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アンチェロッティ解任の内幕について


チャンピオンズリーグのグループステージ最終節でナポリはヘンクを4-0で下し決勝ラウンド進出を決めた12月11日、試合後の記者会見で進退を問われたアンチェロッティ
「私は自ら辞任はしない、明日この件について会長と話し合いを行う」と短いコメントを残して会見場を去った。
しかしその表情はとても固く何かを悟っているのは明らか。
諦観している人特有のそれであった。

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結局会長との話し合いはジュントーリも加わりその日の夜のうちに急遽ベスヴィオ・ホテルの一室で行われ、協議の結果アンチェロッティの解任が決まった。

現地は深夜であるにも関わらずすぐさまナポリのSNS公式アカウントが声明を発表

「SSCナポリはトップチームのテクニカルマネージャーであるカルロ・アンチェロッティの役職を解くことを決定しました。
尚、アンチェロッティとアウレリオ・デ・ラウレンティス会長の間にある友情、尊敬、相互信頼の関係はそのまま継続されます」

就任から僅か18ヶ月、この何ともそっけない一文により名将カルロ・アンチェロッティはナポリを去ることになった。


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11月5日のザルツブルグ戦の後に起きた合宿拒否騒動からカルロが解任された12月11日まで、徹底された報道管制によりナポリのチーム関係者の言葉は殆ど外に伝えられることはなかった。
唯一チャンピオンズリーグの試合の前後に設けられる監督と選手による公式の前日記者会見と、監督による試合後記者会見がナポリとファンの間を繋ぎ止める架け橋であった。
リヴァプール戦とヘンク戦での記者会見で進退を問われたカルロは会長との絆は確かなものであり、選手との不和は存在しないと発言し自ら辞任はしないと、その都度明言してきた。


ガットゥーゾの就任会見でも大いなるモチベーションでカルロは仕事に取り組んでいたとの証言もあるのでヘンク戦まではやる気満々であったのは間違いないと思われる。

しかしヘンク戦から一週間前の12月4日の時点で既にアンチェロッティの解任と、ガットゥーゾの次期監督就任が内定してたと報じたコリエレ・デッロ・スポルトのミリアム・ノヴィータ記者のスクープ記事によれば、これらが全てデ・ラウレンティス会長の仕組んだシナリオ通りに進められたことであったと分かるのである。

ノヴィータ記者の記事は解任当日に出されたこと、そしてチーム関係者が一切否定しなかったことからも、これは内部関係者から情報提供されたとみて間違いない。状況からおそらくこのリークは会長が仕組んだとみていい。

会長の描いたシナリオはこうだ。
1 アンチェロッティの監督としての市場価値を落とさない
2 アンチェロッティに辞任させず解任する*
3 解任理由は生え抜きのインシーニェを活かす戦術をナポリが選択したため
4 アンチェロッティの自尊心を満たし関係は今後も維持する

1についてはリヴァプール戦などCLでの戦いぶり、GS突破で監督としての手腕はまだまだ疑いないものと認められている。

2については引責辞任では市場価値に影響するので、監督とチームの方向性の違いから解任とした。
*解任による違約金を払わないで済むよう(支払期間は次のチームが決まるまでと契約書にある)12月4日以前にプレミアリーグの2チーム(アーセナルとエヴァートン)と水面下で交渉しており、ナポリの経済的損失を最小限に収める。

3については4-3-3を好むガットゥーゾを招聘したことでインシーニェが活躍できる戦術を行えること。カルロも弟子のガットゥーゾであれば心情的に納得しやすい。
またサッリ時代の美しい4-3-3へ郷愁を抱いているファンにも顔向けしやすい。

4についてはこれらが全て表向きに仕組まれたシナリオであり、まだまだやる気満々なのに解任されたという既成事実化で世間には知られたくなかったカルロの管理能力やチームの内部事情を秘匿するというバーターではないかと自分は思っている。
喧嘩別れとなれば内部事情を暴露される恐れもあるが、友好的な離婚であれば秘密は永遠に封印される。
カルロの組織管理能力はアシスタントコーチで息子のダヴィデのパーソナリティーが足枷になっていた証言が多数あることからジュントーリやADLから不興を買っていた可能性がある。
それを不問にするからと持ちかけられれば解任も納得しざるを得なかったのではないか。
ダヴィデついてはカルロの監督就任が内定したエヴァートンでもし彼がアシスタントコーチに就かなかった場合、噂されていることが限りなく真実に近いと証明されると思うので、それが明らかになった時点で書き記したいと思う。










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