前に一度だけバンベルグの街に行ったことがあるのですが、街の中心部に近づくにつれどこからかラオホの香りがしたとかしないとか。
歩いて回れる範囲にブルワリーが点在し、いくつも飲み比べたのはとてもいい思い出です。


敬遠されることも多いビアスタイルでもありますが、一度先入観を捨てて飲んでもらえると嬉しいです。


おまけ

今回のビールの決め手となる燻製麦芽。
バンベルグにある製麦メーカーのWeyerman社のものです。
Beech=ブナの意味で、文字通りブナの木を用いて燻製させた麦芽です。

本文でも少し触れましたが、ガスなどが発達する以前の熱源は薪や炭が中心でした。
また現代のように熱源に左右されない金属製の釜や乾燥機などもなかったことが想像されます。

これは製麦のプロセスにも大きく関わってきます。
通常製麦の流れは、麦を浸水→発芽→熱乾燥(成長を止めるため)となります。

最後の熱乾燥の部分が特に麦芽の味わいに大きな影響を与えます。

古典的な設備で薪を用いて乾燥を試みると当然、その煙の香りもつきますよね。
ということは、意図せずとも燻製麦芽が出来上がるというわけです。

なので前述した通り、昔のビールのほとんどは燻製風味であった可能性もあります。
実際に、北欧の農家のビールなども同様の理由で燻製風味のものも多かったようです。


時代や技術の発展に伴い、変化を続けてきたビール。
歴史の中に埋もれたビールに思いを馳せ、こうして再現できることもまた一つの大きな楽しみでもあるのです。

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