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ZOOM対談 第1回目のお相手は 久米健太郎さん!

3月1日より、YouTubeでZOOM対談を始めました。これは4月27,28,29日に開催予定の「第45回 日本ホビーショー 2021」を一人でも多くの方々に知っていただくためのもの。出展者のみなさまや、このイベントをサポートしてくださる方々をゲストにお招きして、いろいろとお話を伺うというものです。

司会進行を江原が務めていますが、動画の中ではお聞きできなかったあれこれをこのnoteでさらに深堀して、 ハンドメイドの魅力を、またゲストの会社がどんなことをなさっているのかをお伝えしていく予定です。

スクラップブッキングとの衝撃的な出会い

「スクラップブッキング──。この言葉を最初に日本で使ったのは、おそらく我々だと思います」とメモリーパレットカンパニー 代表取締役の久米健太郎さん。『大好き! スクラップブッキング』という書籍を久米さんの姉、英美子さんが2003年に日本で発売し、タイトルに使ったのが始まりだったといいます。

scrapbookという言葉は、新聞や雑誌を切り抜くこと、または張り付けるためのノートのことですが、当時欧米で愛好者が急激に増えていたペーパークラフトでした。そのころ、アメリカに住んでいた恵美子さんはこの波をいち早くキャッチし、それを日本で広める手段として,書籍を手掛けることから始めたのです。帰国後はまず手始めに、スクラップブッキングのワークショップを週末の渋谷で開いてみたところ──。

「ワークショップを手伝ってほしいと姉に言われ、私も出かけて行きましたが、個人の呼びかけにも関わらず定員の30名が満席になっていて。その熱気ぶりにも衝撃を受けました」

「このビジネスはいける!」と実感した久米さん。2004年に有限会社メモリーパレットカンパニーを姉弟3人で設立。以来、普及活動との一環として、日本で初めてのスクラップブッキングの専門誌を作り続けてきました。2005年からホビーショーにも出展し「当時はホビーショーの中にスクラップブッキング部会というのも出来上がっていて、60社も参入していたんです」

ある特定の愛好者のためのホビーが大きな広がりを見せるためには、周辺の商材がたくさんあり、すそ野が広いというのが条件になりそうですが、スクラップブッキングの場合も、台紙や筆記用具、マスキングテープなどの商材はもとより、カメラメーカー、プリントメーカーなど、資金力のある大企業が参入することによって、マーケットは確実に広がっていきました。

久米さんによると「アメリカでは2008年くらいがスクラップブッキングのピークだといわれていて、年間3000憶の市場でした」2000年代初頭からは、日本でもカメラやプリンターを含めると、100億円くらいの市場だったというのです。

写真をプリントしない時代がやってきた

2019年まで、スクラップブッキングの専門誌を発行し続けてきた久米さんですが、携帯電話で写真を撮り、その中にためていくという時代は、スクラップブッキングにとっては、逆風となっていきました。

「我々の時代は、写真を撮ったら現像するのが当たり前だったけれど、今の若い子たちはスマートフォンで写真はたくさん撮るけれど、プリントすること自体、知らない子もいるんですよ。スマホの中で写真を見て完結している。一人暮らしをしている若い子たちで、テレビがないというのも珍しいことではなくっている」

20年前には大きなうねりとなり始めていたコアなホビーは、あまりに多くの便利さを内蔵した小さなツールによって、人の動き方や関心をあっという間に違う方向に導いてしまったようです。「ただ、欧米ではカードを手作りする文化は根強いんですよ。日曜日に教会に行き、そこで友人知人にカードをプレゼントするという習慣がある。だからこのコロナ禍で、カード作りをする人たちがどんどん増えています」

逆風の中の次の一手は?

自社で製品を作り始めて、国内での販売をメインにしていたメモリーパレットカンパニーですが「2019年の海外での展示会に出したオリジナルの新商品に、びっくりするくらいの反応があって。お客さまが驚きの声を上げていたのは、柄の細かさだったんです。こんなに細かい柄は見たことがないと言われて。淡い色合いにも惹かれたようです」ディテールや微妙なニュアンスのある色合い。こういうところにこだわっているのが、日本独特の立ち位置だと言えるのかもしれません。

海外に日本の商材の良さを伝える手立ては、まだまだありそう。今年の日本ホビーショーも、海外からのお客さまを直接迎えるのは難しい状態ですが、オンラインでの開催も視野に入れ、さまざまな準備を続けています。オンラインで商品を簡単に購入できる時代は、世界を相手に、独自性のある商品の良さをどう伝えるか、また新しくスクラップブッキングを始める人たちをどんなふうにして増やせるか、ここにすべてがかかっているようです。

「ホビーショーも海外の方々に向けて、世界に発信できる場になればいいと、本当に思っています」久米さんは力強く語ってくれました。



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