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「なんなんちゃっちゃお」①

2+3=6?

チャミの頭の中はどうなってるんだ。大学を卒業したよな?
小学生でもすぐ答えられるこの問題に間違える頭の中身が知りたい。
僕の気持ちは、今日もざわついたままだ。身体の中で怒りの炎が消えない。
ふつふつとまだ火が潜んでいる。
いつでもこの炎を大きくして、チャミにぶつける準備はできている。

「あっ、トイレ行くの忘れてた」

なんだって?
チャミの通常運行は続く。
僕の怒りが止まらない。いつもチャミにはいらいらさせられる。
それもこれも全部チャミのせいだ。
今日、僕が笑うことなく、怒ってばかりで過ごしたのも、全部チャミのせいだ。
平穏に一日が過ぎることなんかチャミがそばにいるうちはないと思う。
考えてみて欲しい。怒るのって結構体力がいるんだ。
まだ若い僕だけど、突然、頭に血がのぼって、脳溢血で倒れてしまうかもしれないだろ。
そんなことは、チャミはおかまいなしだ。

トイレに行き忘れる、簡単な計算もできない。
そんなやつにかける言葉があるか?
こんなに生活力のないやつは、チャミの他にいないんじゃないか。
チャミの卒論の成績がAAだったなんて嘘だ。
チャミが大学卒業したのも信じてない。何かの間違いだ。

「チャミ!!!!」

怒りの含んだ声で、そう呼ぶと、チャミはにこにことこっちを向く。
かあさんと僕は、チャミをまともな人間にしようと日々奮闘中だ。
でも、それが徒労に終わることも知っている。
チャミは、僕の言うことを右から左へと簡単に聞き流している。
でも、チャミは僕の家族だから、見捨てられない。
僕には、姉のチャミをまともにするという使命がある。

「あっ、電気」

チャミほど生活力のないやつを見たことがない。また電気を消し忘れている。
トイレに行くのを忘れるほかに、食事も忘れる。
もちろんトイレのふたも閉め忘れる。
家を最後に出ると、家の鍵も閉め忘れる。電気はつけっぱなし。ガスもつけっぱなし。
よくこの家が燃えずに残っていると思う。
よくチャミはまだ生きてるなと思う。
僕とかあさんがいないと何もできないだめなやつなんだ、チャミってやつは。
普通の人が、成長過程で身に着ける生活力というものがまるでない。
かあさんと僕が話すことは、チャミの将来への心配話ばかり。
僕は、チャミを普通のやつに調教する調教師なのか。
チャミを馬だと思えと?馬の方が扱いやすいんじゃないかと僕は思っている。
手綱があるから。

「伊和雄ちゃん、見てみて、これ凄い」

と言って、僕の部屋にチャミが入ってくる。ほら、チャミからは逃れられないんだ。
僕が生きている以上は。

でも、僕は、一つだけチャミに感心していることがある。
それは、チャミのおもしろい漫画を見つけてくる才能だ。

(②につづく)

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