まあ、その、いろいろ #76 | 御在所岳 ② (かとう)
御在所岳(ございしょだけ)は三重県と滋賀県の県境に、まるで背骨のように縦に走る『鈴鹿山脈』の中の1つの山。20近くある山が連なっていて、そのうちの7名山を『鈴鹿セブンマウンテン』と呼ぶのだけれど、御在所岳もその1つ。
今回は名古屋から1時間かけてやってきた「おすぎ氏」、鈴鹿セブンマウンテンの1つ『藤原岳』の麓に移住して暮らしているオジー氏との3人で、登山口から登るわけなのだけれど、本来、御在所岳は東海地方屈指の観光地として有名な山。駅から山頂までは長いロープウェイが通っており、季節によって変わる草花や、その時々の風景を楽しみに、週末ともなると遠路はるばる様々な地域から観光客が訪れる山だ。
遠くに見えるロープウェイから時々ぼくらに向けて「おーい」とか「がんばってくださーい」という黄色い声援が飛んでくるのがなんだかおかしい。なんとなくロープウェイの方に向かって手を振りかえしてあげると「きゃあ」とはしゃぐ声が小さく聞こえる。ぼくらが山頂に着く頃には彼女たちはもう帰りのロープウェイだろう。
時期的には『残雪期』(まだ山に雪が残っているシーズンのこと)。残雪を懸念して防水の装備にスパイクチェーンを持参。雪化粧を期待している反面、どうか残っていないでくれと願う二律背反を抱えながら、ゆっくりと岩山を登っていく。
御在所岳の特徴の1つは、このゴツゴツとした岩の道にあると思う。神のいたずらとも思える自然の岩の階段を1つ1つ、気をつけながらただひたすら黙々と登っていく。
初心者向けの山とはいえ、ふぞろいの高さの岩を順々に踏みあがっていく作業は結構大変だ。ゆるやかに、徐々に傾斜があがっていく土の道とちがって、時に両手で岩にかじりつき、全身でダイナミックにあがっていく。ロッククライマーの一面を持つオジー氏の軽々とした背中を追うのだけで必死だ。
だんだんと、オジー、おすぎ、しばらく置いてぼく、の順番で1時間ほど登った見晴らしで一旦休憩。ぜいぜい言いながらも、まだはじまったばかり。
ただ、ここから一気に時間が過ぎていく感じがたまらないのだ。
つづく
まあ、その、いろいろ。
泣いても笑っても10分。
PARK GALLERY
ディレクター・加藤 淳也
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