綱島温泉に関する個人的な記録
2015年5月19日、つまり本日の営業を最後に、東急東横線「綱島駅」からすぐの場所にある温浴施設「綱島温泉 東京園」が、直下を通る地下鉄工事の影響で休園となるそうです。
僕がこの天国のような場所の存在を知り、通うようになってからもう10年近くになります。
きっかけは妻(当時は入籍前)に「絶対に好きそうな場所を見つけた」と教えてもらったことで、そのホームページのいなたさ、料金システムからにじみ出る経営者の人の良さを一発で気に入り、さっそく週末に2人で出かけて行ったのを覚えています。
以来、2階の個室を借りて友人たちと宴会をしたり、近年急速に開催の増えた音楽イベントに遊びに行ったりと、本当に毎回夢のように楽しい時間を過ごさせてもらいました。
ちなみに、僕がやっている「大衆酒場ベスト1000」という連載で取り上げた時の記事はこちら。
休園直前の5月10日、何人かの知人たちが出演する音楽イベントがここで開催され、また偶然別の友人も2階の個室を借りて宴会をするというので誘ってもらっていたんですが、あいにく都合がつかず、行けませんでした。
知り合いの多くはその日「これが最後の綱島温泉」てな具合に大いに楽しんだようで、その様子をSNSなんかで眺めながら羨ましく思っていました。
で、なんとな〜く「自分はもう休園前の綱島温泉に行くことはないんだろうな」なんて思ってたんですが、突然「あれ? さすがにそれは寂しすぎじゃね!? やっぱもう1回は行かないと!」と思い立ったのが休園5日前。
と同時に、せっかくだからたっぷりと館内の様子を写真や映像で記録にも残しておきたいと思い、すぐに東京園に電話。
社長さんに主旨を説明し、お許しを頂きました。
翌日、休園4日前、僕は朝から綱島温泉へと向かいました。
オープンより1時間も早く着いてしまったんですが、すでに開店待ちの先客がチラホラ
入り口にはこんな張り紙が
書き起こしておきます。
この度、東京園の庭の直下に相鉄・東急直通線が通るため、地下鉄工事を始めます。工事は五月二十日から四年間にわたって行われます。一日二百四十台のコンクリートミキサー車が、当園の庭に入るまことに大掛かりの工事です。そのため五月十九日迄営業し、休園します。休園中は、銭湯のみの仮店舗を検討中です。
東京園は六十八年間の営業をして参りました。その間、都会のオアシスとして、又沢山の老若男女の方々に愛され、楽しまれ、真に幸せでした。心より厚く御礼申し上げます。有り難うございました。
二〇一五年 五月 綱島温泉 東京園
とのこと。
閉園ではなく、休園という言葉が頼もしいです。
あまりに早く着きすぎてしまったので、せっかくだから色んな角度からこの建物を眺めてみることに。
時計回りに
こんなかっこいい煙突が立ってたんだな
牧歌的な駐車場
へー、隣に旅館なんてあったのか!
全く知りませんでした。
ということは、昼間に綱島温泉を堪能して、夜はここに泊まるっていう遊びもできたんだなぁ。
裏から見る東京園はちょっと新鮮
さて、それでもまだ時間があるので、ついでに近所も散策してみます。
すると徒歩2、3分もしないところに、
こんな開けた川原が!
かなり最高のロケーション。
あわててコンビニへ行き、
軽く一杯
天気も良く、景色も開け、吹き抜ける風がめちゃくちゃ気持ちいい。
こんな良い場所が目と鼻の先にあったのに今日まで気付かなかったなんて、いかに僕が綱島という地において、綱島温泉しか見ていなかったかという証拠ですね。
そうこうしているとオープン時間となりました。
いよいよ休園前ラストとなる東京園におじゃまします。
まずはお風呂へ
真っ黒で若干ぬるぬるしたお湯、水風呂までもが温泉で、交互に入るのが本当に気持ちいんだよな〜。
はぁ〜、堪能。
風呂上がりにはもちろん一杯。
初めてこの光景を見た時、どれほど興奮したことか
生ビール(350円)& シュウマイ(100円)
本日注文一発目の生だったらしく、最初の泡の分をおまけしてもらいました。
こういう出来事の嬉しさって、他に例えようがないですよね。
あ〜……天国
しばらくすると一緒に頼んでおいたラーメン(400円)も到着
広間に移動して頂きます。
特筆すべき点や必要以上の深みなどない、優しき味わいのラーメン。
涙でいつも以上にしょっぱく感じたかというとそんなこともなく、東京園はバリバリ再開の意思を示されていることもあり、なんというか、普通にのんびりと堪能しました。
というかここのラーメン食ったの、そもそも初めてだった
てな感じで、あまり感傷に浸るようなこともなくまったりと楽しんでいたんですが、追加のレモンサワーを飲み干したところで始まった、この日1曲目のカラオケ。
これを聴いていたら、別に悲しい歌だったとかではないんですが、妙〜にセンチな気分になってきました。
きっといつもと全く同じ動作で歌い慣れた曲をリクエストし、1人歌いだす常連さん。
たくさんのこういった方々が、今現在どんな気持ちでいて、綱島温泉が休園している間どこで過ごすのかとか想像するとなんかね。
まーみなさん人生の大先輩たちなので、若輩者の僕が心配するようなことではないんですが!
ではそろそろ、もう一度園内を一周してから、おいとますることにしましょう。
今日は1人だしあまり長居も無用ですので。
こんな場所、他にないよな
風呂場周りは意外と攻めたデザイン
まだ誰もいない2階へ
この部屋ででっかい新年会やったなー
こことか
ここは音楽イベントでよく来た
この部屋なんて、宴会しすぎて親戚んちみたいな感覚
宴会場の貸切時間が過ぎても、さらに1階でダラダラ過ごせるのがいいんだよね
庭
品薄になった日用品売り場
こんなTシャツも売ってた
休園ギリギリまで湯たんぽを100円で売る姿勢がいい
館内の一角にはこんなコーナーも
東京園を愛するファンのみなさんが自由にメッセージを書ける落書きコーナーですね。
お、ここでよく一緒に遊んだバンド、チミドロの名前を発見!
隣が空いてたんで僕も記念に
というわけで、休園前の東京園を堪能できた最後の日の、個人的な記録でした。
冒頭に今後についての張り紙を載せましたが、さらに詳しく社長さんの話を聞いた方によれば、今後なるべく早く銭湯部分だけでも営業を再開し、4年後の地下鉄工事終了後は、徐々に現在のような営業形態に戻していきたいと考えられているそうです。
4年ってずいぶん長いけど、東京園68年の歴史に比べれば大したことないとも言えます。
何より、自分もまだまだこの楽園の今後を見守っていける余地があるだけでも、大変な希望ですよね。
また老若男女が集い、ヘラヘラと自由に酒を飲み、風呂に入り、歌い躍る、あの世のような姿を取り戻す日を楽しみに待っていたいと思います。
ひとまずありがとう、東京園!
あ、最後に、館内の様子をひととおり映像でも納めてきましたので、よかったらどうぞ!
いつでも思い出せるように。
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