消えてゆくネットの遺産

インターネットを始めるようになって20年近く過ぎていると思いますが、2ちゃんねるがアングラと呼ばれる頃から変遷をたどると本当にいろいろ変わったものだなと思います。

電車男なんていうのもご存知の方は多くいると思いますが、2chのまとめだけでも追いかけていたら、もっと刺激的で背徳感のあるものもたくさんあったわけです。

当時はホームページはHTMLを学んで自作したり、HPビルダーとかアドビゴーライブなんかを使って、サイトを作ったりcgiを使って、お手製のBBSを作っていたところがたくさんありました。

個人で作った出会い系のHPもたくさん見られ、その中でも毎日カウンターは自分の分だけしか回らない。そんなホームページに2chのサイトウォッチャーがネカマに扮して、素性を引き出そうと画策します。

ネカマは中学生の女の子という二次性徴に入ったばかりで思春期進行中、いかにもな設定で相手をとことん引っ張り回そうとします。

普通に考えたら、この当時からするとインターネットを嗜む人間はまだまだマイナーでスマホもない頃です。できるとしたら、iモードがEメールを打てるようになった時期でしたから、中学生の女の子が個人のページでチャットに付き合うということは、万に一つの激レアカードを9万円課金したところで、出るかもわからん奇跡なわけです。

しかし、そのような奇跡が起きたことを人間というのは案外信じやすいものなんですよね。


話は変わって、自分はもっぱらネトゲ実況に入り浸っていた時期がありました。

FF11をしていたので、この掲示板が特にFF11で賑やかであり、なぜか少年ジャンプの板があったり、政治ネタが有ったりして、なかなか飽きない場所でした。

ネトゲ実況ことネ実はコテハンという固定ハンドルを持って発言するひとも多くいたのですが、コテハンを持たなくても文章で特定できる人っているわけです。

その中でも特に有名だったのが


俺の怒りが有頂天に達した。


という有名なセリフを放ったブロントさん。

この人はFF11ではパラディンを職業としていました。とても入手が困難だったグラットンソードを所持しており、本人曰く

「黄金の鉄の塊で出来ているナイトが皮装備のジョブに遅れをとるはずは無い」

というまさに金言を残していった伝説のプレイヤーでした。

自分がいた頃はすでにブロントさんの存在は見えなくなりましたが、その類まれなる奇妙な言い回しは数多くの人の琴線に届き、その口調を真似する「ブロンティスト」が出現します。


読むだけでだれでもブロンティストになれますし、この言い回しができれば、波長の合う人と思いっきり距離が縮まること間違いなし。

しかし、なんにもわからなければ、ただの頭悪い人です。
仏の顔を三度までという名セリフを知りませんよね。

実はこの上記のサイトですがヤフーのジオシティがサーバなのです。
ジオシティが間もなく閉鎖されるので、この最高に恥知らずなカイのごとき、みんなの財産が消えてしまうので、有志の方がドメインを取って、保管しようとしてくれるようです。よかった。不意だまスフィストブレードで倒れたキングベヒんもスのようになってしまうところでした。


このようなインターネット黎明期に大いに楽しかった記録が人知れず消えてしまうのは少し寂しいことです。ドメインの管理者もいつしかいなくなったら、記録も全て消えてしまいます。

過去にすがるのも女々しいかもしれませんが、昔楽しんだ場所にたまに戻ってたら、荒れ地になっていたというのも寂しいですから。

ネットの新陳代謝は早いですから、セキュリティの問題でフラッシュアニメーションもいつしか廃れてしまいましたね。名作がいっぱいあったんですが。ゴノレゴシリーズとかね。

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