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猫背で小声 | 第25話 | 寒くても熱いのね

これまで、自分の名前でもある『学(まなぶ)』の名の付く駅を目的とした旅について、話してきました。

徳島『学駅』編(第23話)

和歌山『学門駅』編(第24話)


『学』シリーズ最終話の今回は北海道の『学田(がくでん)駅』を振り返ります。

この「学田」という駅は北海道富良野市にあります。(今回は北海道ということで、高速バスではなく飛行機で新千歳空港へ)

2019年5月某日 成田空港 

成田空港。使っているようで使っていない場所。
普段出張などは皆無で、『事務』を生業とするサラリーマンにはあまり縁のない場所であります。

これから北海道へと向かうのです。

お金はないので LCC 、それも自分の中でブランドイメージが高い『ジェットスター航空』を利用しました。人生2回目の飛行機でテンションも上がっております。

CA さんもすこぶるキレイで、ぼくがクレヨンしんちゃんだったら「おねえさん、おキレイですねえ〜」と、お尻をふりふりして好意を丸出ししたくなるような機内でしたが、しんちゃんのような勇気がぼくにはなく、ただただ横目でおキレイな CA さんをキョロキョロと見ていただけでした。

無題 - 2021年6月25日 23.18.58




自分がしんちゃんならどんなに幸せな人生を送れたかと、機内でエコノミー症候群になりそうな足をバタバタと地団駄させたのはナイショです。

そんな気持ちを落ち着かせるのは水分ということで、成田空港内のコンビニで買った安いお茶を口に含みながら気持ちを落ち着かせました。安いお茶しか買えない自分の経済状況にドロップキック !! からの、片エビ固め !! ということで、当時の首相「安倍晋三バカヤロウ」と、政治と自分を恨んだ機内でもありました。

そんな気持ちをよそに飛行機は新千歳空港に近づいております。

窓から見える北海道らしき風景は、とても青々としています。空も海も山もすべて青々としているのです。ぼくが好んで履いている H&M の青のカラースキニーパンツのような鮮やかさです。

「これが北海道か」と、期待が湧かせていると機体は低下します。

「ふとんが吹っ飛んだ」ではありませんが、軽くことば遊びができた自分へのご褒美という意味合いか、待ちに待った『北海道』へ上陸したのです。

飛行機が空港に到着。何時間かぶりにシャバへと飛び出すのです。いろいろなことを考えた機内から、おそらく親切人が多いと予想される大地へヨイショーという感じで降り立ちました。

空気がおいしいという表現はありきたりではありますが、六甲のおいしい水を飲んだ時のような混じりっけのない空気という感想です。

空港内を歩き、周りをキョロキョロしていると東京では見かけないポスターが目に入ります。おそらくご当地のお笑い芸人らしい『オクラホマ』というコンビや、現地のローカル飲料である『リボンナポリン』というジュースのポスターがありました。北海道特有の文化なんでしょうね。

東京だけがすべてではない、東京だけが日本だけではない、そんなことを感じた東京人はある意味「おのぼりさん」。

リボンナポリンおのぼりさん

韻を踏みながら蝦夷(えぞ)へと上陸。

到着して間もないですが、お知らせがございます。

今回の予定もけっこうパンパンです。年末 Mー1 チャンピオンになった漫才コンビくらいのハードスケジュールです。

まず新千歳空港の駅から札幌駅へと電車で向かいます。
マヂカルラブリーのネタに出てくるようなヤバイ乗客はいませんでしたが、これから『笑い飯』のような万人受けしないお笑いのような旅が始まります。

札幌駅に着きすぐに苫小牧駅行きの電車へと乗りました。

ここでミニ知識。
北海道では電車のことを『汽車(きしゃ)』と呼ぶらしいです。
これからは「郷に入れば郷に従え」ということで、汽車と呼びたいと思います。

苫小牧駅へ向かう汽車内では地元の人が乗車しきてきます。ぼくが東京から来てるなんて知らない、という状況もなんだか変態チックでたまりません。車内から見える景色と、地元の人しか乗ってこない環境がまるで浮世離れしているみたいで、好きなのです。

苫小牧まで、1時間30分ほど。東京から持ってきた手のひらサイズのメモ帳に書くことが、北海道の緑のようにサワサワと浮かびます。

♫果てしない大空と〜

果てのない想像力が北海道にはありました。
ある意味『ドリームカムトゥルー』です。

ドリカム !! 決戦は金曜日!!

無題 - 2021年6月25日 22 のコピー

ということで、残念ながらこの日は金曜日ではありませんでしたが『苫小牧駅』へと着きました。この苫小牧駅でなにをするかというと、駒大苫小牧高校出身の『楽天イーグルス』の田中将大と同じ空気を吸うという目的がありました。

普通の人だったら、この駅でなにかを見る、する、やる、ということは当たり前でしょうが、ぼくの旅にそんな強い思いはありません。人の降りない駅に降り立ち、駅舎の雰囲気を味わうことや、寂れた商店街を歩くことができれば、それで満足なんです。

今回も田中将大が使ったであろう苫小牧駅の空気を吸い、駅内にあった軽食処で食事を取り、次の目的地へ行くための英気を養いました。苫小牧駅にいた学生さんたちが全員『駒大苫小牧』高校の生徒だったかはわかりませんが、正体を知らない方がぼくには幸せだったなと感じた苫小牧駅でした。

電車、いや、もとい汽車へと乗り込み、次は東室蘭駅へと向かいます。

なぜメジャーな室蘭駅ではなくマイナーな『東室蘭駅』なのか?

おいしい『いちごジュース』が飲めるカフェがあるのです。そのジュースを飲むだけに東室蘭駅へと向かうのです。コスパ最悪の旅ですが、こんな旅でも本人は楽しんでいます。

東室蘭駅に向かう途中、汽車は『登別駅』に停まりました。
かの有名な温泉どころです。

駅から見える風景は山々が連なっていて所々に温泉の湯気らしきものがモクモクと湧いています。『ツムラ』の入浴剤でお世話になっている登別温泉に、こうしてお逢いする日が来るとは、驚きました。

こんな旅をしているのは恥ずかしく、まだ『逢う』という心の準備ができていなかったので、気持ちは股間をタオルで隠しながら入浴する思春期の中学生のような感じでした。

もう中学生。
まだ中学生。
でも中学生。

いろんな出逢いがあった、成長しきれていない「もう40歳」なオッサン中学生の旅でもあります。

汽車は東室蘭駅に着きました。

この室蘭市は、かの『モー娘。』の安倍なつみが生まれた地です。予想していた感じとは外れ、駅を降りると町は栄えています。あくまで予想していた『ザ・田舎』という感じではなく、ラーメン屋もあるしコンビニもあります。ラーメン屋は北海道の地場産業なのか、駅周辺で何軒も見かけました。

次はセイコーマート。北海道で有名なコンビニエンスストアです。中には入りませんでしたが、外観を東京で一度は見てみたいなという思いがあったので、セイコーマートのそばを通れただけで満足でした。

ラーメンの匂いとセイコーマートの雰囲気を味わい、テクテク歩いて目的地の『胡亜羅(コアラ)』というカフェに着きました。名前がヤンキーっぽさを匂わせますが、店構えは地元民から愛されるであろうレトロな外観でした。

時刻は、午後3時 。
着いたはいいのですが店は閉まっています。もしかして休日?もしくは閉店?という<和歌山旅行の鉄板焼き屋>と同じことが再び起こりそうな予感がしました。

「ツイてねえなあ、着いたのに。」

この旅で大流行りの言葉遊びが頭をよぎりましたが、しばらくすると店主がバイクに乗って店の前に着き、お店を開けてくれました。

昼休みだったのね。安心。

やっとこさ店に入ると驚きの光景がありました。
店の中がどこかで見たような光景なのです。


無題 - 2021年6月25日 21 のコピー



実はぼくの叔母は喫茶店を経営していました。母親の実家がお店をやっていたこともあり、幼い頃からお店で遊んだりしていました。その喫茶店の内装、静けさ、雰囲気に、そっくりなのです。そっくりという表現は少し砕けていますが、店内に入った時の衝撃は言葉では言い表せません。

幼い時の不安な気持ちと、40歳を迎えてもまだ不安な自分の気持ちが重なる感じを覚えました。

こんな偶然があるんですね。

室蘭駅に行かなくてよかった。
東室蘭駅にしてよかった。
グッジョブな自分を抱きしめたくなりました。

抱いて HOLD ON ME
室蘭出身の少女が歌っているようでした。
こんな出逢い、縁としか言いようがないです。

そんな気持ちをマスターに伝える…ことはできませんでしたが、お目当てのおいしいイチゴジュースを頼み、今まで生きてきた自分と、この店への思いを満喫していました。喫茶だけに。

胡亜羅(コアラ)の横には『さるどし』生まれのぼく。忘れることのできないであろう胡亜羅を後にしました。

無題 - 2021年6月25日 21.33.08


ここまで、『札幌駅』、『苫小牧駅』、『東室蘭駅』と旅をしてきましたが、これから札幌駅へと戻ります。

鈍行や特急を使い札幌へと向かいます。
非常にめんどくさい旅をしていますね。

しかし汽車から見える風景を見ると不思議と頭に浮かぶことが多くなり、文章を書くヒントが生まれるのです。

ヒントを得るためにあえて汽車を使い時間を楽しむことをしています。

旅行レボリューション40 !!

世間からの指示では決して得られない革命です。
これから夜な夜な万札が乱れ飛ぶ札幌へと戻ります。

時刻は、夕方5時。

札幌駅へと着きました。5月という季節ながらも、北海道の夜は寒さを感じます。あらかじめ腰に巻いておいたジャンパーを羽織り、札幌駅から近いビジネスホテルへと向かいます。

札幌駅からも近いですし、ススキノからも近いホテルでした(ススキノから近いということはあまり深い意味ではないということをご了承ください)。

ホテルに着き、予約していた部屋に入ると、恒例のお風呂チェックやトイレチェック、地元のテレビ番組チェックなどをはじめます。

お風呂のバスタブは広く、足も軽く伸ばせるような広さです。トイレはキレイでウォシュレットもあります。ここで楽しみなのはテレビですが、『タカアンドトシ』が番組をやっていました。東京で何本もレギュラーを持っているタカトシですが、出身地である北海道でたのしそうに番組を展開していました。

チャンネルを興味本位でカチャカチャと回していると、あることに気づきます。北海道日本ハムと、スキージャンプの高梨沙羅のニュースが多いこと多いこと。

この2つは『北海道の誇り』と言っても過言ではありませんが、ふと考えると東京でいう巨人のような存在なんだなあと感じました。ここまで日本ハムが北海道民に愛されているのは、野球ファンとしてもうれしいなあと素直に感じた出来事でした。

北海道に来てもぼくの野球愛が止まらないな、という気持ちをよそに、夕食を食べるため街へ出ることにしました。

「なにを食べようかな〜?」

そんな悠長なことは言うはずもなく、几帳面くんはあらかじめ東京で調べておいた札幌駅近くの魚介のお店に入りました。

「北海道といえば魚でしょ。」と、東京を出発する時から北海道への期待が充満していたので、足どりも軽やかに店内に入りました。メニューを見るとやはりサカナ推し。当然といえば当然です。

サカナの酒にはエビスやモルツということで、ニャンともいえぬサッポロの夜を迎えるのでしょうか。

そんな余談はさておき、さて注文。
地元の人も食べているのだから味は間違いない、と言うことで刺身をオーダーしました。刺身は7種類くらい。どれも甘く歯応えがあり、さすがだなと、店の術中にハマりました。これだから北海道は都道府県の魅力度ランキングで上位にあるんだと、納得の夜を終えました。

東京のパークギャラリーで飲み明かす時の、明るい酔い方とは違う、北特有の酔いを楽しみました。

帰りの途中、(セイコーマートではなく)セブンイレブンで十勝のあずきを使ったあんぱんを買い、明日の朝食の準備を終え、ホテルへと戻りました。

旅の疲れからか眠気もマックスで、お風呂、歯磨き、化粧水と全てのルーティーンを終え、北海道でしか見れない番組『ハナタレナックス』を見ながら1日を終えました。

マックスなナックスで就寝。
しつこいよ。



2日目
旅特有の目覚めの良い朝を迎えました。
朝日が差し込む部屋。東京と同じルーティンでもある「ベッドの中でリモコンをまさぐりテレビをつける」。画面を見ると北海道らしい色白な女性アナウンサーが出ています。北海道は日本でも日照時間が短く、陽をあまり浴びない地域なのか、色白な人が数多く見られます。

なかでも札幌テレビの大家彩香(おおいえ あやか)アナウンサーの色白具合は多少恋心を覚えてしまうほど。こんなキレイな女性が地方のアナウンサーだなんて、東京キー局の採用担当ははなにやってんだ、と言いながら、大家アナの成長具合に、北海道っていいなと、違う意味で思いを馳せるのでした。

ここで MTV(マナブテレビジョン)緊急ニュース。

無題 - 2021年6月25日 22.49 のコピー



大家アナの出身地は東京。しかも地元が同じで、もしかしたら家も近く。昔バイトでやっていた年賀状の仕分け業務で「大家」という名字を振り分けていたかもしれないのです。あくまで妄想ですが。

ここまでくるとストーカーですね。
傷が深くならないうちに旅に出ましょ。
ホテル出ます。
今日の旅も過密です。

『密』を避けなければいけない現在の状況は予想外でしたが、北海道の搾りたての牛乳のような「濃ゆい旅」ができるよう自然の摂理に任せます。

ホテルでの軽い大家ショック、いや「オオイエ〜」とラップのリズムを心の中でご機嫌に響かせ札幌駅を出発します。

汽車が向かう先は『旭川駅』。
ラーメン屋、魚屋さん、とにかく明るい安村の実家(に行くわけではありません)。ただただ駅舎にタッチして、駅前を闊歩(かっぽ)することが目的です。

電車で GO!
汽車は GO !!
 
ということで、札幌駅から出発し印象に残っているのは『豊平川』という川でした。汽車から見えたのは数秒の景色でしたが、水が澄んでいて誰かが川沿いでナンパして結婚しても不思議じゃないくらいキレイな川でした。

旭川へ向かう汽車内は飽きがこなかったです。

旅へ行くと毎回この『病』に罹(かか)るのですが、山、川、緑、の目にうつる景色がぼくの中の全ての感情をハイにしてくれるのです。

生きててよかった、とか
苦しいことから逃げずによく頑張った、とか
旅は『自己肯定の宝庫』なんです。

苦しくなったら旅に出る、という方式ができましたが、今コロナに侵されている世の中では旅行もできなくなっています。だから現在ぼくも病み気味です。早く旅がしたい、そんな気持ちがパンパンにおなかにみちています。

そんな満腹ジローなお腹はさておき、旭川駅に着きました。

まず駅に着いて最初にしたこと。仕事場へのお土産を買うことです。なぜ旭川にまで来て会社のこと考えなきゃいけねえのか、という社会人の宿命に悶えながら、ぼくの財布から嗚咽にも似た悲鳴が上がる中、3000円のクッキーを買い、東京で作った A4 用紙の旅のしおりの『旭川でお土産を買う』というチェックに『レ点』を入れました。

次にやること、駅前を歩く。
旭川は北海道の中でも栄えている都市なので、駅舎も立派です。駅チカのお店にはドラッグストアもありますし、パン屋もありました。

少し時間があったのでドラッグストアに入ったのですが、東京で使っている『LUX』のシャンプーも売っていたので、北海道の美意識も高いんだと朝の『大家事変』をふと思い出した駅チカでした。

旭川散策、レ点記入。

次にやること。
旭川駅内のベンチで募集していた、アイスクリームのキャッチコピーを考えること。

なぜ旭川駅に来てまでキャッチコピーを考えるのか。自分でもよくわかりませんが、旅の気分の良さでいいコピーができるかなと感じた所存です。

「愛すクリーム」とか「ヤバイ別腹をつかまれた」とか、大したコピーは生まれませんでしたが、後日談として「ヤバイ・・・」の方は、企業のウェブサイトのベスト10にも掲載され、旅っていいじゃん !! と、旭川の『とにかく明るい思い出』に、今でもニヤニヤしています。

安心してください、選ばれましたよ。
そんな100点旭川駅。




旅は続きます。
次はこの旅のメインディッシュ、富良野市の『学田駅』へ向かいます。
旭川駅から『JR 富良野線・富良野行』というゴリゴリの富良野行きに乗るのですが、みんなが思い描くであろう富良野のイメージ通り、山も連なり、ラベンダーも車内から見えました。

ごちそうさまでした。
数多くの車窓グルメも満足するような景色でした。




徳島の『学駅』、和歌山の『学門駅』、今回の『学田駅』。
学田駅に着けば誰も達成することはないであろう、グランドスラムとなります。参加者ひとりの競技大会ですが応援してくれる人は、ぼくの姪っ子くらいです。

叔父さんはあなたたちの笑顔が見たいがために大金を払いコスパ最悪の旅をしています。東京に帰りあなたの顔を見れば、旅の疲れも吹っ飛ぶでしょう。

思春期を迎え最近ぼくを避け気味の姪っ子達ですが、いつかムツゴロウさんのように頭をこれでもかとムシャムシャ撫で回すような関係性に戻りたいと思う叔父さんがいます。

車窓は悲壮。
そんな悲しい現実に遠い目をしながら、ラベンダーの映る景色を眺めていました。

汽車は学田駅に着きました。
無人駅。くそみたいにだっれもいません。
でも熊は出そうな雰囲気で、おっかなびっくり駅を出ました。

周りを見渡すと何もない。
360度、山と山。少し目線を動かすと、驚くような白い雲の存在に気づかされます。ホント白かった。地球は青かったと偉人は言いましたが、北海道の大地を闊歩する性格が真っ白な奇人は、股下72センチの不便な歩幅を駆使し、学田駅近くにあるカフェに歩みを進めます。

たしか駅から10分くらい歩いたところにカフェはありましたが「熊は出ないでね」と、旅に来てもなんら変わらないビビりな思想に窮屈さを感じながらお店に着きました。

お店は木で作られています。
北の国からで見たような『富良野感』満載です。

無題 - 2021年6月25日 23.07.46



店内に入りスパゲッティーを頼みました。地元で獲れた野菜を使用しているらしく、とても甘みのあるスパゲッティーでした。しばらくすると店主が厨房から出てきて、ぼくに声を掛けてくれました。


店主「いらっしゃいませ。どちらから来たんですか?」

近藤「東京です。スカイツリーのある墨田区です。」

店主「私、よく墨田区に行くんですよ。駅前にコンサートホールありますよね。あと商業施設。あそこのおいしいラーメン屋さん。」

店主の墨田区への思いに圧倒されました。
とともに、せっかく「東京のことを忘れたい旅」なのに、こんなとことろで東京を思い出させるなんて、と、少し気分がヘコみ、なんだかな〜と感じていましたが店主の墨田区への想いは止まりません。

「あとあそこ曲がると場外馬券場も !! 」

想いが止まりません。
少し疲れるなあ。

話が進むと、「富良野へ移住してみませんか?」という誘いも受けました。
この提案は素直にうれしかったです。東京での生活に疲れていたので。

でも自動車免許を持っていないぼくには、この富良野に住むことは難しく、少し自分の知らない角度から現実を知った出逢いでした。

熱冷めやらない店主から「牧場でとれた搾りたての牛乳がおいしいですよ」と勧められたので注文すると、東京では飲んだことのないような味の濃さ。
ちと感動。濃さを表すなら『10.8牛乳』といった感じでしょうか。

渡辺正行のように、牛乳をガブっと飲んだので膀胱は限界です。トイレに入り用を足すと、窓からはなにもない大景色が見えます。

大草原でポツンとおしっこ
なかなか乙で豪快な小便であります。

用を足し便器を見ると『TOTO 製』と書いてあります。
便器に印刷してある TOTO の文字が『 ToT 』の、涙を流す絵文字に見えてしまいました。情緒不安定ですね。

店主との出逢い、大草原での小便、うめえ牛乳。
気持ち定まらぬ学田を過ごしました。

トイレを出た頃には汽車の時間が迫ってしまっていたので、店主に挨拶をし、センチメンタル感満載なカフェを後にしました。

旅は最終行程。学田駅から札幌駅に戻るセンチメンタルトレインが待っています。

この旅は2泊3日でしたが中身が濃かったです。
旅では、自分に起きたことを事細かく記憶しており、その体験してきた出来事は、いつまで経っても忘れられない不思議な時間となります。

旅で待っている地元の人たちはそこで「ふだんどおり」の時間を過ごし、旅に向かうぼくたちは「ふつうじゃない」時間を体験します。これが旅の醍醐味だと思います。

何度も言っていますが「はやくコロナおさまれ !! 」
こんな気持ちで「ふつうじゃないいま」を仕方なく過ごしています。

その後、札幌駅に戻り、駅の地下街で味噌ラーメンを食べ、早めにホテルに戻り、もしかしたら大家アナが番組に出てるかもしれないと期待を抱きましたが出ておらず、早めに寝ることにしました。

2泊3日の行程、明日の昼、飛行機で北海道を後にし東京に戻ります。

気づけば今日はウィークエンド。
甘めで加糖な旅だった YO

『学旅三部作』おしまい



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近藤 学 |  MANABU KONDO
1980年生まれ。会社員。
キャッチコピーコンペ「宣伝会議賞」2次審査通過者。
オトナシクモノシズカ だが頭の中で考えていることは雄弁である。
雄弁、多弁、早弁、こんな人になりたい。
https://twitter.com/manyabuchan00
👇 近藤さんへの質問や応援メッセージなどもお待ちしてます。
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