boa viagem #010 『生き方を伝える教育現場』by 写真家・新多正典
昨日向かったのはポルト・ジ・ガリーニャス。
オリンダへは渋滞込みで1時間ほどの距離だけど、ここへはまっすぐなハイウェイのような車道を飛ばしても1時間半はかかるので距離が全然違う。
僕が住むピナも海が近いけど、ガリーニャスはビーチの質が全然違う。
外国人観光客や富裕層がこぞって訪れるような本当に整った観光地。
六年前に一度訪れ、その景観の美しさは頭に残っていた。
この美しい観光地にもマラカトゥのグループがあり、リーダーのヒーヤンを訪ねた。
ここはポルトヒコやレオンコロアードのように教会機能を併せ持った基地ではなく、ヒーヤンの自宅を共有スペースにしている。
寝室以外はプライベートな場所がないくらいこのマラカトゥの活動に真摯に向き合っていることを感じた。
彼は自身をプロフェッサー(先生)、他のメンバーを生徒と呼び、マラカトゥを通して人間形成の教育をしている意識が伺えた。
生徒が少しずつ集まり出発の時間。
バスに乗り込んでビーチから離れたイポジュカという内陸の街に向かった。
現地に到着してからは、チームで使える決済カードを順番に回して各々が軽食を買って腹ごしらえをした。
やはり食事面のフォローが行き届いている。
演奏も今まで僕が見てきたものと毛色が違って、真剣に、且つおふざけで弛緩する場面があったりと、笑顔の絶えない1時間だった。
ひとりマリアという純心でおとぼけな女の子がいて、彼女をイジったり鼓舞したりする先生のヒーヤンに対し、シラけたりツッコミを入れたりするマリアの掛け合いが、この「学校」の楽しさを存分に感じさせてくれた。
演奏を終えてバスでヒーヤンの自宅に戻り、これから夕食を食べようとなった。
もちろん外食ではなく、これからみんなで作ろう、と。
そしてマリアが「クスクス食べれる?」と聞いてきた 笑
今回はクスクス作りの一部始終を見れたけど、本当にトウモロコシしか使っていない。
だけど不思議なくらい米を食べてる食感があって、もちろん腹持ちもいい。
先生を中心に食卓を囲む。
実はこれが今日のメインイベントじゃないのかと思うくらい幸福な時間が流れた。
先生の価値観というのか哲学というのか、マラカトゥを介した人の生き方がしっかりと生徒たちに伝わり共有されている。
名残惜しくも食事会が終わり帰路につく頃、自然と僕も彼を先生と呼んでいた。
つづく。
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