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『Inverted Angel』!!?誰よその女!?!?

DAMチャンネルをご覧のみなさん、ぱるこです。

本日は普段と少し違った趣旨で、最近出会ったおもろゲームの布教を目的に筆を執りました。noteを書くことに対して「筆を執る」ってなんだか仰々しい表現に感じて気恥ずかしいんですが、まぁ近年は実際にペンを走らせる機会の方が圧倒的に稀有ですからね。こういった言葉の意味は時代の変遷や人々の営みとともに移りゆくものなのでしょう。

     \トコトコ-/
𓂃 𓈒𓏸✎

ペンもよう走っとる、などと宣ったところで。
さて本題はこちらのゲーム、『Inverted Angel』についてです。


Steamを覗けば自然と目に入るような話題の新作ですから、知っとる人は「知っとるわい! 」の掛け声とともに踵を3回鳴らして退出ください。これが令和の最新ビジネスマナーね。

僕自身は「Inverted Angel  かなりいいです」の声を聞いて興味を持った口ですが、察するにどうやらネタバレが致命傷となりかねない雰囲気をひしひしと感じ、なるべく情報をシャットアウトしながらプレイに臨んだ次第です。実際その肌感は正しく、本作は絶対に予備知識なしで遊んだ方が楽しいゲームだと思いました。これに限らず大概のゲームはそうでしょうけども。

とはいえ何の取っ掛かりもなく「いいからこれを遊んで!」と差し出されても中々に食指が動かない人も多いでしょう。「どういうジャンルかも分からないし……」とか、「そもそもお前誰だよ」とか。自分もそういうタイプなので分かります。仲間だよな?僕たち。
ここからはそういった層にもリーチするため、あくまで僕個人の基準にはなりますが、みなさんのゲーム体験を極力邪魔しない範囲でこの作品の魅力をお届けできればと思います。なお現時点で既にプレイ予定がある人や強めの興味を抱いている人におかれましては、やはりこの時点でUターンいただいた方がよろしいかと。退室時のマナーはもうお分かりですね?


ではこれ以降、多少なり作品の大筋やゲームシステムに触れていくのでご注意ください。(スクショ等は登場しません)

手始めにストアページの作品紹介を引用させていただきます。

あなたの恋人を名乗る知らない女性。でも、ただのストーカーにしては色々なことを知りすぎている。 あなたが入力した推理が"だいたいのニュアンス"で判定されるKawaii Future Mysteryです。インターフォン越しに話を合わせながら、あなたの考える彼女の正体に辿り着きましょう。

本作はインターフォン画面に映る「知らない女性」との対話からなるワンシチュエーション的な推理ゲームです。不可解な状況、不可解な会話、そして何より不可解な女。今自分が彼女に惹かれているのか戦慄しているのかすら分からなくなってくるような、なんとも奇妙で愛おしい時間がそこにはあります。

彼女は友好的をはるかに通り越してこちらにゾッコンな、有り体に言ってしまえばヤンデレ気質を感じさせる女の子。しかしその一方で哲学に傾倒したような理知的な精神性も持ち併せており、しばしば難解で婉曲したトークを展開してくる掴みどころのない人物です。

まず僕の大きな推しポイントのひとつが、そんな彼女との会話の質感にあります。僕は「ごちゃごちゃと遠回しなことを書く」ことが好きでそういった欲求をnoteで発散している節がありますが、そんな当記事のトーンに抵抗がないよという人はまず間違いなく適正アリです。いや、じゃあぱるこnoteに抵抗があるからといってこの作品を敬遠するのはこちらが戦犯すぎるのでやめてほしいんですケドネ( ̄▽ ̄;)アセアセ ((爆

しきりに思考実験を持ち出したり、時にはいささかメルヘンな例え話が飛び出したり。彼女の持って回ったような話し言葉は奔放なユーモアとも凝り固まった人生観とも感じられることでしょう。そこにどのような意味を見出し輪郭を与えるかはあなた次第です。
というのも、推理ゲームとは銘打ちましたがこの作品に「たった一つの真実」は存在しません。いやまぁ存在すると強く念じればするのでしょうが、あくまでシステムとしては「あなたの意志に呼応して真相が変化する」という少々直感に反するようなマルチエンディング構造になってます。要は各ルートは独立した世界線でありそれらの間に取り立てて普遍的な整合性はないよ、といった具合。僕自身あまりこの手のジャンルに明るくはないですが、有名作だと『かまいたちの夜』なんかはそれに近しいデザインでしたかね?そんな朧げな記憶があります。
逆に言うとこれが凄さの核心でもあって、概ね共通したシチュエーション・セリフ・謎を材料にしながらもそれぞれ全く異なる真相へと綺麗に収束していく腹落ち感に度肝を抜かれます。というかゲーム体験としてはここが相当な肝です。抜いたそれ返してください。

構造もさることながら、やはりなんと言ってもひとつひとつのシナリオが味わい深いですね。あまり読み物が得意でない自分でも次が気になってページをめくる、もとい対話を進める手が止まりませんでした。ベクトルは様々にせよ、いずこかに心動かされるような真相の数々があなたを待っていることでしょう。今はなんのこっちゃ分からないと思いますが、僕のお気に入りはやはり緑と茶色です。プレイしたらまた答え合わせに来てください。

もう一点、革新的なシステムとして挙げられるのがAIの活用です。巷ではAIを尋問するドキドキなゲームが流行っていたりもしますが、それとはまた少し事情が違って。
この作品のシナリオは製作者さんが手ずから執筆されたものには違いなく、じゃあ何かと言うと、プレイ中の推理パートの正誤判定機能にAIが組み込まれているのです。これにより我々プレイヤーは自由入力による回答が可能となっています。
推理ゲームとは得てして収集したアイテムや発言から択一的に正解を選ぶものが多いと思います。あるいは自由入力が可能であれど、ゲーム側で想定された文言をビタで指定しないといけなかったり。その制約の中であってもクリエイター方が創意工夫を凝らして面白い仕掛けを数多く生み出されていることにはリスペストの限りですが、『Inverted Angel』はそんな至上命題をひとつ突破した作品と言えるのかなと。

AIによる正誤判定は、自由入力の際に生じる表記揺れやニュアンスのブレを吸収してくれるインターフェースの役割を果たします。入力した内容について「概ねこういうことが言いたいんだろう」というある程度の方向性を汲み取ってくれるということですね。裏返すと、そういう答え方を必要とする謎が仕込めるわけですよ。プレイヤーは最終的に提示された選択肢から真相を逆算するのではなく、今までの発言や手掛かりを必死に読み返し、精査し、そうして自分の力で真に推理を行うのです。
どうでしょう、めちゃめちゃ面白そうじゃないですかこれ?そう、実はめちゃめちゃ面白いんですこのゲーム。


さて。
伝えたいこと、というよりこの場で伝えられることはここまでと僕は判断します。良いものを良いと表現したいとき、言葉は余りに頼りないですね。なのでこの先は是非あなたの目で確かめてくださいなどと、そんな攻略本の巻末めいたフレーズで締めくくる他ありません。


しかし全肯定というのもあまりフェアじゃないし自分のスタンスに合わないので、最後に少し気になった点も参考までにあげておきましょうかね。といってもほとんどなくて、精々以下の3点です。

①ところどころ誤字脱字がある
②推理のタイミングでセーブができない
③推理パートのBGM、ループのスパン短すぎ

①は流し読みなら気付かないレベルかと思いますが、このゲームって会話の中の違和感を探っていくような趣旨の遊びなので少し気が散ってしまうことはありました。でも僕の記事の誤字に対しては絶対に目を瞑ってください。
②は全END回収とか目指すと地味に気になるところで、一回誤答してセリフパートに戻って〜みたいなことをしてました。ちょっと手間か。
③はループ短すぎて推理に沼ってると頭おかしなる。テレテンテンテンテンテンテン……テレテンテンテンテンテンテン……

(追記:③は推理パートと括ってましたが、結構場面ごとにBGM違うので「一部の」というべきでした。というか本気じゃないです)

ま〜そんなもんですかね。

総括的なパートに入りますが、自分としてはほんとに楽しくプレイできました。それは敢えてこうしてnoteで布教してることからも伝わっているとよいのですが。
シナリオの良さはもちろんのこと、それらの推理に至るための導線もしっかりと散りばめられていて変な理不尽さも感じませんでした。そして何より「知らない女性」を構成しているあらゆる要素が非常にグッド。電脳グッドデザイン賞、授与。電脳在校生、退場。

プレイ時間は、なんというかスッキリするためには10時間前後でしょうか。心底スッキリするには、自力だと更に相当な時間が掛かると思います。というか掛かってます。要はトロコンですね。
というのも、こんなのを書いてる僕自身もまだひとつ見れてない展開がありまして。こうして自分の力で見つけたいと意地になってしまうのは作品の魅力ゆえだと思いますね。ただ沼って頭おかしなるのでイヤホンは一旦外してます。


てなわけで。
めずらしく記事タイトルと内容をちゃんと合致させるぐらいには真剣に取り組んでみましたがいかがでしたか?これを読んだあなたが『Inverted Angel』に興味を持ち遊んでくれた暁には、いつかの明後日にでも好きなエンディングを共に語らいましょう!

先程から荒々しくインターフォンが鳴ってるので僕はここらでドロンしますね。

ドロン!


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