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台北でひとり ④ 『まったく仕事が終わらないんだぁ〜』

2日目。ベルギー戦にはまったく興味が湧かないまま気づいたらホステルの2段ベッドの上。下のおじさんのいびきで起きる。部屋には2段ベッドが2つ。隣のベッドの、同じく上の段で眠っていた女の子もどうやら同じタイミングで限界に達したみたいで、カーテンの隙間から顔を出し、目を合わせて「うんざりだよね」と、言葉なく交わす。そんな彼女のベッドの横柱にはグレーのパンティとエメラルドグリーンのブラジャーが干されていて、この世界は広い、と感じさせてくれる。

はじめて海外でホステルというものを利用して、いちばん気になっているのは水まわりでもベッドのかたさでも料金でもなく、このような宿泊者。つまりゲストの社交性。明るさ。いや、もう全員が躁病、もしくはただの寂しがりやなんじゃないかなと思うくらい話しかけてくる。こちら英語がわからないもので、

ア〜ハ〜ン

これを翻訳すると「わかんないから話しかけないでくれ」という意味になるし、正直「やめてほしい」。けれど、どうやらその「話しかけ」はバックパッカーにとってはあいさつくらい当たり前のことらしくて、でも、もしぼくが英語が喋れたならぼくはなんて答えるだろう。

A. 昨日からステイしてるよ。金曜日までだよ。イエス。
B. きみはどんな旅をしているんだい?
C. Sorry ... I can't speak english...  

C ですね。

旅するみんなが明るいと思ったら大間違いだっ!というのが今回の教訓ですね。疲れてたりするし。でもスタッフのみなさん全員超いいひと。台北に旅行する時はここと決めてます(その理由はまた追って)。

2日目。ぼくは夏休みとはいえ、必ず回ろうと思っている先々が OPEN していない午前中は「仕事する」と決めたので、朝から共有スペースでパソコン。そんな中でもみんな「今日はどこに行くの?」とか「どこの国から来たの?」「遊びに行かないの?」なんていう具合に聞いてくる英語で。だから、

「まったく仕事が終わらないんだぁ〜」

と、拙い英語で返事したりしている。時に頭をかかえるジェスチャーをしたりしてる。これはただの嘘だし、嘘をついている時だけスラスラと良い発音で英語がでてくる自分が怖い。

Work is not over

台北でひとり。

午後はでかけます(つづく)