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金の波、跳ねる ~2012年9月8日~


会場を出て程なく

街に高らかに鐘が鳴る

これは午後6時の時報

土曜の歩行者天国終了の合図

明滅していた信号機が赤と青を示し

道路を歩いていた人が慌てて歩道へ戻り

車が一斉に入ってくる

日常に戻る瞬間

昼と夜を分ける刻

そして

ひとつのバンドの新たな船出を

始まりを告げてもいるように思えた



一音鳴って

心も体も戻る

20年以上前 嬉々と盛り上がっていた

あの頃 何度も聴いた曲

気持ちが高揚する中

耳は今の音を捉える

耳に馴染んだ其れに

新しい其れが絡まり

曲が生まれ変わってゆく


涙ぐむ人がいる

懐かしむ顔は方々に

何より

ここに集った人全て

目の前の音を楽しんでいた


支えている

三人の音が一人の音を

はじめはそう感じた

特に「若気の至り」の2曲

難関を越え 新曲を披露してからは

走り出す

四人の 今のバンドの音

煽られ

みんなが腕を振り上げる

高く 大きく



「パンドラの箱を開いた」

-神話では箱から出たのは

    悪意や絶望等ありとあらゆる負

    全て世界に放たれた後

    底に残っていたのは 希望-

冗談でもこの例えに

何かを重ねているかは

人それぞれに捉えるだろう

はっきりしているのは

ライブ中

とても楽しげに演奏する姿

音に希望は確かにあった

それから

そこに居た人たちみんな

幸せに満ちた表情だった

全てが終わり会場を出る時

手と手を軽く触れ合わせ

感謝の言葉を伝える誰もが

笑顔だった




船は港から離れ海へ出る

波は常に穏やかではない

強風が吹き付けるだろう

それでも 待っている人たちに

今の音楽を届けんと

舵をとる

祈らずにはいられない

航海は明るく楽しくあってほしい と



金色の波が

ゆったり包み込む

会場を 人々を

力強く心地良い音の波に抱かれながら

大手を振って見送ろう

彼等を見守ってゆこう



波が

ほら 跳ねる




てなもんでやって来た当日その壱、の後に回想した詩です。一連の流れの転、に当たります。銀座(多分初ギンザ)にあるヤマハのスタジオでのイベント&ライブで、トップ画像のチケットにも印刷されてますが、東京ジャズの前夜祭という位置であり4人揃っての初ライブ、待ち望んでました。コレの会員先行受付前にファンクラブに“復帰”して、気合入れてチケット取ったわ。内容は前半がアーティスト写真撮影風景やらンタビューの映像を観たり質問とか喋りとかで和んで、大高さんの人柄を直にみえ嬉しかったですのぅ。おっと乾杯も。缶ビールor缶ウーロン茶かな、わしは前者を取ったような笑 スタンディング状態なんでステージから回される缶を手渡ししていった光景はなんか新鮮。後半が“公開リハーサル”でした。ライブは当時の新曲アローオブタイムとアンコール以外はずっと体が覚えている曲で、全身でノること自体も久しぶりで終始はしゃいでたなぁ。『朝焼け』はホント嬉々と右腕上げました、周りを気をつけつつ。浮かれまくりで泣かなかったなぁ。終わって退場する際にお見送りに出てくれた4人と軽くハイタッチしたのもレア体験で、「明日も観に行きます」みたくな言葉を言うのが精一杯でしたっけね。
タイトル、珍しくまんま曲を絡めちゃってますが、しょーがないでしょ、アンコールで聴いてから外ザギンを歩きながら頭ん中で何度もリピートしてたんだもーん、の『GOLDEN WAVES』です。発表時の97年の頃もお気に入りでしたのぅ。確かどこかに投稿した時は無理矢理っぽく『またたく』でしたが、今回読み直してなんか違うと思い『跳ねる』に。これでしっくりした、うん。ラフ書きの紙裏に当時書いたイジメがテーマの詩も船に例えていた辺り、船比喩プチブームが来ていた模様な2012年秋のわし。“パンドラの箱”はインタビューでの発言で目にして、引用しましたが、昔自分も詩じゃない文のタイトルで使ってたり←分かりやすい比喩だからみんな使うわい
先刻の当時の発言通り、この後都内ホテルに泊まり翌日、この一連の流れの結であり本番の東京ジャズを観に行くのでした、と。