楠勝平『仙丸』(1964)
武士になりたかったのに成り行きで盗賊の一員になり牢に入れられた少年と、紙漉きの部落で紙買い占めの藩主との争いで戦い
既に牢に入っていた紙漉き職人の対話。
「取られたら取り返しゃいいんだ!」
「(…)それではもしもおまえがこの羽織をほしくなったとする / そのためにいずれか死に勝負が決まる」
「…」
「ところがだ。この羽織が古くなりボロボロで着ることが出来なくなったらどうするのかね」
「…何が言いたいんだ!」
「働く者たちがいるという事じゃ / 誰かが汗を流し誰かが種を蒔き誰かが刈り取ったからわしらがこうして生きているんだ」
60年近く前の劇画、作者はこの時弱冠20才。先天的な病のため30才で亡くなったのですが、今読むとこの会話は実に深い…というか刺さります。
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