boa viagem #006 『時間の大胆な使い方』by 写真家・新多正典
到着3日め。
気分を変えてオリンダという隣町に足を伸ばした。
まだ一回しか会ったことがないけど、熱心に僕の挙動に関心を持ってくれているアティーラに誘われて向かった。
「日中は結構時間を持て余してて、写真のネタを探してる」と伝えると、
「じゃあ今回のカーニバルに向けて太鼓を組んだりペンキを塗ったりしてるからよかったら写真撮りに来てよ」と。
レシーフェからオリンダへはタクシーで1時間くらい。
旅のちょっとした共有知識を伝えると、海外では俄然Uberを使うのが便利。
ブラジルでは正規のタクシーと3,4倍の価格差があるなあというのが実感です。
空港から家まで約20分、正規タクシーに乗ったら1200円、レシーフェからオリンダまで約1時間の距離、Uberで750円でした。
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着いた先はレオンコロアードというチームの本部で、近年リーダーが若い女性に交代して僕も注目していたところでした。
着いて早々、僕が拠点にしているポルトヒコというチームと「全然空気違うやん…」と。
すっごい穏やかでピースフルな空気が流れている…。
マラカトゥという伝統音楽をやっていても取り組み方がこんなに違うのか、と。
正直ここにずっと居たいなあと、本気で思った…笑
到着して、アティーラを介してリーダーのカレンと挨拶を交わすと、照れ臭そうに、わざわざ遠方からありがとう、と。
終始淡々とお喋りしつつのどかに、男たちは太鼓のペンキ塗り、女性たちは衣装の縫い物をしていた。
ひとり、焼きもの係がいて、彼がひたすら肉を焼いて配り歩いて、ひとり一切れ頬張りつつ作業、頬張りつつ作業をエンドレスに繰り返していた。
僕ももちろんそのループに加わり、「この時間永遠に続け」と本気で思った 笑
僕が着いたのは昼の12時。作業は暗くなっても全然終わらない。
お喋りしつつ、だから没頭しているわけではないけれど、この人たちの同じ作業をいつまでも続ける集中力には良い意味で呆れてしまう。
時間の大胆な使い方。
日本では時間のコストパフォーマンスを優先し合理的に生きることに慣れているからこのスローライフは当初本当にしんどい。
だけど感覚というのか考え方をリセットすることで、自分も撮りたい場面が出てくるまで待つ、というふうにその場に順応すると溶けるように一体化していきそのペースがちょっと心地よくなってくる。
みんな顔がホントにいいんです。
つづく。
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