Koppu リリースです!
【Koppu】
Style:Raw Pale Ale
ABV:4.5%
麦汁を煮沸しない製法でつくった、どこか素朴な印象もあるペールエールです。
酵母とホップの組み合わせで、パイナップルやフルーツオレのような香りですが、甘ったるさはなく穀物感のある優しい飲み口でさっぱりとした後味となっています。
麦汁を煮沸しない昔の製法でつくった、素朴なペールエールが出来ました。
まだ大きな窯や鍋がなかった時代に生まれたであろう製法を用いつつも、アメリカ産の比較的新しい品種のホップを用いるなどして古典的なビールを今の気分に合うようアレンジしました。
パシフィックでは以前にも北欧農家的製法で仕込んだ「Potto」というビールがあります。
基本的な製法は近いのですが、「Potto」は製法から原料までかなり昔っぽいものを選んでいましたので、一見似たようなコンセプトでありながら目指しているところは少し違います。兄弟分というよりは、親戚のような関係とも言えるでしょうか。
ヨーロッパに点在する農家にルーツを持つビール(そもそも昔はほとんどの家庭が農家だった)やイギリスの家庭で作られていたエールなどビールがまだ工業化する前の姿を思い浮かべ、日常の中に馴染むような素朴でありながら懐深い味わいを目指しています。
味わいですが、酵母由来のパイナップルやトロピカル感のある香りに素朴な穀物感やホップの香りが組み合わさりフルーツオレのような雰囲気でありながらも、シンプルでさっぱりとした飲み口。煮沸をしない製法ではタンパク質が多く残るため、絹のような柔らかい口当たりなのも特徴です。
香りと味わい、それと質感の組み合わせが古いようで新しく、高度に体系化されたクラフトビールの世界からちょっとはみ出すような、そんなビールです。
缶詰めをするにあたって少しガスが強めになっているのですが、炭酸が少し抜けた感じも相性がいいです。少しガスを抜くような注ぎ方をすると、柔らかな穀物感を感じやすくまた違った印象になるので是非試してみてください。
おまけ
(※2バッチ目からは酵母を変更しています)
今回の「Koppu」というビールですが、ノルウェーの「Grodås」という地方にルーツを持つ「Espe」という酵母を使っています。
いわゆる”Kveik”と呼ばれる種類で北欧の農家が代々受け継いできたものです。
あらゆる家庭などから採取したものが、時にはブレンドされアメリカの酵母メーカーなどから商品としてリリースされています。
高温での発酵でありながらクリーンな性質を得られたり、個性的な香りがすることなどから時にはHazy IPAのようなスタイルにも応用されるなどとても面白い酵母です。
そんな「Espe」ですが、Omega Yeast社の商品説明では以下のように紹介されています。
フルーツ感のある香りを出す酵母は珍しくありませんが、その中でもライチや洋梨などのキャラクターはとても珍しく、どんな仕上がりになるのだろう?と、とても気になっていたので今回使ってみることになりました。
そのフルーツ系のフレーバーを活かし、IPAのようなホップ主体のスタイルに落とし込むのも考えたのですが、せっかく北欧の農家にルーツを持つので、製法もそれに倣ったものにしたら面白いのではないかと思いこのビールが生まれたという背景もあります。
ホップこそアメリカ産の比較的新しい品種で、ドライホップも施すなどとしてますが、実は製法、原料、酵母などは昔からあったものなのです。
味わい的にはある意味今っぽいとも言えるんですが、でもやっぱ古いような、新しいような、なんだか感情が揺さぶられるような味わいになっているのがとても面白いなと思っています。
本文でも登場しますが、以前に作った「Potto」というビール。こちらも煮沸をしない古典的な製法を用いていて、リリース時にはその製法の部分により着目した記事も書いてますので併せて読んでいただくと、「Koppu」というビールがより立体的に楽しめるかと思います。
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