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オリジナル小説「LIQUIDCITY」

思いついたらぼちぼち足していきます

登場人物(外見のみの紹介)
シヅキ(紫月) 刺青の黒髪のバンドマン

マリ(茉莉) 金髪ギャル

ユキ(結稀)黒髪小動物系女子

LIQUID CITY



触れ合う刺青の入った腕の少しひんやりした温度が火照る身体に丁度良い。


ごく薄く眉毛が生えている辺りを眉間に少し寄せて目を閉じている彼をじっとりと見つめる。

すると熱い視線に気づいたのか、パッと見下ろすように鋭い視線であたしを射抜いた。

その瞬間きゅうきゅうと締め付けてしまい、思わず漏れ出る白痴の様な声を咄嗟に手のひらで覆う。

けれど彼は優しく笑い愛おしそうにあたしの長い傷んだ金髪を撫ぜる。首筋を這う汗も、さっきの怖いくらいの目付きだって、今の優しい顔だって、言葉に表せないくらい愛していて、あたしは見つめられるとモルヒネ中毒の様になってしまう。

手も足も上手く動かせなくなって、けど感覚は鋭くなって
突き上げられる衝動に脳みそまで溶かされ思考も犯されて、思わずドロリと鼻から赤い液体となって流れ出してしまった。

きっと彼から見てあたしの瞳孔はハートマークになっているんだろう。面白い姿をしているに違いない。


「マリ。可愛い…」

あたしは、この顔に弱い。



長い夜を楽しんだ後、狭くてガラクタ(あたしから見て)ばっかの彼…シヅキの部屋のベッドの上で紫煙を煙らせる。


彼の上裸には色んな黒い模様が描いてあって、首筋を渡るムカデや腕に巻き付くヘビも好きだったけれど
1番キレイだと思ったのは胸元に大きく広がる蝶々の模様の赤い傷だった。


「それさ、痛くないの?」


静かに天井に消えてゆく煙を見つめながら問いかけると3秒くらいの沈黙の後に合点がいった様で ああ、
と胸元の傷に触った。

「もう痛くないよ。作りたての時はグロい傷だったけどね、随分と良くなった。」

「…いいな、あたしもまねっこしたい。だって可愛いし…あの子より先にシヅキとお揃いになりたいよ」


いつの間にかできたアザを擦りながらあたしは膝を抱える。そうして小さくて可愛い小動物のような目をした黒髪の女の子を思い出した。


「…ユキはやらないよ。オレがダメだって言ってるから。ユキは真っ白で黒いのが良いんだから」


そうやって平然と褒めるシヅキが本当にむかついてしょうがなくて、今にも溢れだしそうな涙を堪え震える声をあげる。

「何それ、じゃああたしはいいの?たしかにあたしは金髪でピアスもめちゃめちゃ空いてるし、肌も少し焼けたし、メイクも濃いけど。」

するとシヅキは困ったように微笑み、左手であたしの俯く顔を包むように持ち上げ、キスをした後

「マリの綺麗な肌には赤いケロイドなんて似合わない。そうだな…凄く繊細な翅のアゲハ蝶なんてどうだろう」

抱きしめられてあやす様に背中をポンポンと叩かれてなんだか情けないような恥ずかしいような気持ちになったけれど暖かい心音を聞きながら縋りついた。


「愛してるって云ってよ。あの子…ユキより愛してるって…」


2023/9/27 続く

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