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【 レビューあり 】 青原凛 × カトウトモカ 『ふたり旅行記』 茨城県

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ZINE REVIEW by いのうえ あかね(PARK GALLERY)


COLLECTIVE 2021 、昨年を上回るエントリーとそのペースに、日々楽しさと忙しさを感じて過ごしている。足を運んでくれるひとも、1冊1冊手に取って夢中になって ZINE との出会いを楽しんでいるようだ。これから ZINE をつくってみたいというひとが「参考にしたい」と訪れることもしばしば。中でも「”きれい”な ZINE が多い」というリアクションも多い。SNS やオンラインの普及により、表現や発表の場も広がってきているのもあってか、こだわりの 1冊を仕上げるために印刷方法から製本の仕方、紙の素材、デザインからパッケージにまで こだわりと労力がかかっているのが一目で伝わってくる。恐るべし。とどまることのない ZINE の世界 ...

そして今回また、ひときわこだわりの詰まった1冊の ZINE が届いた。
茨城からのエントリーされたのは、イラストレーター・カトウトモカさんと物語は青原凛さんによる、おいしいものとたのしいことがだいすきなふたり組の ZINE『ふたり旅行記』。

手触りのある美しい表紙をめくると、ふたりの旅はスタートする。

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青原さんが生み出す1ページの旅の物語に、カトウトモカさんによるイラストがその情景を添える。

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物語ごとに1ページ1ページていねいに変わる紙質や色柄、さらにフォントの選びまでもが、1話1話を引き立てている。黒い用紙に黒で文字がプリントされたページが現れた時には、紙選びと印刷だけでここまで世界観が作りこめることに感動した。これから ZINE を作ってみたい人にもぜひおすすめしたい1冊。

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内容は、それぞれ見開き2ページほどに収められた旅の短編集。海に行ったり、お花畑に行ったり、宇宙でバカンスをしたり。時々現れる遊び紙には月への乗車切符も挟んであったりする。余白にも手書きでちいさく記されている旅の一言メモ。実話なのか空想なのか、どちらの世界にも引っ張られてしまうような遊び心にも癒される。ページを開けば、みんなが乗客のひとりになったかのように、この旅は進んで行くのだ。


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文中に使われる擬音語もポイント。
お腹が「ふくふく」とか「ぽそり」と呟く、だとか。ちょっと不思議だけれどやわらかくってとてもやさしい。イラストも物語に合わせて、線や色、ペンのタッチまでもアレンジが加えられている。文章と絵でそれぞれの個性を引き立て合いながら、ふたりでしっかり一歩一歩この旅の物語の足を進めているのが伝わってくる。

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気づけばあっというまに、たのしかった不思議な旅も終点へ。
星が瞬く静寂な夜、内緒話で終わるふたりの旅の夜は、まだまだ深くながく続くのだろうか。

つぎはどこへ行くのかな?
またいっしょに、どこか旅へ連れ出してほしい。

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レビュー:いのうえ あかね(PARK GALLERY)


---- 以下 ZINE の詳細と街のこと ----


【 ZINE について 】

紙や製本にこだわりを詰め込んだ本をつくりたいね、という話から始まりました。いろいろなところを旅していくふたりだけの世界を、掌編小説とイラストで描いた一冊です。

価格:¥1,320(税込)
ページ数:48P
サイズ:105 × 148mm


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作家名:青原凛 × カトウトモカ(茨城県牛久市)

物語を書く青原凛と、絵を描くカトウトモカ。
たまに一緒に本をつくります。
おいしいものと、たのしいことがだいすき。

カトウトモカ
https://www.instagram.com/tmktmk_
https://twitter.com/okaca__

青原凛
https://twitter.com/rin_kotohogi

【 街の魅力 】
自然が豊かで空が広いです。
【 街のオススメ 】

① DIPIKA ... 大きくてふかふかのナンがおいしい!絶対におなかいっぱいになります。

② バイゲツカフェ ... おいしいごはんとすてきな空間。おしゃれな雑貨や本がぎゅぎゅっと詰まっています。

③ 味処こまつや ... 何を食べてもおいしい!古民家調の店内と、元気な店員さんがすてき。




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