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『MIU404』に出会えたことが、きっと分岐点になる

「機捜っていいな。誰かが最悪の事態になる前に止められるんだろ。超いい仕事じゃん」 そう第1話で伊吹(綾野剛)は笑っていた。いつだって最悪の事態は、すぐそこにある。パチンコ玉がそこに落ちてしまう前に、人は何ができるのか。 『MIU404』(TBS系)は、最悪の事態の一歩手前で懸命にすくい上げようとする人々の戦いを描いたドラマだった。 「なんや人情話け」そう蔑んだ人の想いに、久住は足元をすくわれた これまで『MIU404』は、人は簡単に道を踏み外すということを一貫して描いて

    • 野木亜紀子が『MIU404』で鳴らす現代社会への警鐘

      このラスト10分の面白さは、事件だ。 あの「出前太郎」がヒントになって、ついに久住(菅田将暉)を追いつめた。と思いきや久住は同時爆破テロを予告。次々とSNS上で増殖する、爆破映像。巻き起こる嵐のような110番通報。画面上に流れる不穏なニュース速報。 そのスケールの大きさに身震いをしていたら、すべては久住の仕掛けたフェイクだった。 『MIU404』第10話は、悪意と正義が無責任に拡散されるインターネットの恐ろしさに打ちのめされた回だった。 「トレンド1位」に高揚した瞬間

      • 『MIU404』第9話 甦る後悔と恐怖。それでも人は戦い続ける

        救えなかった人がいる。間に合わなかった想いがある。そんな後悔や罪の意識を抱えて、人は生きている。あのとき、こうしていれば。選び損ねたいくつもの分岐点を、何度も夢に見る。何度も悔やむ。 でも、それでも前に向かって進んでいけば、分かれたはずの道がまた交わるときがあるのかもしれない。違えた選択にもう一度答え直すときが来るのかもしれない。 『MIU404』第9話は、後悔を抱えるすべての人たちが決して易しくはない現実と戦い抜いた回だった。 それは、4機捜全員にとっての戦いだった

        • MIU404』差し伸べられた手に救われた、ふたつの心

          絶望の淵にいた相棒に、今度は手を差し伸べられた。あの瞬間、救われたのは伊吹(綾野剛)だったのだろうか。それとも志摩(星野源)だったのだろうか。 『MIU404』第8話は、これまででいちばん苦しくて、いちばん残酷な回だった。 ガマさんは出会えなかった、救ってくれる誰かに これまで『MIU404』では繰り返し、何でもない人たちが罪に転じてしまう脆さを描いてきた。横暴な上司の胸を刺した加々見(松下洸平)も。1億円を持って逃走した青池(美村里江)も。集団コンビニ強盗を仕掛けた水森

        『MIU404』に出会えたことが、きっと分岐点になる

          『MIU404』第7話 逃げ続けた先に、パラダイスなんかない

          捕まえる、ということは、「見つけてあげる」ことでもある。逃げ続ける人を、閉じてしまった人を、見つけてあげる。もう一度、陽の光の当たる場所まで連れ出してあげる。それが、警察の仕事だ。 『MIU404』第7話は、逃げ続けることの愚かさと、そこから救い出してくれる人の優しさを描いた回だった. 自分と犯人の違いは、ただラッキーだっただけ ここ数回、ヘビーな現実を描き続けてきた『MIU404』。その反動かのように、第7話はキレッキレのエンターテインメントだった。デリバリーサービスの

          『MIU404』第7話 逃げ続けた先に、パラダイスなんかない

          『MIU404』第6話 志摩の心を救った、伊吹が見つけた2つの事実

          人は、亡くなった人の人生を勝手にあれこれ決めようとする。特にその死が、自分の目からは不幸そうに見えるときはなおさらだ。辛かったんじゃないか。苦しかったんじゃないか。自分が追いつめたんじゃないか。そんな後悔が何度もリフレインする。 でも、その人がどう生きたか。最後に何を思ったかなんて誰にも決められない。本人にしかわからない。 『MIU404』第6話は、救われない想いをたくさん抱えて生きていかなければいけない僕たちを、救ってくれるものは何か教えてくれた回だった。 その人の人

          『MIU404』第6話 志摩の心を救った、伊吹が見つけた2つの事実

          『MIU404』第5話 "夢の島"は、便利な社会のための埋立地

          「外国人問題って視聴率とれないんだよね」 そうにべもなく言い捨てたあのテレビ局員が、今回描いた問題の芯を突いていた。視聴率がとれないのは、誰も見ないから。誰も見ないのは、誰も見たくないから。志摩(星野源)の言った通りだ。 「見えてないんじゃない? 見ない方が楽だ。見てしまったら、世界がわずかにズレる。そのズレに気づいて、逃げるか、また目を瞑るかだ」 『MIU404』第5話は、僕たちが正気を保つために埋め立てた"夢の島"の秘密を暴き立てた回だった。 矛盾に気づいたら正気

          『MIU404』第5話 "夢の島"は、便利な社会のための埋立地

          『MIU404』第4話 負け続けた女が挑んだ最後の"賭け"

          「賭けてみます。今まで勝ったことないけど」 そう青池透子(美村里江)はやるせなく笑った。『MIU404』第4話は、いつも負けてばかりいた女が、最後の"賭け"に挑んだ回だった。 野木亜紀子は、気が弱い人や声が小さい人の痛みや叫びを代弁する 大都会・銀座で起きた白昼堂々の発砲事件。怪我を負いながらも、その場から逃走したのは元ホステスの青池透子。彼女は1億円もの大金を所持していると言う。なぜ彼女はそんな多額の現金を持っているのか。防犯カメラに残された青池透子の何か言いたそうな瞳に

          『MIU404』第4話 負け続けた女が挑んだ最後の"賭け"

          処罰感情が生む闇。『MIU404』が迫る"自己責任論"

          転がるパチンコ玉を、九重(岡田健史)はキャッチできなかった。 それが、すべてを表していた。 『MIU404』第3話は、何気ないワンシーンがこれから起こる悲劇を暗示する、脚本・野木亜紀子の巧みな筆力に酔いしれるような回だった。 成川を追いかけたのが伊吹だったら、運命は変わっていたのだろうか 「自分の道は自分で決めるべきだ。俺もそう思う。だけど、人によって障害物の数は違う。正しい道に戻れる人もいれば、取り返しがつかなくなる人もいる。誰と出会うか、出会わないか」 そう志摩(

          処罰感情が生む闇。『MIU404』が迫る"自己責任論"

          『MIU404』第2話 「白」か「黒」か。悲しき逃亡劇の結末

          「白」だと信じたかった男のセーターは、返り血で真っ赤に染まっていた。 『MIU404』第2話は、「信じる」をキーワードにいくつもの切なる願いが交錯する回だった。 きっと加々見は犯人じゃない。そう誰もが信じたかった ハウスクリーニング会社の専務が、刺殺体で発見された。第一発見者の証言によると、凶器を持って現場から逃走したのは、従業員の加々見崇(松下洸平)。加々見はどこへ消えたのか。第4機動捜査隊の無線に事件の一報が入ったそのとき、奇しくも伊吹(綾野剛)は1台の不審な車に目をつ

          『MIU404』第2話 「白」か「黒」か。悲しき逃亡劇の結末

          『MIU404』 第1話 綾野&星野一筋縄ではいかないバディの躍動

          面白いドラマは、スピード感が違う。 悠長にエンジンを温めている暇なんかない。最初からトップギアでアクセルを踏み、急なカーブも減速せずに突っ込んでいく。そのドライブ感に、アドレナリンが湧き上がる。スマホ片手にながら見なんてしていたら、あっという間にふるい落される。『MIU404』は、つまりそういうドラマだ。 野木亜紀子の社会性×塚原あゆ子のエンタメ性が初回から炸裂
 初動捜査のプロフェッショナル・機動捜査隊(通称:機捜)を題材とした新時代の刑事ドラマ『MIU404』。第1

          『MIU404』 第1話 綾野&星野一筋縄ではいかないバディの躍動