陳情はこんなの↓

このまえのポストで、「陳情出しました」って報告しましたが、うっかりどんな陳情だったか書いていませんでしたね汗

というわけで、陳情を以下に載せてみます(長くなっちゃうけど…)。
まずは「効果的なパートナーシップ制度導入を求める陳情」です。

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効果的なパートナーシップ制度の導入を求める陳情

【趣旨】
・パートナーシップ制度の導入に向けて具体的に着手してください。
・合わせて、性自認・性指向などによる差別の禁止を定めるように男女共同参画条例を改正してください。

【理由】
2019年3月4日の江東区議会企画総務委員会において、「同性パートナーシップの公的承認についての陳情」が趣旨採択されました。
今回の陳情はここからさらに進んで、効果的なパートナーシップ制度の導入を求めるものです。
具体的には、性別・性自認・性指向などを問わず、互いをケアし合う親密な関係にある二者の成人をパートナーとして承認することを求めます
また、このようなパートナー関係を保障するよう区内で積極的に働きかけるために、性的マイノリティへの差別禁止を含むかたちで男女共同参画条例を改正することを求めます。


理由は、現在の婚姻制度によって十分に保障されない家族の形を認めていくことが人権擁護・差別禁止の観点から必要となるからです。
人権擁護と差別禁止に関する国際標準に基づく規定の例として、たとえばオリンピック憲章が「オリンピズムの根本原則6」において、「人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治的またはその他の意見、国あるいは社会的な出身、財産、出自やその他の身分などの理由による、いかなる種類の差別も受けることなく」「権利および自由」の享受が保障されねばならないと定めていることは有名ですが(強調は陳情者)、オリンピックを積極的に推進する本区はとりわけこのような権利擁護・差別禁止を具体的に条文化すべきでしょう。
また、制度利用者の生活が保障されることで、すべてのひとびとが互いに自己を涵養しあう、より安定した社会を作り出すことが可能になるということも、理由の一つです。
現状では、法的婚姻の外にあるカップルは公営住宅の入居を断られたり、パートナーが入院した時に面会申請や保証人登録などに関して煩雑で時間のかかる手続きを取らねばならなかったり、民間企業で家族割引のサービスを受けるのに制約があったりと、公的私的部門を問わず様々な場面で不利益および不都合を被っていますが、こういった状況は当人らの権利を著しく制限するものであるとともに、当人らを含む社会全体の安定性および公平性を著しく損なっているのであり、立法措置による是正が強く求められるでしょう。

なお、パートナーシップ制度は現行民法の定める婚姻ではなく、あくまですでに存在する成人間の関係を地方自治体の可能な権限において保障する制度です。
そのような制度であるがゆえに、これは一部で誤って懸念されているような家族の崩壊や青少年への悪影響とは全く結びつけられえず、むしろ多様な家族のあり方を保障する点で家族を増やしていくものであること、倫理的で成熟した社会を地域共同体から創り上げていくプロセスの一つであることを付言しておきます。
また、東京都豊島区がパートナーシップ制度と性自認や性指向を含む「性別等」に基づく差別禁止規定とを盛り込むかたちで男女共同参画推進条例を改正したことからも明らかなように、今回の陳情内容が決して実現不可能なものでないことも参考として記しておきます。
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次は、「性別を問わないDV相談窓口の設置についての陳情」です。

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性別を問わないDV相談窓口の設置についての陳情

【趣旨】
性別を問わないDV相談窓口を区内に設置してください

【理由】
現在、本区のDV相談の対象は女性に限られています。
これはDVを含む性暴力の被害者の多数が女性であることを意識してのことだとは思いますが、相談者の性別・性自認・性指向を問わないかたちのDV相談の充実を求めます

第一の明らかな理由は、男性もDVの被害者となりうるからです。
「男らしさ」の規範が重荷となって被害を訴えることのできない人々も多いものの、様々な統計上、男性のDV被害者が無視できない程度に多く存在することは自明ですので、彼らのためにも相談窓口が求められます。

また、現在の表記及び運用では、トランスジェンダーの人々が性被害を訴えるのにハードルとなりうることも理由の一つです。
現在、本区ではDVホットラインを通じて相談の予約をすることになっていますが、トランス女性もホルモン治療により声変わりをしたトランス男性も、電話相談の時点で声の低さのために「男性」と認識されてしまい、必要なケアを受けられないという実態が報告されています。
また、行政サービスにおいて固定的な性別指定がなされること自体が、トランスの人々に当該サービスの利用を躊躇させるおそれがあることは言うまでもありません。

これらの二つの理由は、近年の性暴力を取り締まる法律の改正からも導かれるように思えます。
2017年に改正された刑法では女性のみを被害客体とした「強姦罪」が「強制性交等罪」に改められ、被害客体の性別を問わないようになりました。
また、改正に伴う参議院での附帯決議においては、「被害者となり得る男性や性的マイノリティに対して偏見に基づく不当な取扱いをしない」ように関係機関に要請する旨が明示されています。
このような法律の改正とそれに伴う行政サービス提供の指針の転換に照らし合わせても、DV相談の対象者を女性限定とすることは不当だと言えるでしょう。

しかしながら、このような改正においてすら、女性同士の関係におけるDV、性暴力については十分に配慮されていないのであり、その点が今回の陳情のもう一つの理由です。
すなわち、男性を加害者、女性を被害者とする性別二元的設定では、女性同士の親密な関係における暴力について目を向けるのが困難であるということです。
上で言及した法改正においてさえ、男性器の挿入以外の性暴力は処罰対象として定められておらず、女性同士の関係で起こりうる性暴力は見落とされています。
しかし実態としては女性同士の親密な関係でも性暴力が起こるとされており、女性たちの性被害をより広い観点から捉えることのできる相談窓口が必要です。
安易な男女役割の二項対立的想定に基づくのではなく、ジェンダーとセクシュアリティの力学に目を配りながら、あらゆる人々が性暴力の被害者にも加害者にもなりうることを前提とした行政サービスの提供が求められます

総じて、DVを含む性暴力を取り締まる法律の改正を踏まえつつ、そこからさらに進んだ視点から、性別・性自認・性指向等を問わないように相談窓口を広げていくことを求めます。
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自分で書いたくせになんですが、長いっすね(笑
というわけで、本日は議会傍聴があったのですが、傍聴の報告についてはまた今度…(うーん、このグダグダ感)

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