見出し画像

猫背で小声 season2 | 第2話 | 働くことが、苦しくて。

朝、働くことに希望を見出せない時、なにを考えるか?

ぼくは実家暮らしの独身で、彼女もおらず、守るものもない。「自分のために働いている」という答えが正しいのだろうか。自信はないが、多分そういう答えが出てくると思う。偉そうに聞こえるかもしれないけれど、ぼく自身、あまり仕事が好きではない。

仕事は事務職でデスクワークだ。

好きじゃないから月曜日の朝は病的に具合が悪くなる。具合が悪い、具合が悪い、と、自分の世界に入ってしまい、具合の悪い自分に冒されてしまう。会社に行っても具合の悪いまま仕事をしている。この世のすべての「負の感情」を精神や肉体に背負ったかのように、杭になって打たれているかのように、週の始めを重い気持ちで過ごしているのだ。

そんな情けない自分だけど、将来こうなりたい、という明確な答えが出ている。

「楽しく人生を過ごしたい」

過去にこんな会話をしたことがあった。

「仕事が辛いので辞めたい」
「ムダな仕事なんてないんだよ。どんな仕事も誰かの役にたっている。」

両極端な話だが、これも生きてる証なのだと思う。

時には辞めたい、時には仕事に誇りを持って働く、みんな驚くほどに心を揺さぶられながらもサラリーマン生活を重ねていくのだ。


いまぼくは42歳。

20年余り引きこもっていて、33歳の時に社会に通いはじめた。今年で社会に出だして10年目である。

こんな男が、幸運にも働けて、さらに幸運なことに正社員として勤務している。「働けているだけで幸運でしょ」「文句を言うな」という声もあるだろうし、どこかで現状に心から感謝できていないのかもしれないけれど、働くことが辛い。辞めればきっとまた「ひきこもる」、ということも、親しい友人からも言われた。

なんでこんなに苦しみながら働かなきゃいけないの、と自分をドラマのヒロインにしたがる節はあるけれど、また今日も大人しく、自分の感情を押し殺して働いている。あーだーこーだ言いながら、そして心の中では雄弁に、明日を想いながら、今日も働くのだろう。

いつか苦しみは詩にもなる

すべては自分のため
見えない悦びのため
 

次回もお楽しみに!


\ 近藤さんってどんなひと?/


文 : 近藤 学 |  MANABU KONDO
1980年生まれ。会社員。
キャッチコピーコンペ「宣伝会議賞」2次審査通過者。
オトナシクモノシズカ だが頭の中で考えていることは雄弁である。
雄弁、多弁、早弁、こんな人になりたい。
https://twitter.com/manyabuchan00

絵 : 村田遼太郎 | RYOTARO MURATA
北海道東川町出身。
奈良県の短大を卒業後、地元北海道で本格的に制作活動を開始。これまでに様々な展示に出展。生活にそっと寄り添うような絵を描いていきたいです。
https://www.instagram.com/ryoutaromurata_one/

🙋‍♂️ 記事がおもしろかったらぜひサポート機能を。お気に入りの雑誌や漫画を買う感覚で、100円から作者へ寄付することができます 💁‍♀️