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8−2:公的機関の種類

公的機関とは、公営の学校・病院・役所・教会などです。
それらは構造上の違いから3種類に分類することができます。
そして構造が違えば、用いるべき規律も異なります。

公的機関が成果を上げるためには、公的機関のカテゴリーについて理解し、どういう対応をするのが効果的か知ることが有効です。

このnoteでは、公的機関の種類とその対策について説明します。

◆◆◆

◆公的機関が一括りにできない理由

 公的機関が成果をあげるうえで必要とするのは偉大な人物ではない。仕組みである。それは、企業が業績をあげるうえで必要とする仕組みに似ている。もちろん適用の仕方は違う。公的機関は企業ではない。成果の意味が違う。
 さらに、その適用は公的機関の種類によって違うし、違わざるをえない。成果に対して支払いを受けるのではなく、計画と活動に対して支払いを受けるという意味での公的機関は、大きく分けて三種類ある。

公的機関が成果をあげるために必要なものは「六つの規律という仕組み」です。

ただし、どの公的機関にも一律にその仕組みを適用してはいけません。
なぜなら、公的機関は大きく3種類に分類されるからです。

理由は、公的機関の支払いの受け方にあります。
公的機関の支払いの受け方は「予算」です。予算は、計画と活動に対して必要分を割り当てられます。計画と活動はそれぞれの公的機関によって異なります。

「行政組織の予算は、社会にルールを設けるため」
「公営の学校の予算は、子供達に均等に教育機会を提供するため」

計画と活動が異なるために、公的機関は一括りにできません。

そして、公的機関の種類それぞれに適した規律の課す方法があります。


◆公的機関3種類

公的機関は以下の3種類に分類されます。

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①自然的独占企業
②予算から支払いを受けて事業を行う公的機関
③行政組織

それぞれ詳しく見ていきます。


①自然的独占企業

電話事業、電力事業など規制を必要とする企業です。

規制のない自然的独占企業は社会に悪影響を及ぼす危険があります。
例えば、水道会社がある地域でビジネスを行った場合、コスト面を考慮して人の多く住む地域だけに水路を引くと、水路のないエリアに暮らす人々は満足のいく生活を送ることが困難になります。だから、大きな組織が予算という形で自然的独占企業が暴走しないようにコントロールする必要があるのです。

自然的独占企業が成果を上げるためには、組織構造を単純化することです。

自然的独占企業は顧客から直接利益を得ているわけではありません。しかし、公的機関の中では最も顧客に近いところにいます。水道局は顧客に水道インフラを提供しますし、通信事業は顧客に遠くの人と電話するサービスを提供します。だから、自然的独占企業はより顧客の欲求を満たすための組織であるべきです。そのために、組織構造を単純化すべきです。

加えて、自然的独占企業は民間のものとし、規制のものに置くべきです。

規制のない民間企業にすると、彼らは利益追及のための組織となる危険があります。顧客の必要性につけ込んで、必要以上な金額を顧客に要求するかもしれません。それを避けるために規制は必要です。また、完全に国有化してしまうと、顧客のことを考えない仕事をしてしまいます。だから、規制を受けつつも民間企業となるべきなのです。

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②予算から支払いを受ける公的機関

公営の学校、病院、企業内のサービス部門など、より大きな組織から予算として支払いを受ける組織のことです。

公的機関の顧客は、顧客というよりも「拠出者」という方が適切です。公的機関の顧客は、公的機関が提供するサービスに対して支払いを望んでいるわけではありません。学校も病院も彼らは望んでお金を払っているわけではなく、税金・保険・間接費負担などの形で支払いを強制されているのです。

必要なことは、①「成果に関する最低限の基準」と②「所有は社会化するが競争は行わせるという社会主義的競争」の2つです。

①「成果に関する最低限の基準」とは、彼らが果たすべき最低限の役割のことです。
つまり、最低限これくらいの成果は果たすべきという基準を設ける必要があります。もし仮に、この基準がなければ公的機関の労働者は成果をあげようとしません。なぜなら、彼らの賃金は予算によって支払いが保証されているからです。努力せずとも、成果をあげなくても給料は入ってくるからです。

②「所有は社会化するが競争は行わせるという社会主義的競争」とは、公的機関同士で競争をさせるべきという考えです。
例えば、「顧客が1つの学校しか選べないA地域」と「顧客が複数の学校から選べるB地域」では、学校のレベルはB地区の方が高くなります。B地区の学校は、他の学校に負けないように、より多くの子供達に魅力的な学校になれるように、競争力を持って努力するからです。

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また、②「所有は社会化するが競争は行わせるという社会主義的競争」の考え方は、企業のサービス部門の成果をあげるためにも有効です。

ある大企業では、事業部は本社のマーケティング・スタッフを利用できるが、利用することを強制はされていない。社外コンサルタントを使うことも、事業部内にスタッフを持つことも許されている。本社に対しては、本社のスタッフを使った時だけコストを負担すればよい。

本社のスタッフは、何もせずとも予算によって支払いを受けています。つまり、市場の競争環境から外れている状態です。これでは企業の社員は努力しようとしません。しかし本社スタッフと言えど、選ばれる立場となることで、成果をあげなければ社員から見放されると考え、努力するのです。

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公的機関はその構造上の違いによって、①自然的独占企業、②予算から支払いを受けて事業を行う公的機関、③行政組織の3種類に分類されます。

③行政政府については次のnoteで説明します。




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