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「奇特な病院」仲間はずれ科

※連作短編小説ですが、1話でも完結します。

第40外来:仲間はずれ科(担当医 力石睦美)

 出会った少女は、とても青白く透き通った肌をしていて、今にもこの世から消えてしまいそうなほど儚げな姿をしていた。
 私は、同性でありながら、しばしその少女に目を奪われた。
 名を、ソヨと言った。
「なんで死んではいけないんですか?」
 とソヨは、私に言った。
「なぜそんなことを考えるのかな?」
 と私はソヨに訊ねた。
 ソヨは、うんざりしたように私を見た。
 私は、その場の空気を変えようと、また質問した。
「なんで仲間はずれ科に来たのかな?」
「だって親が行けとうるさいから」
「でも、ここへ来ない選択肢もあったわけよね?」
 私は、少しソヨを追いつめてしまったかと反省しながら、ソヨの答えを待った。
「どこに行っても、私は、仲間はずれにされるからよ」
「一つ聞かせて。例えば、どんなことがあったの?」
「感じ悪いって言われるわ」
「誰に?」
「会った人、会った人によ」
「感じ悪いの?」
「だってそう言われるのよ。そうね、とにかく私は、どこか、どこの場所にいても異邦人のように、仲間というもの入れないの。だって一生懸命に合わせようとしても、感じ悪いだの、いけすかないだの、仲間はずれが付きまとってくるの。先生なんでしょ。私の問題解決できる?」
「そうね。できないかもしれないわね」
「ほら。どこにも居場所がないなら、なんで死んではいけないの?」
「そうね。きっとあなたは、何かに秀でているのよ。優しさかもしれないし、学力かもしれないし、運動能力かもしれないし、少し話しただけだから、原因まではわからないわ。きっとあなたを仲間外れにした人たちは、あなたがうらやましいのよ」
「先生には、わかるの?」
「そうね。断定はできないけど、仲間はずれにされる人を見ていると、本人に問題があるというより、仲間はずれにしてやろうと思う人の方に問題があるように私には見えているだけよ」
「そうなの?先生、また来てもいい?」
「いつでも待ってるわ」
 今度こそ周りになじめますように。
 
 お大事に。

(第41外来は、仲直り科です)

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