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衣服と皮膚感覚

もうすぐうさとの服展。
うさとの服とは、綿や麻など自然素材で作られる手紡ぎ手織りの衣服。


展示販売会に携わるようになって9年目になるが、年月を重ねるたびに、うさとの服を身に付ける頻度は上がり、今では寝ているときも含め、ほとんどの時間をうさとの服で過ごしている。
 

原発事故後、生まれたばかりの息子を抱え、どうにか健康に健やかに育ってほしいと模索していた中で、
〝肌に触れるているものは24時間だ!!〟
と私は気づいた。口から食べるものももちろん大切。しかし、それ以上に、一日中ずーーーっと肌に触れている肌着や衣服はもっと大切なんじゃないかと。
 

デトックス作用の強い麻炭を使って、布おむつや肌着を染め始めた。子どものものから、次は手ぬぐいや寝具類など身の回りのもの、さらには母であるわたしが身に付けるものまでを染めることを続けた。
そんな中で偶然に出会ったのが、うさとの服だった。 
 

初めての展示会で購入した、シンプルな藍染めのワンピース。今でも大切に着ているが、測ったようにぴったりで本当に驚いた。そして、試着の時からとにかく気持ちの良い服だなと感じていた。

程なくして、いち顧客から、コーディネーターという販売を担う立場になっても、この気持ちよさ、心地よさには、袖を通す度、肌に触れる毎に感動してしまう。
 

ヴィパッサナー瞑想をするようになって、より身体の感覚に敏感にいるようになると、ますますこの肌に触れる感覚(皮膚感覚)はとても重要なものだと感じる。 
 
身体と外界を隔てるものでもある衣服は、ある程度の面積をもって肌に触れ続け、感覚は起こり続けているからだ。

大人はもちろん、小さな子ども達にも等しくこの感覚は生じている。小さな存在だからこそ、受容体も純粋で敏感だと私は考える。
すぐに着られなくなる子ども服ではあるが、心身に与える影響を考慮した時、きっと私たちの選択は違うものとなると信じたい。
 

昨今、ファッション業界においても、大量生産、大量消費の問題が取り上げられるようになっている。生産過程においての闇や廃棄された衣類の行き先を調べてみても、人間の業の深さを見せつけられるようで心が痛い。安易に衣服を買う行為を慎みつつ、しかしせっかく新しいものを手に入れるならば、どこでどのようにして作られているものなのかをぜひ調べてみてほしい。それが何からできていて、どんな人たちが作っているのかも。  
 

コロナ禍、うさとの服は流通の停止により国内に入って来なくなった。それならばもう自分達で作るしかないかもしれないとぼんやり持ち始めたイメージが、いま少しずつ輪郭が現れ始め、形になろうとしているように思う。  

たかが、衣服。されど、ずっとずっと皮膚とともにある衣服。  

感覚が心にどう影響するのかわかってしまったから。
出来るだけ自然のものを身につけて、自然の法則とともに、その中に在りたいと思っている。




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