boa viagem #011 『無駄な1日。これもブラジル』by 写真家・新多正典
正確なカーニバル期間にはまだ突入していないけど、この国は明確なスタートもゴールも示されていないのが特徴だと強く感じる。
フェイドインし、フェイドアウトしていく。
昨日は、「トゥマラッカ」という大きなイベント前日のリハーサルが設定され、大所帯で現場に向かった。
一体何時にスタートするのか示されないまま15時にバス出発の招集がかかるも、バス自体が動き出したのは16時半。
バスの運転手に正確な降車場所が共有されておらず、同じところをグルグル回り、もちろんカーニバル会場のど真ん中であることから渋滞でもあり、スムーズに行けば15分で着く場所に1時間かかった。
この時点で17時半。
そして、リハーサル自体がいつスタートするかも示されず19時だの20時だのと情報が飛び交う。
会場ではマラカトゥではない、別のリハが延々と行われた。
実はもうこのままないんじゃないの?と思っていた頃にスタート。
それが22時半。
時間の使い方が大胆だけど、これは本当にないよ、と思った。
そして、リハ自体もどっちらけな感じで終わった。
こっちに来て強く無駄な1日を過ごしたと思った日。
確かにこのリハの日ってどうしても来ないと行けない日じゃなかったなあと過去の記憶を辿った。
ポルト・ジ・ガリーニャスに一泊してもう1日過ごせば良かったと心から思った。
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ただ、最後に心が和んだのが、帰って用意してもらったまかないを食べていると、グレイジという女の子(高校生くらいかな?)が、「写真とても楽しみだし、今少し見れるなら見せてほしい」と話しかけてきた。
「フィルムで撮ってるから見れないよ」と伝えると、「そんなカメラがあるんだ!?」と驚いていたし、今年とても目立っててカメラへのアピールもしてくる女の子だったので、「グレイジはとってもキレイな女性だね」と伝えると、本気で照れてる顔がとてもかわいかった。
無駄な時間が多かったから色々なことを考えた日。
マラカトゥを撮りたいのではなく、そこから派生する人間のドキュメントを撮りたいんだということを思った。
つづく。
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