#85 canとbe able toの違い
1. 現在時制における使い分け
能力には，人に備わっている「内在的な能力」と，周囲の状況から考えてある行為が可能なことを表す「状況的能力」がある．「彼は上手にピアノが弾ける」というのが前者で，「雪が降ったからスキーができる」というのが後者である.
can との比較
現在時制では be able to は｟正式｠．頻度は can の方が高い: I can speak French. 私はフランス語が話せる 《◆I am able to speak French. は能力の意味を強く表すため横柄に聞こえたり自慢気に響いたりする》
can が使えるときには be able to も使える．ただし can よりも「できる」が強調され，やや改まった感じになる
現在形ではcanに比べてbe able toは(ややかたく)，頻度も低い．特に否定文ではcan’t, cannotが好まれる.
現在時制では can を用いることの方が多く，特に I can の意味のときは，I am able to や I have the ability to のような回りくどい使い方はしない。
• l can swim.（私は泳げる）（△）I am able to swim.
drive, play, speakなど熟練･学習した能力を表す動詞や知覚動詞を伴う場合はcanの方が好まれる
▶It is a matter of fact that Ally can [cannot] drive a car.
アリーが車を運転できる[できない]のは事実だ.
2. 過去時制における使い分け
「潜在力」を表わす can の過去形 could は「やろうと思えばできた」 というだけで実際にやったことは意味しない．実際にできたという場合には be able to の過去形を用いる.
過去時制では「継続的な能力」，つまり自分がしたいと思う時にはいつでもできることを表す場合には could が好まれる:
I could stand on my hands when I was young.
若い時には逆立ちができた.
was［were］ able to は過去に行なった特定の行為について言う時に使う: After a week in bed, she was able to return to work.
彼女は1週間病気で寝込んでいたがようやく仕事に復帰できた.
I could swim one kilometer when I was ten.
10歳の時1キロ泳ぐことができた
（◆ 当時の能力を表す）
I was able to swim one kilometer in fifteen minutes the other day.
先日1キロを15分で泳ぐことができた
（◆ 実際に泳いだという事実を表す）
× By reading quickly, I could finish the book before the library closed.
⚪︎ By reading quickly, I was able to finish the book before the library closed.
（速読することで，図書館が閉館するまでにその本を読み終えることができた）
困難なことをうまく成し遂げたことについて述べる場合にはcouldではなく，be able toを使う。
3. ableの語法
Jenny felt able to agree with him.
ジェニーは彼の言っていることに賛成できると思った
《◆連結動詞としては他に become, seem などが用いられる》
As we had plenty of money, we were more［better］able to help them.
私たちは金銭的に余裕があったので（他の人よりも）もっと彼らの力になることができた
《◆原級を強める時は perfectly, quite, well などを用いる：She is well able to play the piano. 彼女は上手にピアノが弾ける》
Ellen is better [OR more] able to run the committee than I am.
エレンの方が私よりうまく委員会を運営できる
（◆ 強調には very ではなく well を用いるのがふつう．また比較級・最上級には more，most よりも better，best を使う方がやや多い）
Some people are better [more] able to handle adversity than others.
逆境をうまく乗り切れる人とそうでない人がいる
(いずれの比較変化も可能だが，一般的にbetterの頻度が高く，特に(米)に多い; ⇔ be less able to)
He is able to speak five languages.
彼は5カ国語が話せる
《◆He has the ability to speak ... や He is capable of speaking ... ではそのような能力を秘めていることに重点がある》
be capable ofとbe able to
be capable ofは身体的･精神的能力や知識･経験などによる適格性に言及する場合に好まれ，be able toは外部の状況･条件による可能･能力について言及する場合に好まれる
▶He was not able to do his math homework because he left his workbook at school.
彼はワークブックを学校に置いてきてしまったので数学の宿題をすることができなかった
(この場合，He was not capable of doing his math homework ... は(不自然)).
4. 問題演習
(1) 英訳しなさい。
確かに私は若い頃は君より速く走れたが，今では無理だ。
(2) 英訳しなさい。
親切なご協力のおかげで，企画を１日で完成させることができました。
(3) 英訳しなさい。（熊本県立大・改）
もし，すべての単語がわからないと書かれているものが理解できないとしたら，日常生活は円滑には行われえないだろう。
5. 参考文献
・ジーニアス英和辞典
・ウィズダム英和辞典
・オーレックス英和辞典
・コンパスローズ英和辞典
・パターンで覚える 英作文頻出文例３６０
・ロングマン英語正誤辞典
・誤りやすい英語語法ルールブック
・高校上級用 発展３０日完成 英作文
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