ものの見かた 聞こえかた

同じものを見ても
同じように見えているとは限らないし
同じ音を聞いても
同じように聞こえているとはかぎらない。

というか、
同じように見えているわけないし
同じように聞こえているわけがないと思っています。

目に入るまでは同じ光信号だったとしても
白内障だったり緑内障だったりしたら色調が変わるし、
近視や遠視だったら輪郭がぼやけるし、
視神経に届いた時点ですでに違う信号になってます。
さらにその信号を受け取った脳がどのように処理するかで
違った像になってしまいます。
脳は自動的に足りない部分や不明な部分を過去の記憶を参照して描き足してしまいますので
「見た」と知覚した情報はじっさいに目の前にあるものとは異なっています。
勝手にアプリ加工してしまうようなものですね。

音に関しても同様。

音に関しては自分は耳鳴りがひどく、
小学生のころかそれ以前から耳鳴りがしていました。
(記憶にある限り、「耳鳴り」はしていました)
当時はみんなそんなものだろうと思っていたのですが
高校くらいで、どうやらほかの人にはこの音(耳鳴り)は聞こえていないらしい
ということを知りびっくりしたものです。
神経系の異常か脳の処理の異常かわかりませんが、耳そのものには異常はないようです。

『雪の降る夜は無音なので、自分の鼓動が聞こえる』
なんていうことが言われますが
残念ながら今まで自分の鼓動が聞こえるほど静かになった記憶がありません。
モスキート音というものも、聞こえているのか聞こえていないのかわかりません。

こういう現象は耳だけではなく
目や鼻にもじゅうぶん起こりえるだろうことは想像に難くありません。
現在「耳鳴り」に関しては自覚していますが
もしかしたら気が付いていないだけで幻視やその他の幻覚もあるかもしれませんね。

まあ「幻覚」というと病気と分類されることが多いですが
そういったいわゆる幻覚とは別に
病的ではないごく当たり前の錯覚のようなもの、
日常生活に支障がないように脳が勝手に補正してしまうもの、
そういうものも結構多いのではないかと思います。

にぎやかな場所での会話を考えてみてください。
耳に入ってくる「音」だけ考えたら相手の話声より周りの音の方が大きいことありますよね。
それでもちゃんと聞こえてしまうのは、
聴覚神経で拾った音信号を脳が勝手に「会話」と「雑音」を分けて
「会話」だけ増幅させているからといわれています。

視覚にしても、
何かの写真を撮ったとき、
肉眼でははっきり見えていたのに写真にしたら背景に紛れてよくわからなくなった、
そんな経験はありませんか。
視神経で拾った光信号を脳が勝手に「対象物」と「背景」に分けてしまったからです。

意識を向けたものを強調する自動補正アプリです。

何に意識を向けているか
何に興味を持っているか
それをどう感じているか

それらは一人ひとり違っています。
ですからその人なりの自動補正がかかってしまうのです。

同じ時に同じ場所で同じものを見ていても
あなたと私にはちがうものが見えている
同じものが目に映っても違うものが見えている
そういうことは当たり前に起こっているのでしょう。


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