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「なんなんちゃっちゃお」③

チャミはある日、かあさんと僕に言った。

「漫画書いてくる」

はぁ?なんのことだ?
チャミの話す言葉には圧倒的に説明が足りない。
チャミも自分の語彙力が乏しいことはわかっているようで、チラシを見せる。

生涯学習講座「漫画制作」。

チャミは、こっちを見て、また笑っていた。

でも、チャミが何かをやりたいと言い出すことはほとんどなかったから、
優しいかあさんと僕は、チャミを漫画制作の講座へと送り出した。
全5回で終わるらしい。
チャミは、その講座を受けると決めてから、一人で部屋にこもりっきりになった。

「チャミは忙しい」

そう言って、夕飯の後片付けもしない。

でも、僕は怒らなかった。
チャミが今まであんなに一生懸命になってるのを見たことがなかったから。
何も言えなかった。チャミのやる気をやっと見た。
今のチャミは、僕が見たチャミの中で一番きらきらと輝き、やる気に満ちていた。

「チャミ、そんなに頑張っても漫画家になれると思うなよ」

何の気なしに僕がチャミにそう言うと、
チャミは、じっと僕の方を見て、ぽろぽろぽろと涙を流した。

僕が何か言って、チャミが泣くのは初めてだった。
僕は、このときのことをよく覚えている。

チャミは、漫画を書くのに忙しくて、夢中で、
僕たちから離れてしまったように感じたから、そんな心無い言葉をチャミに僕は言ったんだと思う。

僕は少しだけ後悔した。

(④につづく)

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