見出し画像

8−1:六つの規律

公的機関はどうすれば成果をあげることができるのでしょうか。

ドラッカー先生は六つの規律を課す必要があると言います。どんな規律が必要なのでしょうか。また、その規律が必要な理由はなんでしょうか。

◆◆◆

◆公的機関が自ら課す6つの規律

公的機関にも種類があり、種類が違えば構造も違ってくる。だがあらゆる公的機関が、次の六つの規律を自らに課す必要がある。

公的機関はその性質上予算に依存しています。
その条件下で成果をあげるためには、6つの規律を課す必要があります。

6つの規律について、順に説明していきます。

①事業の定義を決める

①「事業は何か、何であるべきか」を定義する。目的に関わる定義を公にし、それらを徹底的に検討しなければならない。異なる定義、しかも一見矛盾する定義を採用し、そのバランスを測る必要さえある。

まず初めに事業の定義を決めます。

事業の定義を決めるのは、組織の意思を統一するためです。組織に所属する人は、一人一人が異なる考え方を持っています。

「一本の矢は折りやすい。しかし一つに束ねれば折れにくい。」

意思を統一することで大きな目標に向かって行動する組織を作ることができるのです。意思統一の過程で、一見矛盾する定義を採用しないといけないかもしれませんし、バランスを測る必要があるかもしれません。それでも事業の定義を決めることで組織は一つの大きな力となるのです。

画像1


②定義に従い目標を決める

②その目的に関わる定義に従い、明確な目標を導き出す。

事業の定義を決めたら、企業が達成したい目標を決めます。

教会であれば「若い人を惹きつける」、学校であれば「小学3年までに本を読めるようにする」などです。

目標を決めることで組織全体が進むべき方向性が明確になり、一人一人がすべきことが具体的になっていきます。

画像2


③活動の優先順位を決める

③活動の優先順位を決める。これは、目標を定め、成果の基準すなわち最低限必要な成果を規定し、期限を設定し、成果をあげるべく仕事をし、責任を明らかにするためである。

その目標を達成するため、活動に優先順位を決めていきます。

「目標達成のために、どんな成果がどれくらい必要なのか?」
「その成果を出すためにはどれくらい時間が必要なのか?」

優先順位を持って取り組むことで、目標達成に必要な仕事に集中して取り組むことができます。

画像3


④成果の尺度を定める

④成果の尺度を定める。これは、たとえばベル電話会社の顧客満足度や、日本が明治のころ社会発展の尺度とした識字率である。

目標達成に向けて成果の尺度を決めます。

教会の「若い人を惹きつける」という目標の尺度は「教会に来る若者の数」を指標としたり、学校の「小学3年までに本を読めるようにする」という目標の尺度は「学年別の読書率」を指標とするなどです。

目標達成のために進んでいるのかを確認する指標を決めます。

画像4


⑤成果のフィードバック

⑤それらの尺度を用いて、自らの成果についてフィードバックを行う。成果による自己管理を確立しなければならない。

予め決めた尺度に基づいて、成果のフィードバックを行います。

「1ヶ月間で教会に訪れた人のうち、若い人の割合はどれくらいか?」
「小学1〜3年生までで1週間にどれくらい本を読むのか?」

自分たちの行動を客観的指標を使って分析します。成果のためにどれぐらい取り組めていたのかを確認することができます。

画像5


⑥監査

⑥目標に照らして成果を監査する。目的に合致しなくなった目標や、実現不可能になった目標を明らかにしなければならない。恒久的な成功などありえない。しかるに、成功は失敗よりも捨てることが難しい。すでに自負を育てている。成功は愛着を生み、思考と行動を習慣化し、過信を生む。意味のなくなった成功は、失敗よりも害が大きい。

最初に決めた①「事業の定義」から監査します。

不要になった目標、意味のない優先順位、時代遅れの尺度など、事業の定義に沿わないものがあるのかどうかを確認して排除します。

画像6

◆◆◆

①事業の定義を決める
②目標を設定する
③優先順位を設ける
④成果の尺度を決める
⑤フィードバックを行う 
⑥監査する

この6つの規律を自ら課すこと、このサイクルを繰り返すこと。

企業は自らこの六つの規律を課すことで、成果のために行動することができます。そして、予算への依存を抑えることが可能になります。

サポート頂いた方にはコメントを返させていただきます。サポート頂けますと幸いです✌️