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Curious リリースです!


【Curious】
Style:Sour Ale with Cucumber and Jalapeno
ABV:4.5

きゅうり!とハラペーニョ、ハバネロを使ったサワーエール。
それらの青く爽快な香りと、程よい酸味にピリッとした辛さが特徴です。
単体ではもちろん、料理との組み合わせが楽しい愉快なビールになりました。


夏の風物詩、"きゅうり"を主役に迎えた一見物珍しい?ビールが出来ました。

きゅうりというと"食べ物"のイメージが強く、その"飲み物"と聞くとギョッとする方もいらっしゃるかもしれません。
ただ少し視線を外国に向けると、意外と飲み物との組み合わせも多く存在します。
カクテルなんかでは度々登場して、その独特な青さが爽快さを演出し、なんとも新しい味覚で楽しいものなのです。
個人的には、子供の頃に飲んだきゅうり味のペ○シが記憶に残っていて、幼いながらに「悪くない」なんて感想を抱いたことを思い出します。

今回は茅ヶ崎産の朝獲れきゅうりに加えて、群馬で世界の唐辛子を栽培する「Peppers.jp」が栽培したフレッシュなハラペーニョとハバネロもアクセントとして加えました。

ベースとなるビールは乳酸発酵をしたサワービールで、それらにきゅうり、ハラペーニョ、ハバネロを漬け込んでいます。海塩も加えることで少しまろやかな印象も。
独特な青みのある香りや柑橘の様な香りに加えて、程よい酸味、辛味、塩味が一体となる、なんとも豊かで爽快な仕上がりです。

タコスなどのメキシカンフードとの相性は言わずもながですが、これは意外と和食なんかも相性がいいのではないか?と思わせるような不思議なビールとなりました。


夏の名残りを、こんなビールと共に過ごすのはいかがでしょう?


おまけ

きゅうりのビール。なんだか奇想天外な響きですね。
確かに変わったビールだと僕も思いますが、奇抜なものを求めた末に作った苦し紛れのビールというわけではありません。
むしろ、僕にしては珍しく1年近く前から構想を練っていたビールです。
というのも、唐辛子が旬を迎える夏〜秋にかけて何かビールを作りたいなと考える中で、きゅうりとの組み合わせなんか面白いのじゃないかと思いついたことが事の始まりです。

前職時代に唐辛子の美味しさに目覚め、またいくつかの唐辛子入りビールが生まれる瞬間にも立ち会ってきました。自分でレシピを書いたものもあって、それは手作りゆず胡椒を使ったビールでした。
せっかくなので、違う食材との組み合わせも試してみたいと思った末に出会ったのがきゅうりだったのです。

パシフィックではこれまでに様々な原料を用いてビールを作ってきましたが、流石にきゅうりは異質というか、未知すぎて一体どのくらいの量をどんなタイミングで使ったらいいのか?そもそもきゅうりのビールって美味いのか?なんて心配もしていました。
「新しいビールは試作とかするんですか?」とよく聞かれますが、答えは「ノー」に限りなく近いです。というのも少量のビールを作るにもその設備の申請や記帳義務などもあり小さなブルワリーにとってはあまり現実的ではありません。
ですが、これに関しては流石にぶっつけ本番は怖くて、できる限りのことはしようということで、味わいの近いビールに実際にすりおろしたきゅうりを入れてその味わいや適切な量を探りました。(Umeeが仕上がるころだったのでそれを実験台に用いました)
ついでにタバスコを代用品として、辛味の具合も探ってみました。
やってみると「やっぱりきゅうりって結構良い」ということがわかったので実際にビールを仕込んでみることに。

ベースとなるビールは乳酸発酵をさせたサワービールに軽めのホップと海塩を入れたものです。
乳酸菌にも色々株があるのですが、最近のお気に入りは↑の2種類のブレンドです。
酸の質と香りのバランスがとてもよく、果実味のある仕上がりになるのが特徴です。

主役のきゅうりはヘタだけ落とし、おろし金ですりおろしました。
この時は金属製のものでやっていますが、のちにプラスチック製の鬼おろし用が調子良いことに気づき金属製は降板してます。荒く削った方が水分が出過ぎないというメリットがあります。

ハラペーニョとハバネロは群馬の「Peppers.jp」さんよりフレッシュなものを届けていただきました。世界中の唐辛子を自ら栽培していて今回は旬の唐辛子をいくつかご紹介いただきその中からこの2種類を選びました。
ビールはただ苦い飲み物ではないのと同じように、唐辛子もただ辛いだけの食べ物ではなく香りや味わいも様々でとても面白いです。

唐辛子は荒くみじん切りにしました。種に辛味が集中しているので取り除く方もいますが香りもぎゅっと詰まっているので種まで余すことなく使っています。


すりおろしたきゅうりと唐辛子はネットに入れて発酵中のビールに直接漬け込みました。
必要以上に味が出ないように味見をしながら、最適なタイミングでビールから取り出しています。
終始ドキドキとしてましたが、結構いいバランスで着地したのではないかと思っています。きゅうりと唐辛子の個性がはっきりと感じられながらも、きちんとビールとしての美味しさもあるというか。

ブルワーとしては、技術力を強調したいところですが、結局は素材の力というか旬のものってうまいよなーということを改めて感じたビールでした。

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