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御国体机と日本〜2020年4月24日 はふりめく〜

講  話:一般社団法人 白川学館代表理事 七沢賢治
要約編集:Parole編集部 文責 大野靖志

【こちらの記事は全文を無料公開させていただいています】

Q. 
明日からいよいよGコードが始まるが、その中で宇宙の鎮魂ということが一つの大きなテーマになっていると思う。その中で、黒曜石がアルメニア産ということで、先生に以前、アルメニアから日本に国之常立神がやってきて、日本からアルメニアに須佐之男命がいかれた、というお話を伺ったことがあった。また今回の九州ツアーでは、八代神社から甲府の脚気石稲荷神社まで、中央構造線上に大切な神社が一直線に並んでいて、国之常立神が立ち上がるとおっしゃっていたが、国之常立神とGコードの関連性、意味といったものがあれば、その点についてお伺いしたい。

A.
中央構造線は、西から東に向かって岩盤(プレート)が長く一直線に伸びているが、これは端と端を結ぶという意味で、ひとつの命の表現といえると思う。この中央構造線上に、国之常立神が立ち現れてくるのだ。

世界に目を向けて、ユーラシア大陸ということにたとえてみれば、主に大陸は北半球に集中しており、山脈もあるが、その多くは大平原で成っている。それに対して南半球は山脈が多く、ユーラシア大陸全体を御国体机(おこくたいづくえ)」に見立てた場合、南半球はちょうど足の部分にあたると考えられる。

日本の場合、国体の神というのは主にイザナギ・イザナミの二神で、この男女の神がペアとなって国体を形作ってきたという伝承が『古事記』のなかにもあるが、これは人間の体になぞらえると背骨、手、足にあたるということーーつまり大陸や山脈、島といった地球の姿もまた、人間の体と相似形であらわされるという意味で、御国体机(おこくたいづくえ)と言われてきたのである。

そのような意味で、イザナギ・イザナミの二神が生んだ大八洲(おおやしま)は”世界の雛形”であるといえ、大八洲の真ん中に中央構造線が一本に貫かれているということは、こちらは日本のちょうど背骨部分を表しており、非常に重要な部分にあたるといえるだろう。(その意味において、日本の重要な神社がこの中央構造線上に集中しているということも、理にかなったことだといえる)

ではこのことを、さらに宇宙まで範囲を広げて考えてみたらどうだろうか。

イザナギ、イザナミは微細構造定数「137」でできた天沼矛を使って、宇宙を創造したということがいえるのである。『古事記』によると二神は天沼矛を使って大海原を掻き混ぜたところ最初におのころ島ができ、その後に大八洲ができたというあらすじになっているが、神話が真にいわんとすることは国体の形成にとどまらない。つまり『古事記』は、宇宙創成の物語として見ることもできるのである。

ただ現代は、宇宙誕生から137億年の歴史が経過しており、宇宙も膨張しているために、宇宙の始まりの時を感じてみるということは、なかなか難しいことなのではないかと思う。時間と空間がどのように生まれ、広がっていったか、ということをありありと感じるのは、至難の技であると思うのだ。

そこで、宇宙の物語をメビウスにして「統合」したかたちでお伝えしていく、ということが重要なのである。またその際に、宇宙の端と端をしっかりおさえて、枠(わく)を結ぶという意味においても「鎮魂」は宇宙の統合にも通じるため、非常に大切なテーマとなってくる。

武者小路実篤のことばに「仲良きことは美しきかな」というものがあるが、これから我々が目指すべき社会は、経済、軍事などの問題で国同士がにらみ合うのではなく、仲良く調和し、さらに多くの人々が良いと思える、美しい社会をつくることが大切であろう。

そのために、Gコードでは白川に伝承されてきた「統合」の叡智というものや最新の研究結果をを惜しみなくお出しすることで、知の学びだけでなく、「美しいことが心地よい」ということを体感レベルでも感じていただけるようにするところまでを見据えて、講座を展開していきたいと考えている。


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【七沢賢治プロフィール】
1947年 山梨県甲府市生まれ。早稲田大学卒業。大正大学大学院文学研究科博士課程修了。伝統医療研究、哲学研究、知識の模式化を土台とした情報処理システムの開発者、宗教学研究者。
言語エネルギーのデジタル化による次世代システムの開発に携わる一方、平安中期より幕末まで白川伯王家によって執り行われた宮中祭祀や神祇文化継承のための研究機関である一般社団法人白川学館を再建。現在、同学館代表理事、株式会社ラボラトリオ 代表取締役などを務めている。
『なぜ、日本人はうまくいくのか? 日本語と日本文化に内在された知識模式化技術』(文芸社)、『神道から観たヘブライ研究三部書』(小笠原孝次著/七沢賢治監修)、『龍宮の乙姫と浦島太郎』(小笠原孝次・七沢賢治共著)など、監修書・著書多数。


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