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Better リリースです!




【Better】
Style:Bitter
ABV:4.5%


イギリスのパブで愛されるビター。名前とは裏腹に苦味は抑えめ。カラメルやドライフルーツのような香り、程よいボディ、けれども飲み飽きないバランス。ベストじゃないがベターなやつです。




ややこしいことって色々ありますよね。
オノヨーコは女、小野妹子は男。
じゃあ、オノノヨーコは?とか。


これはビール業界に残されたややこしい話しのひとつ。
苦くないのに「Bitter」の冠をつけたイギリス生まれの褐色のビール話しです。

苦味は弱めです。いや、昔はこれでも苦かったのかも。
時代が変わったのか、僕らが変わったのか。
現代のクラフトビールシーンにおいては間違いなく"苦くない"部類です。

だけれど、とてもいいビールなのです。
モルトの風味を味わえつつ、飲み飽きることはない絶妙なバランス。
ふんわりと香るホップの香りも絶妙なアクセントです。
考えました、何かいい呼び名はないものかと。
ビターという名前のせいで、「苦くないじゃん!」なんて言われるのも悲しいし。

総じて、「いいやつ」の雰囲気。ビターはやめて、ベターでいこうか。
Bitter beer make better life.
Better beer make bitter life.
あれ、どっかで聞いたことある?


その昔、イギリスでは各家庭でビール造りが盛んに行われていたようです。
つまりお袋の味=ビールなんて人もいるのかな。
さすがに僕にはその感覚はわかりませんが、心象風景に問いただすと、真夏に飲む冷えた麦茶や、部活帰りに飲んだ紙パックの紅茶のような、気取らないけど寄り添うやつってイメージです。



おまけ

インドで飲んだIPAの話し。

クラフトビールを飲むようになって、多くの人が初めて覚える蘊蓄のひとつといえば「IPAってなんの略?」じゃないでしょうか。

もはや説明不要かと思いますが、IPA=India Pale Aleのこと。
その昔、インドがまだイギリス領だった頃、インド駐在の兵士に向けてイギリスから送られたビールです。
当時は冷蔵技術はもちろんなく船に乗って何ヶ月もかけて行くような時代。
当時主流だったPale Aleではその環境に耐えられず腐敗してしまったそうです。

そんな問題をなんとかすべく、立ち上がったブルワー集団。

腐敗を防ぐためにたどり着いた方法は
1.アルコール度数を高める
2.ホップをたくさん使う
ということでした。

ホップには抗菌作用があり、これが腐敗を防いだのでした。
が、同時にホップは苦味のもとでもあるため、度数が高く苦味の強いビールが生まれた、というのが定説です。

相変わらず長い前置き。

2019年の6月にインドに旅行に行きました。
目的はビール、ではなく南インドの料理を堪能するため。

物価の違いから100円程度で美味しいミールスが食べれてとても幸せでした。

ですが、やっぱりビールが飲みたくなるもの。できれば地のものが。
しかし、南インドは多くのエリアで宗教上の都合から禁酒令が敷かれていました。

色々調べていく中で、インドのおよそ中心にあるバンガロールという街は「インドのシリコンバレー」と呼ばれ、酒にも寛容でブルワリーまであるらしい、という情報をキャッチし夜行列車の2等席に乗り込み10時間を超える大移動をしたのでした。

街に着くなり、事前の情報を元にブルーパブを目指しました。
近代的な建物(日本では普通ですが、それまでのインドとのギャップからそう感じた)の中に入ると、カウンター越しに醸造設備が!
そして、黒板を見るとなんとIPAの文字が。

インドにいるイギリス人向けに作られたIPAが、時を越えインド人によるインド人のためのビールとなっていたのです。
つまりIndian India Pale Aleとでも言いましょうか。

戦争という悲しい歴史を乗り越え、世界は少しずつ平和になっているのかな、なんてことを感じた思い出のビールの話しでした。


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