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スキマ的風景 vol.3 by NATUMI

日常のスキマに挟まったちょっと気になる場面、ほんの少しの「切なさ」「おかしさ」を含んだ瞬間。そんなスキマ的景色。連載『スキマ的風景』では、私 NATUMI が惹かれる「スキマ的」なものごとを紹介していきたいと思います。


今回は「スキマ的」存在、張り子についてです。

張り子の作り方は、原型となる型があり、それに紙を貼り付けて乾かし、
型を抜き取って塗料を塗り、絵付けをします。
型は繰り返し使えて同じかたちの張り子を何個も作ることができます。
大量生産できる仕組みになっているのです。

しかし手作業が多いので、一体一体表情やサイズが違ったり、
どうしても個体差が出てきてしまいます。
私はこの、出てきて“しまう”ところが張り子の魅力だと思っています。

例えば、大量に印刷されるチラシも、よく見れば断裁のズレやインクの乗り具合は一枚枚違うはずですが、
ほとんど意識されることはなく同じものとして扱われます。
張り子の個体差もそのくらい些細な違いとして捉えられて、同じものとして扱われます。
手作りの“作品”でもありつつ、“製品”という要素も持っているところが、張り子ならではと思います。

個展開催中に行う張り子の絵付けイベントでは
そんな魅力を感じられたらと思い、一型のみのご用意にしてみました。
そっくりにはなりませんが、張り子ならではの魅力を楽しんでもらえたら嬉しいです。

*張り子 …. 粘土などの型に紙を張り付けて成形する郷土玩具。日本各地にみられる技法です。


NATUMI
1990年生まれ、女子美術大学卒業。
2021年 パレットクラブスクール イラストコース卒業後、デザインの仕事と並行してイラストレーターとしての活動を本格化。空想を織り交ぜた日常の景色を得意としています。最近では愛犬をモチーフにした作品も。
2021年 第17回 TIS 公募 金賞受賞。
https://natumiillustration.tumblr.com
https://www.instagram.com/natumi_illustration


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