day ⑥ 「ラジオ」 by ハム伊藤
ミスチルとか、ガキ使とか、モーニング娘とか。
あの頃たしかに『真ん中』があった。ように思う。そしてそれはテレビから届いていたと思う。
真ん中にはテレビがあって、端っこにはラジオがあった。
みんなの『テレビ』。俺だけの『ラジオ』。
ラジオを聴いてる人が多くなったなって思う。
radiko が始まり、東日本大震災以降は普通にそこにあるものになったんじゃないかしら。
携帯電話も、ラジカセも、アンテナを立ててた頃。ラジオはまだまだこっそり隅っこで聴くものだった。
高校の友達が SOPHIA が好きで。
「文化放送のラジオ聴いてるんだぁ。」
文化放送？？何それ。放送大学めいたものかい？ぐらいに思ってた。
それがはじめてラジオを意識した時。
SOPHIA のラジオは好きにならなかったけど、品川庄司のラジオ、好きだったなぁ。
テレビで観ててそんな好きじゃなかったけど、ラジオ聴いてて好きになったなぁ。
ラジオの本領、醍醐味。
とある夜。
高熱で眠れず、朝を迎えつつあった時。
猛烈な倦怠感のなか周波数のうねりを漂っていたら、バナナマンの声が。
TOKYO FM の『WANTED』だった。
まだバナナムーンは始まってなかった。
深夜ラジオにハマっていった。
そうなってくると聴きたい、オールナイトニッポン。
是非とダイヤルをAM1242 へ。
行きつ戻りつを繰り返せど、スウィートスポットが見つからない。うちはニッポン放送が綺麗に入らなかったんです。
それで自然と落ち着いた場所は954。TBS ラジオになっていきました。
まだ深夜枠は JUNK じゃなくて UP'S だった、のかな。
MD に録音して。好きなコーナーとか編集して繋げて。
登校中、休み時間とかにこっそり聴いていた。
俺はこんな面白いものを知っているんだと優越感。
そういうのが今も昔も、好き。
世界中に自慢したいものを自分だけがわかってると思ってる状態ほど、幸福なものはない。
『テレビ』観なくなっちゃったなぁ。
とっても寂しい。
でもいまだに端っこには『ラジオ』。
何もない町は、今日もそれなり。
ハム伊藤
1985年生まれ。NSC を経てコントユニット・ブルーベリーズを結成。解散後ラップユニット・ファストフードファウンデーションへ加入。130キロから70キロ減というダイエットの成功者でもある。
https://instagram.com/ham_no_ito
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