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脳人とドンブラザーズ、上と下の対比

 暴太郎戦隊ドンブラザーズは、天上の存在である脳人と地上の人間であるドンブラザーズたちの対比描写をはじめ、上と下という関係性の描写が特徴的な作品である。

 サングラスをかけると見えるようになる脳人レイヤーではドアやマンホール、螺旋階段といった上空へ上がるための移動手段が豊富であり、脳人は戦闘離脱時に上空へと飛び上がり消えていくことが多い。物理的な上下として描写を行うことで、存在として上位であると示していると考えることができる。また、屋上など高い場所から人間界を見下ろすシーンも多く、中でも3話のソノニの登場シーンはとても印象的だ。

 逆に、ドンブラザーズは直接落下するというよりは社会的に転落する、もしくは下位である描写がある。それははるかの盗作問題でのスクールカースト上位から下位への転落が最も代表的だが、その他のメンバーも一般社会的に見ていわゆる下位にみられがちな立ち位置であることに注目したい。タロウは宅配業者として働いており、6話の部長雉野に「こんな宅配便なんてもったいない」と言われたり、宅配先で理不尽な扱いを受けている描写があったりするなど、下位として扱われる職業である。職業でいえば猿原の無職は社会的に下位にみられることは言うまでもなく、犬塚に至っては逃亡犯である。雉野は普通のサラリーマンではあるが、うだつが上がらず会社内の人間関係では部長との対比で下に位置している。戦士加入後に物理的な階段からの転落があったのも雉野であり、下方向が強調されている。

 作中では上の描写が強調されていた脳人が45話でエレベーターを使用するシーンはかなりの衝撃がある。人間の技術で上階から下階へと降りるエレベーターで夢を語る脳人たちは、まさに人間へと降りようとしているのだ。

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