映画の感想

脱出(1972、ジョン・ブアマン)

カヌーの川下りを楽しもうと渓谷に訪れた男達が、現地住民の男達との諍いをきっかけに危機的状況に陥る様を描いたサスペンス映画。ドキュメントタッチで撮られた映像には迫力がある。音楽はなく、川や森が発する音や鳥の鳴き声など、自然の背景音が静かに緊張感をもたらし、不合理な展開が続く。
全体的なテーマとして、人間と自然の関係性を冷徹に描くことを意識しているように思えた。テンションが独特な映画で、予告編にもそれが現われている。


バッド・ジーニアス 危険な天才たち

天才女子生徒がカンニングで儲けようとする様を描いた青春犯罪サスペンス。テンポがよく、二転三転する展開とスタイリッシュな演出が良く楽しめた。しかし、展開には瑕疵もあり、カンニングを実行する主人公達が頭脳優秀という設定のわりには、予測可能なリスクに無頓着で、あっさり危機に陥る描写が多い点がやや気になった。
カンニングを使った闇ビジネスに関しては、PC試験が普及した現代ではより巧妙化していそう。しかし、マークシートに対してしか使えないので、難関試験では無理だろう。犯罪映画の可能性を拡張した快作。





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