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おじさんって10回言って?いい響きだなぁ。おじさんはおじさんでもプロのおじさん。熱海五郎一座

すでに記憶がちょっと遠いけど、印象的だったことをつらつらと。

お芝居が終わると毎回カーテンコールがある熱海五郎一座。

熱海五郎一座名物、ロングタイムカテコ

カテコの概念を覆す体感平均30分のカテコ。実際は20分くらいなんだろうか。カテコって5分あれば長いくらいかと思っているので熱海のカテコはカテコという名の3幕目なんだと思う。

あったかくして帰ってね、という白湯のようなコーナー。

千秋楽のカテコも、いつもの三宅さんの安定したお声で始まった。三宅さんも、他の皆さんも口をそろえて言われていた


「満席の客席で迎えることができた千秋楽の笑いの厚み、大きな拍手、温かくてすごかったです」


その言葉を聞きながら、千秋楽、満員御礼の客席でよかったという思いと、販売制限がある中、いつも満タンの笑顔でお客さんを帰してくれた一座を思い、ありがとう、そして申し訳ない、そんな思いも沸き上がった。

毎日満員の客席を見ていただきたかった…。そう思ったのは私だけではなかったはず(昇太さん・・・?)

公演も後半になって気づいたけど、あのロングカテコは東京喜劇ならではなんだろうか

プロの演者さんたちが公演にプラスしてそれぞれの色を客席にみせてくれる、そんな意味合いのある時間。

あの時間の積み重ねで、客席は密かにそれぞれの推しができたりして、思い入れが増して、段々演者さんへの認識が変化していった。

わたしの場合の演者さん認識の変化

観劇前:芸歴の長い芸能人→初日:おもしろいおじさん→二回目:かわいいおじさん→三回目:かわいくて大人なオジサマ→4,5回目:かわいいプロのおじさん集団!!


(進化してるのかよくわからない書き方になったけど超絶ほめてます!!)


最初はなんていうか、ほんとおじさんの芸能人という認識だった。でも最後にはもう大尊敬でフィニッシュ。

だって、おじさんたち、舞台でめっちゃゆるいの。ほわわーんとしてて。セリフも別に完璧じゃないの。メインの人が長台詞してるとき、ちょっと離れたとこにいるおじさんたちは緊張の糸はない(ように見える)。

指先まで今〇〇を演じてるからこのセリフを受けてこの仕草になるはず・・・的な作りこみへの執念にぎらついてはいない。


半面、紅さんは百戦錬磨の宝塚のトップスターで組を率いてきた方だから、もう隙がゼロ


役柄もあり、頭のてっぺんからつま先まで元星久美。舞台上にいるときは誰よりも役
それが私からすると誇らしくてうれしくて久しぶりでキュンキュンして誇らしくてまぶしくて記憶装置は飛ぶしときめきメーターは振り切れるし、紅さんの舞台の隅々までよく通るまっすぐな声をきいて本当にしあわせで誇らしかった(何の話でした?)


おじさんたち、緊迫のギラツキはないように見えていたけれど、誰かが噛んだり予定調和と違うことが起こると瞬時に適正な間でツッコミが入って笑いに変える。その笑いはクス、のときもあるし、爆笑のときもある。不思議なことにその笑いが「今日のあれ、見てよかったー」というラッキーポイントになってしまう。

そして、ちょこちょこ修正される台本

アンケートに「感想は演者が読ませていただきます!」と強めに記載されているのは本当なんだろうなと思える反映のスピード

戦時中のことを描いたとはいえ、観るものの年齢層と現代の空気からちょっとそこは笑えない・・という声を反映して微修正を繰り返し、最終固まるまで数回、変更したシーンもあった。三宅さん曰く毎日の反応を録画したものを確認して修正をかけていると。

それなのに舞台観ているときはそんなこと全く感じない楽しそうな一座の皆様


このおじさんたち、すごいプロなんだろうなー(語彙)


一周まわったプロは、“俺はプロ!”って看板に書いて見せる必要はなくて、むしろ鷹の爪を隠した、というより「ありませんよ爪なんて」というオブラート具合で。


何となく見に来たお客さんをいつの間にかほっくほくにして帰すことができる人たちなんだな、って思うようになった。

だから最初は歴の長い芸能人、というだけの認識だったおじさんたちのこと、最終「かわいいプロ集団」になりました。もう尊敬の嵐でもし町で会ったら「師匠‼」って声をかける勢い。

これが第7弾まで続いている所以なのかな。

一座のファンさんもたくさんいて

Twitterには全然いないのに現場にはめちゃくちゃ一座のファンさんがいる

紅さんやゆいちゃんに、義理の笑い声じゃない、野太いガハハハッの笑いをたーくさんくれてありがとうございました。いやおもろかったですもんね。そうなりますわな。ガハハハッ

ゆいちゃん

ゆいちゃんもまた、初日から楽にかけてどんどん印象が変わっていった。本当にアイドル界への知識がなく、名前は知っているけど…というレベルだった。

それがこんなにも思い入れすることになるとは。やっぱりインスタライブの効能は大きかった。ゆいちゃんの人柄を知れたし、頭の回転が速いこともまざまざと理解した。
紅さんとのポンポン飛び交うやり取り。10個下とは思えない堂々たるツッコミ。

あの捌き加減を見てしまったら、そりゃその後の観劇で壊れかけのレディオに

「そういうのいらないですから」

って見事に切り捨てたり、

「行動するのが怖いんですね」

の芯を食ったセリフに真実味が増してドキリとしたり。

おこがましい言い方だけど、伸び率優勝はゆいちゃんだとおもう。
かわいらしい印象の初日から、いつの間にか千秋楽ではもうゆいちゃんだってことは忘れてアキバちゃんとさくらちゃんにしか見えなかった

まっすぐに見つめあって元星さんと志を同じだと確認しあうシーン、好きだった

逆境に置かれた二人、あきらめたり投げ出したりする選択肢には見向きもせず、協同して進むことだけ考える

勇気と希望をもって(タミによぎるひとかけら)

特に中日以降のあのシーンは毎回観劇後も心にのこるシーンになった。

そして劇団SETさん

あんなにすごい人たちの劇団だとは!!!
初日の2幕のアクションに度肝を抜かれた。

まさか喜劇見に行って、どこでも見たことのないようなアクションを見ることになるなんて思いもしないじゃないですか。


3場面転換して、その間5,6か所で同時に立ち回りが行われてる。どこを見ても「今マジで当たったから」と思ってしまうような大迫力。

5メーターくらいのとこから飛び降りてくるし。よく見たら普通に女性もいるし。いるどころかめちゃくちゃ飛び蹴りとか回転とかしてるし。どうなってるんだ。何回見ても全く目が足りませんでした。

そしてそんな素晴らしい劇団SETさんと組む立ち回りの紅さんのかっこいいことよ。
紅さんの立ち回りのかっこよさ、更新しました。見惚れて見惚れて大変。
シュ!バシュ!バキ!ドゴ!
戦闘音とともに吹っ飛んでいく日本兵たち。みて!うちの紅さん超絶最強、超絶ヒーロー!
超絶かっこいい!!!きゃ~~~!!!ありがとうございます、SETのみなさま


SETさんたちのみなさんの声の通り具合も聞いていて気持ちのいい舞台ボイスで。
アメリカンガールのときはとってもセクシーダイナミックでキュートだし、フィナーレではドレッシーにデュエットダンスも踊っちゃって、七変化のSETさんに感服です。

武蔵大尉、裏切ってごめんなさい、立ち回りで差しで向き合うとき、切なかったです。でもそのあともあきらめず恋人よ我に帰れで志願してくる武蔵大尉かわいかったです。
木下桜さん、コワレカケノ奪い合うトランプポーカーの下り、毎回絶妙な温度で話すセリフめちゃくちゃ好きでした。

ふう・・・ほんとうは、カテコの話を書こうと思ったけれど、どうやら私、日常ではなかなか書けなかった熱海五郎一座の皆さんへの感謝の念を記したかったみたいです。


日々演者の皆さんがツイートしてくれるのも、ファンへの愛のこもった広報活動でした。一日たってそれがなくなり、今、一番、終わったんだなと実感しています


本当に期待していた何倍もの舞台を魅せてもらいました。一年延期して、それでも上演してくれたこの東京喜劇、最高の観劇体験となりました。

あらためて、ありがとうございました!


(紅さんの話はまた別に・・・)

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