育児戦争/家政夫と一緒。~その22~
経験と愛情
「あ、あーちゃーさん!
こ、これたべてみてくださいっ!」
「うん? いーにおいだね」
「⋯⋯? これは、クッキーか?
最近台所でなにかをしているなとは思ったが⋯⋯。
ふむ、ひとつ戴こうか」
「どきどき」
「ふむ、50点だな」
「がーーーーん⋯⋯あうう⋯⋯」
「ちょっとあーちゃーひどいよっ!」
怒る凛を手で制し、桜の目を見つめながら口を開くアーチャー。
「桜、これを作ったのは何回目だ?」
「うう⋯⋯失敗含めると4回目です」
「上出来だ。以降精進せよ」
「⋯⋯え? は、はい⋯⋯」
「???」
「フン⋯⋯料理は経験であり、そして愛情ということだ。
これは経験不足を差し引いても、食べる人のことを良く考えたものだった。誰に上げるものかは知らんが、これをもらえる人間はさぞ桜に思われているのだろうな」
「へ~~~。
⋯⋯って。あの⋯⋯さくらこれ⋯⋯」
小声で耳打ちするように桜に問う凛。
「⋯⋯あーちゃーにさいてんしてもらうために、もってきたんじゃないよね⋯⋯?」
「あうう⋯⋯はい⋯⋯」
「? 何だ?」
「は~~~~~~~~~~~~~~~~~⋯⋯。
あーちゃーふうにいえば⋯⋯あーちゃーはけいけんぶそくってこと」
「────む? 何だというのだ?
どういうことか説明を求める」
「あうー」
「ふだんはめちゃくちゃよくきがつくのに⋯⋯なんだかなー。
さくら、せつめいする?」
「いいです⋯⋯グスン。100てんめざします⋯⋯」
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