マガジンのカバー画像

猫背で小声 season2 by 近藤学

23
猫背で小声がちょうどいい、会社員・近藤学による人気エッセイのシーズン2。人生の半分を『自分磨き』(ひきこもり)に費やした青年が、社会の窓を開いて外に出るまでの小さな物語をシーズン…
運営しているクリエイター

#あの頃支えていたもの編

猫背で小声 season2 | 第10話 | 北国のオンナ

休職中だった春のある日。何もすることがなかった。 生活にハリがない。現在過去未来が、しぼんでいた。 生活にハリや目標がないと、外に咲いている桜も鬱陶しく、心は震えない。 世間では新生活がスタートする季節。僕はヒマだったので普段あまり見ないユーチューブをなんとなく見てみようと、検索窓に自分の興味があることを入力しはじめた。 「野球」 「昭和歌謡」 そして、当時興味が湧きはじめていた「サウナ」をなんとなく入力してみると、検索結果として動画のサムネイルがダーっと表示された

猫背で小声 season2 | 第7話 | Sサイズのアイスミルク

金曜日の仕事帰り、ぼくはカフェでアイスミルクを飲んでは仕事のことを思い、腐り狂っていた。 ぼくは今、働いている。 ふと気づくと働いている。 仕事は苦手だが、真面目に取り組んでいる。 金曜日の夜、地元のカフェでアイスミルクを飲みながら、こうして文章を書いていることが至福の悦びだ。 今日も9:00から17:30勤務。週5日頑張った。 アイスミルクの値段は326円。 働いているからこのアイスミルクを飲めるのだ。 326円でも、ちゃんと自分の稼いだお金でアイスミルクを頂

猫背で小声 season2 | 第4話 | すきをともに

あなたの趣味は?と聞かれたらなんと答えますか。 強いて挙げるなら、ぼくの趣味は文章を書くことである。しかもカフェで昭和歌謡を聴きながらという条件付き。 これはそんな昭和と令和を行き来する男の「趣味」の話。 2019年の秋頃、なんとか仕事についたぼくだったが、会社の人間関係で悩みに悩み、ついに辞めようかと考えていた。この決心は固く、どうやったら会社とトラブルを起こさずに、静かに辞められるかを考えていた。そんなある日、facebook のメッセージでスマホがぶるると震えた。

猫背で小声 season2 | 第1話 | ビートたけしのお笑いウルトラクイズ

猫背で小声がちょうどいい、会社員・近藤学によるエッセイ「猫背で小声」のシーズン2がはじまりました。題して「猫背で小声 season2 〜あのころを支えていたもの〜引きこもり編」です。人生の半分以上を自分磨き(ひきこもり)で過ごしてきた近藤さんの物語をまだ読んでない人は、ぜひシーズン1からお楽しみください。   第1話 | あのころを支えていたもの ビートたけしのお笑いウルトラクイズ 当時ぼくは中学生。 学校には行かず、名ばかりの中学生だった。 今この連載を見てくれてい