boa viagem #016 『最後の日』by 写真家・新多正典
飛行機に乗る前日。
活動の最終日。
晴れた日が多いから(肌感覚としては9割晴れ)、モノクロで風景をたくさん撮ろうと意気込んで来たものの、結果全く撮れなかった。
カメラに装填した36枚撮り1本だけでも使い切りたくて、その視点だけで昼間出掛けた。
天気が良くてガチガチのコントラストを生む街なのに、モノクロではないんだなあと感じた。
——-
この日は、先日オリンダでやった教会までの行進のレシーフェ版。
出番は2回あって、昼間に未成年部隊。
深夜に大人たち。
ボスにバスの時間を確認すると15時。
もちろん16時を過ぎてもバスなど来ない。
出発したのは17時。
旅の序盤から中盤にこの国の良い面、日本と対比的に見える部分に目が行ったが、終盤ダメダメな部分ばかりが気になってくる。
2週間という期間は、新鮮に受け入れてきたものにある程度飽き飽きするくらいの十分な長尺だろうか。
———
未成年部隊の演奏の後、通常なら一旦帰るところを今回は留まった。
大人の到着を待つことになり、ステージの演奏も他のチームが続々とまわしていく。
また長い待ち時間になり、4年ぶりの光景なのに飽きている自分がいる。
帰国モードがこんなにも気持ちを変えるなんて、と人の心の安易さに呆れる。
あと3日程度帰国が後ろにズレていたら違った気持ちになったんだろうか。
うーん、その場合ヒーヤンの所に3日間逃げ込んでいたかも…。
未成年部隊が19時に終わって、大人部隊が始まったのは22時半。
最終日にして試練は演奏中にスコールがあったこと。
昨日のコンペでは中断はあり得ないけど、観衆含めた全ての人が軒下に逃げ込んだ。
これまで全て天候には恵まれていたので雨が降ることは想像できなかった。
でも4年前のこの日は雷が鳴る豪雨だったことを思い出した。
やっぱあるよね、神の導きが。
四年前のそのときは、ジェシーのスカートの中にカメラを潜らせて守ってもらった。
大人部隊の演奏は、昨日のコンペより良かった。必死だけど笑顔があった。
勝ち負けからの解放。
純粋に宗教を魅せる音楽として、これでいいんじゃないか、と思う。
——-
3時間半の待ち時間、暇過ぎて「ヒーヤン、明日帰るから」とメールしていた。
全てを終え家に戻ったら動画の返信があった。
彼らもバスで遠征中だったらしく、生徒たちが「ニッタ、大好きだぜ」と合唱していた。
明らかに言わせてる感じだけど、彼らのチームワークの良さがとても感じられた。
これがマラカトゥ、というかなんであれグループを形成する理想型じゃないかと思った。
つづく。
🙋♂️ 記事がおもしろかったらぜひサポート機能を。お気に入りの雑誌や漫画を買う感覚で、100円から作者へ寄付することができます 💁♀️