2つのカミングアウト、4つのout

トランスジェンダーの場合、二つのカミングアウト/アウティングがあります。それぞれの抱える問題が異なりますので、それぞれ別の言葉があった方がよいように思われます。(既にあったりしますか??)

1.①型②型(MtFを例に)

①型:性別移行前(=出生時の肉体的性別に基づく名前・戸籍で過ごしている)の人が、「実は女なんです」「女性として生活したいんです」と言うとき。または、周囲に明かされるとき。

②型:性別移行後(=周囲に出生時の肉体的性別を明かしてない)の人が、「生まれたときは男性だったんです」と言うとき。または、周囲に明かされるとき。

2.4つのout

①②とも、「自分が望んで言うこと」をカミングアウト、「自分が望まずに明かされること」をアウティングといいます。

outには、①型カミングアウト、①型アウティング、②型カミングアウト、②型アウティング、の4つがあることになります。

いずれにしても「out」することで「トランス枠」になってしまいます。「トランス枠でもいいから移行したい」というのが①型カミングアウト。「トランス枠でいいから(その人にとって)楽になりたい」というのが②型カミングアウト。 と言えそうです。

なお、②型を希望する人にどんな人がいるかというと、過去のこと(→キャリアや、登記簿に残る名前など)に触れざるをえない人、が想定されます。また、ほかには、「隠し事をしたくない。すべてオープンにしたい。」という人もいるでしょう。

3.「トランス枠」の過ごしやすい環境とは

「トランス枠」の過ごしやすい環境は、①②どちらの人にとっても、カミングアウトしやすい状況かと思います。

とはいえ、「環境づくり」というときに想定されるのは①のoutのため、という場合が多いように感じます。たとえば「ジェンダーレスな更衣室」だったり。しかしそれは②のoutの人にとっては必要のない、むしろそれを強要されてしまうことで苦痛を感じるものだったりする気がします。

もちろん、「そこまで配慮できないよ、」というのが正直なところだと思います。また、そもそも②型でカミングアウトを望む人は、少ないかと思われます。

4.おわりに

とはいえ、「悪気なき②型アウティング」を防ぐという意味でも、①②の両方があるということは、念頭に置いておいてもよい気がしました。

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