ikuji_top_完成

育児戦争/家政夫と一緒。~その29~

初詣


「やれやれ⋯⋯本当に祈らねばならんのか」
「おしょーがつなんだからとうぜんでしょ!」
「おねがいしたいことありますからっ」
「⋯⋯仕方があるまい。
 まったく⋯⋯」

 ちゃりんちゃりん⋯⋯ぱんぱん。

『マスターの命令ゆえに仕方なく祈ってやろう。
 ”アラヤ(祈りの受け皿)”に願ったところでご利益があるとは思えんが。
 ⋯⋯そうだな、格上のご同輩にでも願うとするか。
 神格が一介の亡霊如きの願いを聞いてくれるとは思えんがね。

 この国におわす八百万の神よ。
 どうかこの子達に理不尽な死を与えんでくれ。
 それを与えるなら私によこせ。尽く防ぎきって見せよう。

 ⋯⋯さて、祈ったぞ。賽銭もくれてやった。
 これでもし、わざわざそれをぶつけるような真似をしてみろ。
 必ず後悔させてやる。
 私をただの亡霊と思うなよ。
 この国の武装には”その類のモノ(対神宝具)”が多いということを、その身をもって判らせてやる』

「こらーあーちゃー! なににらんでるのー! もーーー」
「もー⋯⋯あーちゃーさんお正月から、めっ! ですよ!」
「────む。
 確かに私怨も混じっていたかも知れん。しかも八つ当たりの類か。すまんな、ここの神格よ」
「なにわけのわからないこといってるの?」
「あーちゃーさん、なにをおねがいしたんですか?」
「────む?
 そうだな、凛の朝寝坊がどうにかなるように、とね」
「なにそれー! うううーーばかー!
 ⋯⋯いーもん!
 かみさま、さっきのおねがいきゃんせるー!」
「────?
 君達は何を願ったのかね?」
「しらないもんっ!」「ひみつですよ。くすくす」
「??」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?