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Yero リリースです!




【Yero】
Style:Wallonian Pils with Yuzu
ABV:4.5%

Neroをベースに熊本県人吉村で無農薬栽培されたゆずを使いました。
フルーティながらもクリスピーさのある飲み口とゆずの華やかでありながら素朴な味わいがマッチした清々しいビールとなりました。




チェコで生まれたピルスナーの製法がベルギーの南部ワロン地方に伝わったらこんなビールになるか?と妄想を膨らませながら造ったのがNeroというビール。
フルーティーさがありながら、クリスピーでキレの良い後味でピルスナーのような側面も持ちます。

今回、茅ヶ崎在住の知人のご両親が熊本でゆずを栽培しているということで特別に分けていただきました。

ゆずの風味を活かすためにひとつひとつ手作業で皮、果汁、搾りかすに分けそれぞれを余すことなくつかっています。

原料のほとんどを輸入品に頼らざる負えない僕らにとって、原料となるものを自らの手で加工するプロセスはとても大事なことです。


ゆずの個性を活かしつつも派手になりすぎず、Neroらしいクリスピー感のあるフィニッシュを目指しました。


新しい一年の祝福のお供に是非どうぞ。


おまけ




ゆずについて。

今回使ったゆずは熊本県人吉村で無農薬で栽培されたものを使用しています。

本文でも触れましたが、茅ヶ崎在住の知人のご両親が熊本に移り住みゆずを栽培しているものを譲ってもらった次第です。(ゆずだけに)

熊本には行ったことはないのですが、原料を通してその地のことに思いを馳せる時間はとても嬉しいものですし、今後その地に行くべき理由の1つにもなります。

さて、お客様に聞かれる質問の中で「フルーツはどのタイミングで使うんですか?」というものがあります。
本当に様々な方法があるので「フルーツによりけりです」なんて答えになってしまうことも多いのでせっかくなので少し解説します。

フルーツに限らずですが、副原料を入れるタイミングは大きく分けると以下のようになります。

まず、ホットサイドorコールドサイドの大きく2つに分かれます。
その名の通り、ビールもしくは麦汁が、熱い時か冷たい時か、ということです。

ホットサイド=酵母を加える直前までの仕込みの段階
コールドサイド=酵母を加え発酵が開始した以降

となります。

さらに細分化すると以下のようになります

ホットサイド

・糖化中
 →主に穀物など澱粉を多く含むもの。米、芋、カボチャなど。
・煮沸中
 →煮込むことで、味をより引き出せるが香りも飛びやすい。スパイス、ハーブなど。
・煮沸終了後
 →味を引き出せつつ香りも比較的残りやすい。スパイス、柑橘の皮など。

に分けられます。
また、共通して熱を加えることで殺菌できるというメリットもあります。

コールドサイド

・発酵中
 →糖分を含むものは発酵中に入れることで一体感が増すと共に余計な糖分が残らなくて済みます。発酵中に生じるガスによって多少香りが飛びます。果実そのもの、もしくは果汁など。
・発酵終了後
 → 低温なので時間はかかるが一番フレッシュな香りが引き出せる。通常のドライホップもこのタイミング。柑橘の皮、ハーブなど。

Yeroではゆずを皮、果汁、絞りかすの3つに手作業で加工しそれぞれ違ったタイミングでつかいました。
順番で言うと絞りかす→果汁→皮となります。



絞りかすはホットサイド、煮沸終了間際に麦汁に投入。
皮の白い部分や果肉には雑味や苦味が含まれるので使わない人も多いですが、あえてそれらの雑味を引き出すことで、柑橘の皮の香りだけでは出せない“立体的な柑橘感“にするのが狙いです。
とは言っても煮込みすぎると渋い味わいが残ってしまうので、煮沸の終了間際の短い時間に留めています。

次に果汁。
殺菌のためにホットサイドで添加することも多いですが、果汁のもつジューシー感を引き出すために非加熱の状態のものをコールドサイド/発酵の途中で加えました。
ゆず果汁のもつ糖分も一緒に発酵させようという意味もあります。
発酵で生じるガスと共に多少風味は飛びますが、しっかりとしたベースの味わいにつながったかと思います。

最後に登場するのが皮です。
柑橘類はやはり皮が主役と言っても過言ではないかもしれませんがバランスを見誤ると香水のようなきつい香りになってしまいます。
今回はコールドサイド、発酵終了後にホップと一緒に約1週間ほど漬け込みました。

3つに分けた原料をそれぞれ適切なタイミングで使うことで狙っていた“立体的な柑橘感”のある仕上がりになったのではないかと思います。

そもそも果実として完成しているものを一度解体し、再びビールというフォーマットに落とし込み、果実本来がもつそれを超える新しい“飲み物“とするための本工程。

これこれ。これが楽しいんですよ。醸造って。

ということで、ゆずについてのお話でした。

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