見出し画像

day ⑧ 「恋のはなし」 by ハム伊藤

ソフト麺はあらかじめ四等分に。
先割れスプーンで食べるイカのホイル焼き。
八宝菜のうずらのたまごだいじに。

給食の風景。

小学校2年生くらいの時、
給食を食べ切れずに昼休みまで持ち越した事があった。

トマトが苦手だった。
すり切りいっぱいに張った実が弾ける。
青みが放たれる。

俺は食べたものを戻してしまった。

うわー!!
いとうちゃんが吐いたー!!
やだあ汚いいいい

学校という狭い世界でこの事態は深刻だ。
ましてやまだ色のついていない子どもには。

トマ戻しイトウ
ではお先真っ暗。

その時、一人の女の子が近寄ってきた。

「はい」

とハンカチを俺に手渡すと、汚れた床を淡々と掃除し始めた。

そんなことが昔あったなあ。その時もそれ以降も特別会話を交わした記憶もないし、名前も顔も覚えていない。

大仰に言うとその女の子をいまだに信仰してるところがある。
なんていうとオカルティックかな ?

でもふと思い出すと、

『あんな風に在りたいな』
『人間はいいなあ』

なんてちょいと豊かになる気がするんですよねえ。

そんな初恋が恋しい。


画像1


童貞をこじらすと女性を神格化するか異常にさげすむかで自分を保つってことがあると思うんです。あくまでこれは自戒、私見、偏見の戯言です。

それは今回に限ったことじゃないかんねえー !!
ここアンダーラインだかんねえー !!

さて。
女性を神聖視してる節があったことは頭で述べました。
そしてこれから回顧する事もどちらも、とっても勝手な話です。

高校一年生の話。俺を含めた男三人と女の子三人でボウリングからの友達の家でオールってことがありまして(嘘じゃねいよー!!!)そんなバナナな一日があったのよ。女の子の残したピンをスペアにしてハイタッチみたいなよう。

自然なハイタッチ。
自然なハイタッチ。

それはそれは見事な不自然ハイタッチだったであろう。
友達の家ではマリオパーティー。ワイワイ楽しかったっすなあ。

そこで女の子と二人で話す機会があった。

俺「ピザの上に乗ってるのは何がいい?」

何その質問 !!
ちなみにこの時の俺は100キロ超級。

女の子「ピーマンかなあ」

だって !!

やさしかったねえ〜〜
やさしかったよ〜〜
(もう中学生)

高校1年生の話です。
今思うとピーマン !? ってことに触れろよって言うところだけど

俺「わかるー !! 俺もピーマンいい !!」

嘘つけよな。
そんな好きじゃねいじゃん。

俺「〇〇さんが好きになったわー!」

早っ !!
単純かよ! NIKE かよ!
その時の仲のよかった男友達にすぐ打ち明けました。

「へえ〜いいじゃん。」

それからは毎日が楽しかったねえ。
その頃は MONGOL800 はメッセージ出してたかねえ。
学校の帰り道なんかじゃ

「響け、恋のう〜(あなたは気付く)」

つって口ずさんでたんじゃないかしら。

そしたらある日、その男友達とあの女の子が付き合ってるなんてことを聞きまして。

俺「二人って付き合ってるの?」

男友達「実はそうなんだ。イトケンに言いづらくて…」

イトケンこと俺「なーんだー !! 言ってよー !! よかったじゃん応援するよー!」

突然のサントワマミー。

だけどほんとに応援しようと思った。

それから半年くらいかな。
女の子は学校を長いこと休んだ。
妊娠したらしい。

女の子にも何も言わなかった。
男友達にも何も言わなかった。

二人は別れてそれぞれ誰かと付き合ってた。

人って信用ならないな。
女も女だな。勝手な話だ。
でも、一番は、へらへらしてた自分に幻滅した。

今でこそセカイ系先取ってるな〜〜なんて笑い飛ばせる部分もあるけど、結構引きずったなあ。


画像2

あくまでこれは自戒、私見、偏見の戯言です。
思春期に素敵な恋愛を普通にしといた方がいいって思うなあほんと。
モテないキャラなんてしてもなんの得もないし、キャラクターに飲み込まれて身動き取れなくなるからな。

長くなりました。

お前の中で雨が降れば、
僕は傘を閉じて濡れていけるかな

なんて考えたりする。
嗚呼、何もない町。
人恋しい。


画像3

ハム伊藤
1985年生まれ。NSC を経てコントユニット・ブルーベリーズを結成。解散後ラップユニット・ファストフードファウンデーションへ加入。130キロから70キロ減というダイエットの成功者でもある。
https://instagram.com/ham_no_ito


🙋‍♂️ 記事がおもしろかったらぜひサポート機能を。お気に入りの雑誌や漫画を買う感覚で、100円から作者へ寄付することができます 💁‍♀️