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Fluss リリースです!

【Fluss】
Style:Gose with Lemon
ABV:3.5%

ドイツ発祥の小麦のサワーエールを国産のコリアンダー、レモン、塩をつかって仕上げました。明るく、軽快な味わいでありながら、しっかりとうまみも感じられ、水分補給にぴったりな一杯となりました。


ドイツにルーツを持つGoseという小麦のサワーエールができました。

乳酸発酵による酸味と、塩やコリアンダーを用いて作られることが多いこのスタイル。諸説ありますが、炭鉱夫などの肉体労働者向けに作られたビールだそうです。
今回は小麦主体の麦汁を乳酸菌で発酵させて酸味を持たせ、塩、コリアンダーに加えてレモンも使って爽快感のある仕上がりを目指しました。

せっかくなので、副原料は全て国産のものを選んでいます。塩は瀬戸内海の豊島で風と太陽の力だけでつくられる自然塩を。その製法から季節によって結晶具合が変わるのが面白いところで、今回は冬塩と夏塩をつかってみました。それぞれ海の恵みを感じられるミネラル感たっぷりの味わいでビールに深みをもたらしてくれました。
レモンも、瀬戸内海は大三島より花澤家族農園さんが栽培した無農薬のものを使用しています。パシフィックでは伊予柑や八朔などでもお世話になっているとても気さくな農家さんです。レモンもまた季節によって味わいが変わりますが今回使用したものは酸味と甘味のバランスがとても良く、そのまま食べても酸っぱすぎない素晴らしいものでした。
コリアンダーは岡山県で無農薬栽培されたものを。海外産に比べるとやや香りは穏やかなものの、独特の滋味深さがあり他の原材料との相性もとても良かったです。

そんな原料を用いて丁寧につくったこのビールですが、コリアンダー、レモン、乳酸菌それぞれからなる柑橘感のある香りが複雑に混じりあい、爽やかな酸味や香りが口いっぱいに広がります。3.5%と低めの度数でありながら塩が味を引き締めることで、柔らかさとふくよかさのある仕上がりです。なんだか日本らしさを感じるバランス感で、国産のホップや麦芽をつかったラガーとかを作ったらこんな味わいになるのかな、なんて想像もできました。

塩分補給でくいっと飲むのも良いですし、お食事との組み合わせの幅も広そうなので色んなシーンで楽しんでもらえたら嬉しいです。



おまけ

Flussはドイツ東部発祥のGoseというスタイルのビールでした。
これはドイツのハルツ地方のゴスラーという町で生まれたビールだそうです。ご存知の通りドイツにはビール純粋令という法律が存在していたので副原料をつかったビールは絶滅の恐れすらありましたが、東西ドイツ分裂期に東側に位置していたライプツヒという町で細々と作り続けられたことから、なんとか存命。現代でも数は少ないが醸造を続けているところもあるようです。今ではホップ以外のものは副原料なんて呼ばれてしまいますが、その昔は複数のハーブを用いてビールを作っていたのでホップやコリアンダーなどもその中の一部に過ぎなかったのでしょう。 そして、肉体労働者向けに塩を入れたという説が濃厚のようですが、そもそも酸っぱ過ぎるビールの味わいのバランスを取るためだったのでは無いかなんてことも想像できます。Faroというランビックに砂糖を入れたものや、漬物が古くなったので炒めちゃおう、とかと同じような発想なのかなと。

僕はGoseを飲むたびに思いだす酒があって、それがインドの一部地域で作られるToddyというヤシ酒です。これはヤシの木の樹液を集め適当なバケツに入れて放置したもの。気温も高いのでどうやら一晩くらいで発酵も終わるそうです。味はほんのり甘くて酸味が特徴的。まっこりとかも近い味わいかもしれません。多分3%くらいのアルコールで、注文するとバケツからすくって網で濾して(虫がたくさん浮いてるので)コップに注いでくれます。常温なのでなんとも言えない味わいなのですが、良く冷やしてレモンでも絞ったら結構うまいと思います。自然発酵、無濾過、非熱処理、化学物質無添加、地元の原料。さながらナチュラルなんとか。先進国の都会に住む人が大好きなフレーズは意外とこんなもんなのです。
工業化と効率化が加速する現代に生きていると前ばかり見てしまいますが、ふと立ち止まって周りを見渡すと人が暮らしをしていくために本当に必要なことが、意外とすぐそばにあったりするのかもしれませんね。

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