記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。

【ネタバレ】映画SCOOP!【感想】


この映画って流行ってました?

こんなに面白い映画なのに、勧められたことも話題になってる所に立ち会ったこともありませんでした。

会話は下世話で古臭い価値観も感じてちょっとうんざりしたけど、全体を通した雰囲気は取っ付きやすく観やすかった。

あらすじ


見たことないけど読んでくれてる人に大まかなあらすじ。

現在はほぼグラビア誌となった報道雑誌「scoop!」で働くことになった新人の野火(のび/二階堂ふみ)は、時期編集長候補としてバキバキ働く芸能部編集長の定子(さだこ/吉田羊)により元敏腕報道カメラマン、現中年パパラッチと揶揄される静(しずか/福山雅治)の元に送り込まれ、ペアとしてスクープ写真を撮ることに。
最初はパパラッチのような仕事や、静の昔馴染みであるチャラ源(/リリーフランキー)の卑しさ キャラにウンザリしていた野火だが、静と仕事をするうちに徐々に考えが変わり仕事に(も静にも)積極的に。

2人の仕事は好調を極め「scoop!」はバカ売れ、定子は事件部も任されることとなる。
事件のネタを扱う事に 過去チャラ男との間にあったある出来事が原因で後ろ向きな静だったが、野火との触れ合いを経て「昔みたいに事件のネタとかを撮ろうよ」との持ちかけに応じ、その仕事ぶりによりますます「scoop!」の売上も伸びるのだった。

しかしそんな時にかかってきたチャラ源の電話で事態は一変。薬で正気を失い元妻とその男を殺し、娘を人質に警察を威嚇して暴れるチャラ源の元に駆けつけいなそうとするも暴発した銃で射殺されてしまう。

その決定的瞬間を撮った野火は、静の最後の一枚が自分がすやすやと眠っている写真だった事を知り、記者として筆をとる。

登場人物

・静さん
色々とだらしないけどそこがセクシーなダメ男。これで思い切りがいいのが母性本能をくすぐってくるタイプ。ずっと見てられる。

・野火
物語のなかでどんどん垢抜けて都会の女性になっていく。神経が図太くこちらも思い切りがいい。定子さんが野火ちゃんを静さんのところにやったのも、そういう所を見ての考えだったのだろうか。

・定子
静の元内妻(?)元カノ?であり、仕事でも元相棒。現在も体の関係もあるが大人の割り切った関係のようだ…。野火ちゃんと静を微笑み交じりに見守ってるあたり、デカすぎる…。
仕事ができる女ってカッコイイ!

人物がわかりやすく馴染み深く取っ付きやすいキャラクター設定で軽口もよく言う。それが映画全体の気安さに繋がっていると感じた。

報道という仕事

やはりパパラッチだとか報道記者なんて仕事は、序盤のセリフ通り「ゴキブリやドブネズミ以下」なんてイメージがこびりついてるのだろうか。
マスゴミなんてネットスラングを見かけるのももう珍しくもない

この映画は、主人公の野火(のび)がそんな報道の世界に放り込まれるも、中年パパラッチである先輩の静(しずか)に触発されその世界に熱狂していく様を描いている。

結論から言うと、私はもう少し意義を持って報道というものに向き合う内容を期待していた。自分も同じ立場になった時にどう考えるのが正解なのか、どういう気持ちで被写体に向き合えばいいのか。そういう揺れへの解答がほしかったのもある。

野火の言ったセリフ「報道とかわかんないけど、私はこいつ(次のターゲットである凶悪殺人犯)がムカつきます」「この仕事やりたいです」
には、アツいね〜〜〜!!と思ったが、うーん…でも誰かを傷つけることは少からずあるだろうし…うーん。報道には責任を持つべきでは、とも思うのだ。

ただド派手で思い切った静の撮り方はスリリングでドキドキして 見てるだけの私でさえアドレナリンがドバドバだし 撮った成果がすぐに目に見えて報酬系も刺激されるんだろうなと思った。シンプルに楽しそ〜〜〜〜

なんにせよ、改めて報道の在り方について考える機会になった。
"マスゴミ"批判する人にこそ見て欲しいし、語り合いたい。

お気に入りのシーン・台詞


・「持って帰らなきゃ撮ってないのと同じ」
渡部陽一さんですかね、彼も似たようなことを仰ってたのを思い出した。渡辺氏は現地では大金をはたいて最高の守人をつけるそうだ。
気概は戦場と同じなのだろうかと静さんの仕事ぶりを見て思いました。

・静と定子の甘やかで密かな賭け
静と定子は野火が処女かどうかを賭けていた(悪趣味〜〜〜)(サイテーーー)。恋仲?であるのに、静が野火と関係を持つということなのに。
定子の大人の余裕がエッチだ〜。悪趣味と思いつつときめいてしまった。
こんな悪趣味な事をまるで面白いことのように書くところがこの監督のすごいところで苦手なところだ。

キャパ、そして結末

終盤では静がカメラマンになったきっかけ、憧れのカメラマンであるキャパである事が語られ、またキャパの代表作「崩れ落ちる兵士」を野火に見せるシーンがあった。
ここが静の最期への暗示となっていたようだ。

静が頭を撃ち抜かれるシーンはその兵士に重なり、それが意図的である事にすぐ気がつく。

静が死亡した事件を記事にする野火が シャッターを切ったのは自分だというのにも関わらずカメラマンの名義を静にするのにも、キャパとタローに関する噂が頭をよぎった。
おもしろい構成だなと思った。

静が「俺は結局、キャパのような報道カメラマンになれたのか」と独りごちるが印象的だった。
理想と反しパパラッチになってしまった、しかし野火にシャッターを託し"カメラマンとして"最後の瞬間を終えた静。私は彼は報道カメラマンとして生きて、そしてそのように死んでいったと感じた。


皆さんはどう感じた、もしくはどう感じるだろうか?


おわり。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?