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“悲しみの海を越える”とは?

『悲しみの海』とはサンサーラ(संसार 輪廻のこと)、輪廻、命あるものが何度も転生し、人だけでなく動物なども含めた生類として生まれ変わることだそう。さてこの“悲しみの海を越える”とは、どんなことなのでしょうか?
インドの聖典ウパニシャッド(उपनिषद्、upaniṣad)から見てみます。

カイヴァルヤ・ウパニシャッド(कैवल्य उपनिषत्)

BC3000~500 クルシュナ・ヤジュルヴェーダに属するウパニシャッド。
完全な自由(कैवल्य カイヴァルヤ)こそが人間の本来の人間の姿であり、その意味(タットヴァマシ तत्त्वमसि 梵我一如)を知るための知恵が書かれています。

ブランマージ(म्ब्रह्मा ブラフマー神)が聖者アーシュヴァラーヤナ(आश्वलायन)に最後に語られた26節です。
自由、解放はヨーガのゴールである。いつか必ず、人は自分自身の真実を知り、サンサーラ(संसार 苦難の連続)である悲しみの海を越える知恵を得るでしょう。と語られています。


サンサーラ(संसार)


最終節26節 悲しみの海(輪廻転生)を越える
अनेन ज्ञानमाप्नोति संसारार्णवनाशनम् । तस्मादेवं विदित्वैनं कैवल्यं पलमश्र्नुत इति ॥ २६ ॥
anēna jñānamāpnoti saṁsārārṇavanāśanam ।
tasmādevaṁ viditvainaṁ kaivalyaṁ palamaśrnuta iti ॥

(創造神は最後に言いました)心の浄化によって、いつか必ず人は自分自身の真実を知ります。そして、サンサーラ(苦悩の連続)である悲しみの海を越える知恵を得るでしょう。心を磨き、自分の真実を理解した人は、世界と自分は1つの存在であるという知恵の実りを得るでしょう。そして、恐れ無き完全な自由の喜びに解放されるのです。
※訳:優しく学ぶYOGA哲学 ウパニシャッド 向井田みお著 より


我々はみなスイマーである

インドの師匠は私たちにこうおっしゃいました。
「私たちはみな(悲しみ、苦難の)海を泳ぐスイマーである」と。
みな一緒に泳いでいるのだそう。
自分自身の真実を悟った時が輪廻の縛りからの解放となるのだなと思った次第です。その時まで先生と共に泳ぎ続けましょう。

そのためには

●カルマヨーガ(行いのヨーガ)
ヨーガスートラのヤマ・二ヤマにあるように、行いを正しく、周りの人や生物のためになることをします。アーサナや呼吸法で落ち着いた心身の状態になるよう努めます。

●真実を見極める瞑想
一つの対象に心を定める瞑想をして、自分の内側を観察、深く自分を理解していきます。繰り返し、習慣づけ、実践します。

●心の障害を無くす
無知(自分自身の真実を知らない)、自我意識(体・感覚・心への執着)、カルマ(過去の記憶とそれに束縛される個の意識)

●真実の理解
自分と世界の本質を知るために常に学び続ける。その環境と先生、お仲間も大切ですね。

●シャタ・ルッドラマントラ(शतरुद्रिय シヴァ神へのお祈り)を唱える
25節にはこのマントラを毎日唱えれば、いけない事をしてしまった罪の意識も浄化できるとあります。(なんとラッキーな!!)
本格的なシャタルッドラヤは無理としても、お気に入りの良い言葉やマントラを唱えてみてはいかがでしょうか?

まとめ

さて、ここでは “悲しみ(輪廻)の海を越える” ことがどんなことだか少しだけご紹介いたしました。興味が湧いた方は、向井田みお先生の本 優しく学ぶYOGA哲学 ウパニシャッド を読んでみてくださいませ。


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