LILIUM―リリウム少女純潔歌劇―を見たよ(ネタバレあり)

今まで手書きで備忘録代わりにぽちぽちと書いて来た感想文を2020年を区切りにnote形式にしてみようかな、と。

手書きだとすーーぐ書かなくなるからので…。味が出て好きなんだけど…。

もともとモーニング娘。は好きだったから、演劇作品にも興味はあったんだけど、「なかなか救いのない話」「サイコホラーちっく」という情報に食指がなかなか動かず。

友人にDVDを借りる事が出来たので、お正月休みで満を持して試聴したんですが。

え、いや。こんなんオタクみんな好きやん…。

世界観が中々に強烈だなぁ、と。ヴァンプと呼ばれる人間とは違う生き物たちが、通称「繭期」と呼ばれる謂わば「思春期」に似た情緒不安定な時期を穏やかに乗り切るために作られた施設での一幕。

良くも悪くも中二ズムが凄い。如何にも、なゴシック調な白衣装と次々飛び出す専門的な言葉に、最初は「狙い過ぎでは?」感が否めなかったけど、やー駄目だよ。だって、

こういうのオタク好きなんだもん(頭抱え)

少しずつ違っている衣装がみんな似合っていて本当に可愛い。特徴をよく捉えてんなぁ…ずっきをツインテールにした人握手しよう。だーいし演じるチェリーの服装とキャラがとてもとても好みでした。全体的に仄暗い重たい雰囲気をパッと和らげてくれる緩衝材…。やりすぎなとこもあったけど、だーいし感すばらしい。

スマイレージあんまり詳しくないんだけど和田ちゃんの透明感素晴らしいね!?含みのある演技、冷たい目線、表情、余韻の残し方がとてもうまくて、びっくりした。スノウを乗り移らせてる感じ。

小田さく推しとしてはもうありがとうしかない。シルベチカという素晴らしいキャラをさくらちゃんに与えてくれてありがとう…。キャメリアとのデュエットでひたすらに「私を忘れないで」という懇願に泣いたし、飛び降りるシーンでも泣いた。キーパーソンとなるシルベチカがどういう伏線を持ってくるのかと序盤は色々と考えながら見てしまったので、その贖罪も含めて泣いた。さくらちゃんの歌声で色々と浄化されてしまった…シルベチカ一生推す…。

鞘師はいつ、どの角度でも可愛いね…主人公としての素質しかない…リリー。台詞の表現の仕方はなんともまだ慣れていないというか「演技をしています」感が残っているように感じて、惹き込まれるとは言い難いような気がしたんだけど、鞘師は体の演技が上手いというか、足運び、手運びがとても自然で、その辺りが見てて心地よかった。とか言いながら最後の激昂と悲鳴には鳥肌ですよ。もう耳を塞ぎたくなるほどの生々しさと鮮烈さ。さすが鞘師だな、と。マリーゴールドに手を差し伸べた時、その手をとろうとして、やはり一度躊躇ったマリーゴールドの手をすかさず取りに行くあの手の演技が性癖過ぎて仰け反りました。葛藤からの決意、喜びが詰まってる。すき。

どぅーはやっぱりこの頃から抜きんでてるなー。ファルス初手登場シーンからずば抜けてんなぁと思ってしまった。舞台特有のギャグテンポも空気感を掌握してる印象がある。天性の才もあるけど、お芝居が本当に好きで、別人に慣れるのが楽しいのかなぁという所感。畳みかける狂気の表現が凄まじ過ぎて「私はアイドルのミュージカルを見ているんだよな?」といっそ冷静な自分が顔を出してしまった。これはどぅーファンが増えるの当然だわ。なんだあの美少女イケメン。漫画か?

こうなるんだろうな、とは思ったけど、ひたすらに救いのない、後味が良いとは言えないエンディング。ファルスみたいにはならない、私たちを何だと思っているの、と避難したリリーの選ぶ選択肢がこの結末だったのは、何とも皮肉で、人間らしくて、救いが無い事が逆に救いのような。エゴに塗れすぎた結果の末路。やっぱり辛いのは残す方より残される方なんだよな、などと。

曲も全体的に好みでした。一番に耳に残って好きなのは「シルベチカなんて知らない」かな。マリオネット的なダンスも相まって、起承の移り変わりと物語の芯をコミカル不気味に描いているのが、素敵でした。

次はファラオみたいな