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天使に触れた。【Inverted Angel 感想】

DAMチャンネルをご覧のみなさん、ぱるこです。

話のさわりと聞くと「出だし・導入部分」のようなイメージをもつ人が多いかと思いますが、正しくは「聞かせどころ・要点」という意味らしいですね。いわゆる日本語の誤用に関するジレンマとして、いくら発言者が正しい言葉選びをしていても聞き手に同様の知識がなければコミュニケーションは立ち行かないということが言えるかと思います。こういうものは得てして誤用の方が浸透してしまっていますから、ときにはそれを知りながらも正しさを手放す必要があったり。なんと儘ならない世界でしょう。
しかし考えてみると我々は結論を最初に話せとおばあちゃんに散々厳しく躾られ育ったわけですから。つまるところ「話のさわり」というのはものごとの冒頭部分を指す言葉として扱ったとて、実際問題そこにさしたる支障はないのかもしれませんね。
なになに。じゃあこの記事はどうなのかって?
おい、耳障りですよ。

前回の記事では『Inverted Angel』というゲームについて恐る恐る触れました。今回はその第2弾としてもっと遠慮なくベタベタ触れていこうと思います。それはもう百裂拳の如く。
今変換して初めて知ったんですけど百裂拳の漢字ってこうなんですね。ずっと烈だと思ってました。いや別に百裂拳のことを考える夜は人生で数えるほどもありませんでしたが。
なんかほら「苛烈な百の拳」みたいなさ。もしかして「相手の体が百に裂ける」とかそういう方向性?まぁいいや、そもそも百裂拳にそんなベタベタ触るみたいなイメージ全然ないし。じゃあなんの話をしているんだ。
というわけで感染症が気になる昨今、どうかみなさんも手洗いうがいをお忘れなく。(不時着)

前回の記事はこちら↓

さて、未プレイ者への布教目的にゲームの大枠の部分だけを紹介させていただいた前回とは打ってかわり、今回は自分が書きたいことを自由に書くための場とさせてもらいます。当然ネタバレのオンパレードですのでご注意ください。
オンパレードってなんだか小さき存在がアルミ缶とかの上でドンチャン騒ぎをしてる光景が想像されてかわいいですね。共感性が低いとはたまに言われます。



各エンディングについて

ここからはシナリオ感想および考察をルート毎に書いていきます。中には明後日の方向に的外れなものもあるでしょうが、自分はこう考えたというところを大事にしていきたいですね。みなさんにおかれましてもどうか後生大事にしろ。


Invalid Angel -私はあなたの恋人-

invalid:有効でない、認められない
プレイヤーの気が変わって彼女のことを恋人と認めない、そして彼女もまた恋人以外の選択肢を無効化してくるルートですね。あの強制力を行使してるのが彼女なのかは意見の分かれるところでしょうけど、初見時の印象としては「ああ、この子がゲームを支配してるんだな」という具合でした。実際は彼女がいちばんゲームに翻弄されてるんだと思いますが。

Steam実績が器アイコンだから一応この枠に入れちゃいましたが、これはいわゆる真相とは違いますよね。First Roleが解除されないしそもそも何も解決していないので。その「何も解決していない」「プレイヤーが納得しない」ことこそが当ルートの意義のひとつではあるのでしょうね。

個人的な想像としては、無理やりで空虚なものであれ住民が彼女を恋人と呼ぶ、そんなエンディングを望む彼女の健気な意志だったりもするのかなと。まぁたしかにただのBADENDと無碍に扱いたくはない気持ちがありますね、今となっては。器の色は灰色、天使ルートの流れを踏まえると何やら見えてくるものがあるように思います。
え?いや、特に言語化はできませんけど……。

あと各真相のサブタイトルって甘味が含まれてるので、そこから考えてもやはり特殊な位置づけなのでしょう。こういう一定の法則たいなものって製作者さんのこだわりが感じられて、読み物においてはある種の醍醐味ですよね。



Chocolate Hideout -やたら綺麗に汚れた記憶-

めちゃめちゃ好きな真相です!ミラウイルスという結構なトンデモ設定はありますが、推理によるカタルシスはこれが一番でした。「言葉にできるのは考えていることのほんのひとかけら」、この作中きってのキーフレーズを入力できるのが何より気持ち良い。彼女への理解が自分の中で深まっているんだなということの実感が強く得られました。
しかしだからこそあのフレーズがピンとくるかどうかは、これが何回目に到達した真相かで変わってくるだろうなと思います。一発目でこのルートだと生憎そこまでクリティカルには伝わらないのかも。このゲームは真相毎に彼女の正体や立場こそ変化しますが、その人となりに関しては概ね一貫しているんですよね。なので異なる真相を辿る度に却って彼女の本質的な核の部分、その共通項がプレイヤーの中に積もっていく作りにとても感心しました。この辺りはチューリングテストの話にも掛かっているのかなと。

ワードを調べるフェーズでウイルスがヒットしたときの「おっ!?」という盛り上がりも良かったです。例の流行り病というもの(呼び方含め)が広く認識されている今だからこそ通用するトリックで面白いなぁと思いました。気になって調べてみましたが、「ミラ」というのはラテン語で「不思議」を意味するらしいです。驚いたのは、くじら座のオミクロン星なるものがミラと名付けられているそう。コロナの〇〇株というのも天体におけるバイエル符合と同じくギリシャ文字を命名規則としていますが、中でもまさにオミクロン株は最も聞き馴染みがあるワードですよね。さすがに偶然の一致かなぁとは思うのですが、それこそ不思議な繋がりもあるものです。(偶然じゃなかったらなんか怖いよ)

あと一点解釈しきれていないのは、エピローグにおける意味深なペットボトルの話。事の起こりがチョコレートにウイルスを混ぜたというものなので、どうにもきな臭さは残りますよね。単純にやさしい彼女の心遣いと思っていたいものですが。もっと読み込めばこれを説明付ける伏線があったりするのかもしれませんがまだ見つけられていません。誰か教えて〜〜〜〜〜!

え〜〜〜〜〜!?!?ドンガラガッシャン
プレイ順的に自分で気付く機会はなかったのですがこれはなんとも衝撃情報。自分が思ってるようなことなのか、はたまた更に別の意図が隠れているのか。
そういえば後述する天使ルートでウイルス絡みのキーワードを出すと「あの夜の彼女は幸せだったのだろうか……」みたいな意味深なモノローグが聞けるんですよね。どんどん訝しみポイントが貯まってきました、これはどこに行けば引き換えられるのでしょう。

まぁ現にこうして自信をもって結末を語れていない時点で、あれが真相と言い切れないというのは頷ける話ですね……。修正されちゃうようですが、個人的にはめちゃめちゃおもしろい仕掛けだなと思いました。知れてよかった。



Cheesecake Hallucination -明後日の方向の綺麗な明日を-

一番好きなのはどれと訊かれたらこれを挙げます。めちゃめちゃ良い。これまたタイムリープというトンデモ要素が含まれますが、それぐらい大胆な仕掛けの方が僕好みなのかもしれませんね。
彼女の心に最も寄り添えるルートがこれだと思っており、読後感が非常に良かったです。実は一回目にプレイしたときは理解しきれてなかったのですが、これってつまり彼女の正体は「未来からきたストーカー」と考えてよいのですかね?そのように断定したがること自体このゲームのメッセージ性に反するところではありますが、以下が自分の解釈です。

・結局のところ未来人でなければ南極調査隊の話が解決しない。
・「嘘を信じさせるコツは、本当の話を混ぜることだよ」というセリフから、彼女の話には本当の話が含まれていると考えてよい。このセリフ自体が本心だというのは空いた缶チューハイの描写により示唆されている。下戸っぽくてかわいいね。
・訪問者の正体欄は『タイムリープしてきた恋人』の演者という表記だから、別に彼女のタイムリープそのものは否定されていない。
・嘘がバレたあとのやり取りで「(自分は)ストーカーには違いないし」と漏らしている。現代の話とも取れるし、それ以前の未来での話にも取れる。それ以前の未来とはこれ如何に。

2年後にカフェで救われたこと、何度も通い詰めて本人に会うところまでが「本当の話」で、流れ的にギャグっぽくカモフラージュされているけれど「本人間で穏便に済ませる」の件でちゃんとストーカーとして対応されたのが正史かなという風に読んでいます。このルートの住民なら、それも優しく諭したのでしょうけど。
タイムマシンの副作用という話がありましたが、記憶の混濁により彼女は途中までは本当に「自分が恋人だ」と思い込みながら話していたように僕は感じています。もしそうだとしたら結構切ないですよね。「御奉仕しろとか言うの?」の自棄的なセリフからも、手段こそ間違えましたが彼女はたぶんプラトニックな愛を信じるとても純粋な子なんだろうなという印象を受けました。
そんな諸々を考えると、最後の「未来の恋人を幸せにしてあげてね」というメッセージの受け取り方にも非常に深みが出てきます。あの一夜が彼女にとって救いであったことを願いたくなりますね。

サブタイトルから結末までとことん自分好みの真相でした!
ちなみに水質汚染の件までが本当かは読み解けず。誰か教えて〜〜〜〜〜!



Higher Girl Pudding -女子力は自分のために-

僕にとってのFirst Role。読後感で言えばこれも痛快でおもしろいですね。カスタードプリンの花言葉は「一生そこに沈んでろ」、汎用性のある構文で真似したくなります。
先程も少し触れたように真相のサブタイトルにはなんらか甘味が含まれていますが、それらがシナリオにおけるフレーバー的なアイテムであったりオチとして機能する作りはとても美しいですよね。砂糖菓子のような女の子と表現されている彼女の人物像にもマッチしているし、それがパラレルな各シナリオに統一感を持たせる役割を果たしているのかなと。
このルートも相対的に言えば救いがあるというか、チャンチャン♪でオチるのはかなり平和な終着点だと思ってます。たぶん2人は女子会をして友達になったっぽいですしね。そんなのが一番良いんだから。

ちなみに道中で発生する因果律調整の意味するところが最初はこれまたよく分かっていなかったのですが、あとあと読み返すと以下のように整理がつきました。

・関係性の歪みによって、シナリオ的にプレイヤーは『住民本人』では有り得なくなる。
・こちらの選択および「あなたは彼女が住民の恋人であることを認めました」というテキストで、彼女の正体は『住民の恋人』で確定する。
・彼女は『住民の恋人』なのにプレイヤーは『住民本人』ではないという状況を成り立たせるための辻褄合わせで、彼女ではなくプレイヤー側の正体が無理やり作り変えられる(住民のストーカーor恋人)。これが因果律調整。

途中のチューリングテストの選択肢を選んだ際の会話で、実験の概要を説明したあとに「私のチューリングテストで大事なのは君か君じゃないか」というセリフがあります。また冒頭には「君が偽物だったらさすがに分かるよ?」とも言っています。彼女はこちらのことを『住民本人』だと思ってずっと喋っていたのに実際は違っていたので、関係性の欄が「彼女はチューリングテストに失敗した」になるのかなと思います。あの時点ではプレイヤーの正体がまだ確定していないので、このようにボカした表記なのでしょうかね。
合っているかはともかく、これらの全体感を理解し納得するのに自分は結構時間が掛かっちゃいました。すんなり読解できた人は頭良いんだと思います。やるじゃん。



Scarlett Icecream -あまくてすっぱい味がしたの-

ここからは割と仄暗いゾーンでしょうか。当ルートはそういうのが苦手な人にはちょっとしんどいかもしれませんね。
個人的には一番なんとなくで解いちゃった真相でした。確信があって入力したというより、こんなのありそうだよな〜で通ってしまった感じ。ちょっと勿体ないなと思ってもう一度辿ってみたら色々と伏線が散りばめられていたことに気付けて面白かったです。

・「彼は私のこと、細胞の底まで愛してくれるの」→大家さんを装ったチャット。ヤンデレ構文に見えて実際はそのままの意味で言っていた。
・「なんの話が聞きたいの?好きな食べ物?」→話をはぐらかそうとしているようで核心を付いている。
・「バームクーヘンを煮込むと、人の心臓を溶かしているんじゃないかと錯覚するんだ。腐ったみたいにドロドロなくせに、甘くて優しい匂いがしてさ」→サブタイのフリになっており、実際のそれは優しさでなくすっぱさだった模様。

いやはや、後味が悪すぎる。
なんつって。



Rusty Caramel Cage -みんな生活が人質みたい-

この真相のことは正直ほんとによく分かってないです。ただ、かなりこのゲームの構造全体をメタった話ではあるなという印象です。終わり方もそうですし、選択肢だとか書き込むだとか透明な優しさだとか。他ルートでも似たような仄めかしは多くありますが、これは殊更に顕著な気がしました。古い友人が主張していた「お前たちは人間なのか?」という旨の疑問は、もしかしたらあの世界がゲームだと気付いてしまったからなのかも。なんていうのは飛躍が過ぎるでしょうか。
繋がれた鎖というのは彼女たちの存在がゲームシステムに縛られていることの暗喩と考え、自由入力とは言えど用意された範囲の中で変化するシナリオを遊んでいるだけというような彼女の諦観を表すものなのかなと。「自分探しの旅が終わらないのは本当の自分なんていないからだよ」、このセリフもそういう文脈で考えると結構心に残るものがありますね。

個人的に好きな言い回しが「でも知らないうちに、頼んでもないのに。いつの間にか、選択肢なんか与えられちゃうみたい」という部分で、これはバイト先で住民が独断でキャラメルラテを提供した雨の日のことと掛かっていて美味しいなと思いました。
ちなみにそのエピソードで傘を忘れた彼女は「私っていつも準備が足りない」と零していますが、これは道中の会話にあった着替えを一日分しか持ってきていないことも含んでいて。彼女が頻りにこだわりを見せている明後日、それが迎えられないことに対する嘆きにも感じられました。

あと「思い出だけじゃあお腹が空いちゃう」というセリフがありましたがこれは『るろうに剣心』(そばかす)のパロディでしょうか。現に2人が人斬り抜刀斎みたいな八面六臂の大立ち回りを見せている世界線ですから、妙に腑に落ちる感じはあるような。うーん、気のせいかも。
そういえばIcecreamルートでも魔法少女は魔女を倒さなくてはならないというなんだか第3話が話題を呼びそうなやり取りがありましたね。銀の靴の踵を3回……というのは言うまでもないですし、探せば他にも色々と小ネタが潜んでいるのかもしれませんね。わたし、気になります!

 


Fool on the Suger Board -死んで治すほどでない馬鹿でありたい-

真相探求でいちばん沼ったルートでした。等価交換という考えがキーワードになるのは分かりやすかったのですが、その想像を端的に言語化するための語彙がなかったため中々鍵が開けられませんでした。想像に輪郭を与えるという行為について、個人的に強く実感を持てた問いだったと思います。
一歩間違えれば、もとい5回間違えれば大惨事になるルートではありますが、喉元過ぎればハッピーエンドと呼びたくなるそんな内容ですよね。彼女の動機や振る舞いについても最も人間味を感じましたし、また屈託のない様子が見られるラストシーンは周回を重ねた分だけ心に響くものがありました。幸せになってくれ。

サブタイトルはCheesecakeルートと並んでガン刺さりです。死んで治すほどでない馬鹿でありたい、いったい何を食べたらこんな小気味良いフレーズを思いつくのでしょうか。煮込みバームクーヘン?



Inverted Angel -天使は足音が鳴らない-

正体の想像で「天使」に反応があるのはゲームタイトルや他ルートでのやり取りから気付きやすいですが、その後のセリフ3択がギミックとして上手いですよね。択一なので虱潰しで行けるものの、今まで彼女との対話をじっくり重ねてきたプレイヤー自身の思い出だけが手掛かりになっているということで。
「選択肢が見えている」の違和感や住民の覚醒含め、この辺りのどんどん核心に迫っていく感じはヒリついてたまりませんでした。

そこからは集大成たるシナリオで、かえって僕個人が語れるようなことは少ないかもしれません。好きな点としてはやはり、最後に彼女の器を満たしたのはずっと焦がれていた白ではなく透明だったという美しい顛末ですかね。
彼女がどうして天使になりたがっていたのか、その言葉の裏の意志を完璧に汲むことはできません。それこそゲームタイトルにAngelと銘打たれていることで、プレイヤーの無意識下にあった「彼女の正体は最終的に真っ白な天使であるべき」という認識がそうさせたのかもしれません。僕もいつの間にかそう思ってプレイしていましたし。思わされていたと言うべきかも。

しかし最終的に住民は彼女に輪郭を与えることに失敗し、白を構成するはずのカラフルな夜の記憶もアテにはならず。ガラスが割れた先に居たのは何者でもない透明な女の子でした。あるいは、砕けたのは彼女を繋いでいた鎖か。

誰かの意志に縛られないその無垢こそを敢えて天使と表現すると、たしかに透明な羽根は見えようはずもない。それでも彼女の背中に何かを見た気になれて、感じた気になれたのなら。二人の関係性の中においてはそちらの方が逆に天使っぽいのかもしれませんね。

フワフワと迂遠で地に足のつかないようなことばかり述べましたが、これが僕のエンディングへの解釈です。別に解釈ですらないか。だってこの作品に対して何かを断定するのって無粋でこわいんだもん。僕含め人それぞれの胸に残った、もとい残らなかった彼女の足跡についてアレやコレやと想像を巡らせる時間がこの作品の醍醐味のひとつだろうなと思いました。
少々月並みな感想でしたかね?でもお月さま並みにでっけえハートがみなさんにも伝わっていたのなら嬉しい限りでございます。




まとめ

私事ですが久々にこういったゲームを遊んだのも相まって、まさかのnote2冊目を投稿することと相成りました。

いやはや、どの真相もそれぞれ異なるベクトルで胸を抉られました。晴れて7つの傷を持つ者の仲間入りですね。製作者さん曰く追加ルートも予定されているとのことでめちゃめちゃ楽しみです!傷が増えるよ!

単純にゲームとしてすごくおもろしいので今後また遊べるというのはとても嬉しいです。ヤッター!続きがない因果律は自分もプレイ中に気になっていましたし。
ただ天使ルートの美しさに浸った後だと、一体ここに何を付け加えるの!?とは思っちゃいますね。一体ここに何を付け加えるの!?


あとどうしても言葉にしやすいストーリーのことばかり話しちゃってますが、ビジュアルや音楽面もめちゃめちゃ良いぜの思いです!
やっぱり自分が最初に抵抗感なくこの作品に手を伸ばせたのは画面のかわいさが大きいと思います。ノベルゲー推理ゲーって結構お堅い印象がありますが、砂糖菓子のような女の子の存在はそこに巧みなギャップを生んでいると感じます。洒落くさいセリフ回し(特大褒め言葉)の重量感を視覚が調和してくれているような実感は個人的にかなりありましたね。要すると可愛い子の話ならいくらでも聞いてられるという下世話な終着点が見えてきたのでやっぱり要さないでください。
彼女の表情や出で立ちからは、ルートに応じて聡明さ・優しさ・恐ろしさ・勇敢さ・悲壮さとあらゆるものが都度形を変えて伝わってきました。それでいて第一印象としてはやはり病み・地雷、転じてストーカーというような見え方がして非常に秀逸なデザインだなと感じました。電脳グッドデザイン賞。

かわちいだね。


BGMやその他サウンド周りは僕自身に褒めるための知見も語彙もないので無理に言語化することはしませんが、特に違和感なくプレイできました!状況ごと、特に真相に近づいていく際のクールに盛り上がっていくあの雰囲気はとても好きでしたね。

テーマソングに関しては、本編同様ウィットに富みまくった言葉遊びを最後までたっぷりと堪能することができました。ひとつピックアップするなら「色眼鏡」はもはやこのワードからゲーム本編の着想を得たのではないかと思うほどのシンデレラフィットですよね。
また歌の中でも示唆されているのかなと思いますが朝焼けとは夜の終わり、同じ夜を繰り返すあの世界そのもののエンディングを指しているのだろうとなんとなくの理解をしています。朝焼けが近いということはもう「明日」は来ているわけであって、なればこそ彼女はその先の「明後日」に行きたかったのかなと。本来の意図は分かりませんが、自分の中ではそのように綺麗に腹落ちしています。
迎えにいきたいぜ、いっしょに。



さて、名残惜しいですが僕からの感想はこんなところでしょうか。はじめはオススメを受けての軽い気持ちでしたが、自分の手で触れることができてほんとによかったなと思います。
このゲーム、自分の仲間内でもブームになっていて「どのルートから進んだ〜」とか「お気に入りはどれか〜」とか語り合うのもとても楽しいですね。それぞれのFirst Roleによって次世代の性格診断なんかもできちゃうかも?随分と血生臭いMBTIにはなりそうですが。

ああ、そういえば世紀末の友人から聞いたことがありますね。

南斗水鳥拳の花言葉。
てめえらの器は何色だ?

お付き合いありがとうございました!
終電が近いので、僕はここらでドロンしますね。

ドロン!

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